W先生との共同実験

 午後からは、W医院において共同研究を実施しました。

 いつものように、まずW先生と相棒、私の3者での研究協議を行いました。

 その内容を簡単に示しておきましょう。

 1.新しい光マイクロバブル発生装置の試験結果について

 約1か月前に、本装置を先生に送付して、その試験を行うことを依頼していましたので、その感想を語ってもらいました。

 それによれば、その大きさ、使いやすさ、機能性において「かなりよい」という評価が示されましたのでホッとしました。

 なぜなら、この装置については、先生に、その「使いにくさ」、とくに排水問題があるのではないかという指摘を受けていたからでした。

 これに関しては、「まず、実物を使ってみて、その問題も含めて検討してください」というお願いをしておきました。

 おそらく、その新型装置を毎日、ご自分で使用されたことで、その使いにくさの問題のかなりの部分が解消されていたのだと思いました。

 2.その新型装置の排水問題について

 「そうであれば、この装置を実際に使用する際に『排水』をどうするか、が問題になりますね」

 「実際に使用する際には、いわゆるかけ流し状態になりますので、それを即座に排水させるにはどうすればよいのか、という問題がありますね」

 この排水システムの問題は、この場合も含めて、いろいろと事前に調べてきていましたので、その結果を示しながら、より検討を重ねていきました。

 しかし、その事前調査においては、適切な排水システムがなかなか見つかっていなかったことから、何か良い方法はないかと思いながら議論を進めました。

 その折、ひょんなことから、現在の排水システムはどうなっているのか、それを実際に調べてみようということになりました。

 早速、その現場に赴き、それを調べると、意外にも、現行の排水システムが非常に優れていることが明らかになりました。

 実際に、その排水能を計測してみると、それは秒速100ml、毎分約6リットルでした。

 「先生、これで十分ですよ。これをそのまま使えますよ!」

 この判明によって、一同が一挙に明るくなりました。

 なぜなら、この排水問題が解決したことから、供給側のみを考えればよいことになったからでした。

 3. 新たな供給装置システムの開発

 上記の2つの問題が解決できそうになったことから、その1の装置を各治療室でも使用したいという要望が先生から示されました。

 これは、むしろ当然のニーズでした。

 これこそ、現場のニーズそのものですので、「それを実現しましょう」と返し、そのシステム全体の構想を頭のなかに描くことができました。

 改めて、現場における議論の重要性を痛感しました。

 4. 小型装置の基本設計

 上記の装置とはほかに、より小型の装置の導入についても検討を行いました。

 これにおいては、手軽な市販の装置を利用する方法でした。

 優れた市販の装置があれば、それを積極的に利用し、それに新たな新規性を付加してよりよいものすることができれば、それはそれで立派な新規的改善になります。

 これらには、数百円の商品と10万円程度の高価なものの2種類がありました。

 前者に関しては、モデルとなる商品を2種類選んで試してみることになりました。

 また、後者に関しては、S先生が外に診断・治療に出かける際に有用であるという意見もありましたので、この採用を検討することにもなりました。

 5. 共同実験

 最後に、持参したサンプルを用いて、その有効性を確かめる実験を行いました。

 W医院には、その結果を確かめる装置が配備されていますので、それを利用しました。

 用意したサンプルは3つ、その一つは、その使用の際に安全性を確保するための処理がなされていました。

 その処理前を「生」と呼べば、「生」と「処理済み」を比較する試験を行ったのでした。

 結果は、処理済みにおいては、その有効性がやや緩和するが、その基本的な特性は、ほぼ保たれているいうものでした。

 より具体的には、その目的を達成するまでの時間が、若干伸びてしまうが、その有効性は確保されていることが明らかになったのです。

 この結果によって、本共同研究の成果をより広く適用できる可能性が確かめられました。

 これにも安堵するとともに、その展開に関する可能性を想像してみました。

 これらのほかに、W先生が独自に、医院内で実験的検証をなさっている結果についての報告もありました。

 これまでの相当数の試験事例を重ねて来られてようですが、従来よりも好ましい結果が得られているということでした。

 以上のように、非常に重要な協議と実験結果が得られましたので、心豊かにW医院を去ることができました。

第三ステージへ突入
 
 帰りの車中、これらの成果と到達点のことを顧みて、この共同研究も新たな段階を迎えた、すなわち「第三ステージ」に突入したのではないかという思いに至りました。

 すでに、これまでも何度か触れてきましたが、これらの2つの医院との共同研究は、2つの補助金の支援を得ていますので、その申請時の文書に戻って考えてみようと思いました。

 そこには、その成果を得た暁には、さらに重要な課題に挑戦することが、しっかり記述されていました。

 そのことも含めて、その第三ステージは、いくつかの新たな展開がなされる可能性がありますので、早速その準備に取り掛かることにしました(つづく)。

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前庭で