有機物のはたらきについて

 前記事に続いて、下記の③~⑥について解説を加えましょう。

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 ③は、土中の有機物と微生物の関係です。

 植生によって作られた有機物は微生物の餌になり、その微生物が生み出した、ある種の高分子タンパクが、今度は植物の栄養になります。

 その意味で、有機物と微生物の関係は、持ちつ持たれつの関係にあり、互いに不可欠のものなのです。

 また、その有機物は、土中生物の餌にもなりますので、豊かな多様性を持った生物相の形成が可能になります。

 周知のように土は、岩石が小さくなることによって出現したものです。その成分は、粘土、シルト、砂に分類され、前二者が植物の生育に不可欠です。

 植物にとって最適の土は、団粒構造を呈していて、「水はけがよくて水持ちがよい」ことが特徴です。

 植物にとって必要な元素は、炭素、酸素、水素、窒素、塩素、カルシウム、カリウム、リン、マグネシウム、イオウ、鉄、マンガン、亜鉛、銅、モリブデン、ホウ素の16です。

 このうち植物体の大部分を構成するのが、炭素、酸素、水素です。

 炭素は、光合成によって供給されます。

 また、酸素は、水や大気中の酸素から補給されます。

 さらには、水素は、根から供給される水に由来します。

 ところが、窒素については、大気中にたくさんのものを福井ながら、ほとんどの植物が、それを吸収することができません。

 そこで、この窒素取り込みにおいて大活躍するのが、微生物なのです。

 この微生物が、大気中の窒素を分解し、アンモニアと水素ガスを作り出すことは、「窒素固定作用」と呼ばれています。

 また、この固定作用をを生起させる微生物を「窒素固定微生物」と呼んでいます。

 この窒素固定微生物は、「独立性窒素固定菌」と「共生的窒素固定菌」に区別されます。

 前者は、固定したアンモニアを自分の窒素栄養に使いますので、その遺体を土中に残すことによって土に養分としてのアンモニアを供給します。

 また、後者は、固定した窒素成分を植物に直接供給し、その代わりに、微生物の活動源としての炭水化物を受け取るのです。

 このように窒素の受け渡しにおいても、土中の微生物は非需要に重要な役割を果たしています。 
マメ科の植物の根に集まる根粒菌

 昔から、田んぼのあぜ道に大豆が植えられています。

 この大豆の根に根粒菌が集まり、窒素固定作用がなされるからです。

 この根粒菌は、空気中の窒素を取り込んでアンモニアと水素ガスに変換することを得意としていましたので、その変換メカニズムに関しては、詳しい研究が多方面からなされてきました。

 微生物がいとも簡単にアンモニアを生成させ、水素ガスを発生させるにですから、その科学的なメカニズムを究明したいと欲するのは、ある意味で当然のことです。

 しかし、その願望とは裏腹に、その究明に関しては難問が山積していて、未だにその究明はなされていません。

 微生物ができても、人間はできない、この問題は、その典型的事例といってもよいでしょう。

 これは、水素ガスについても同じことであり、一頃騒がしかった「水素社会」の到来は、どこに行ってしまったのでしょうか。

 莫大な予算を投じて、最初だけは威勢がいいのですが、時間経過とともに、それが萎えて萎んでしまい、最後にはこそっと隠してしまう、このようなことが多すぎる日本社会です。

 そういえば、人工合成に関しても同じような結末を迎えています。

 つい最近亡くなられたノベール賞を授与された根岸博士の呼びかけで人口光合成の事業化が華々しく喧伝されていました。

 これにも、莫大な補助金が投入されていましたが、その結果はどうでしょうか。

 その一部門に、アンモニア合成の課題がありました。これも、わずかなアンモニア生成でお茶を濁す程度のことで済まされてしまったようです。

 このようなことを繰り返すばかりですので、日本は、どんどん追い抜かれ、今やローテクの後進国並みの技術力しか持たない国になってしまったのです。

 これは、かなり情けないことですので、何とかしなければなりませんね。

 窒素固定を自前でやってしまう根粒菌から大いに学ぶことにしましょう(つづく)。

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                   ミモザの種