南国の国東において寒い冬が終えて春に向かうときに咲く花、それがスイセンです。
庭の草花が皆枯れてしまっているなかで、この花だけが咲き始めますので、自然に目が留まってしまいます。
そして、今年も春がやってきたことに気づかされます。
この花は、春の暖かい陽射しを浴びて、そこはかとなくうれしそうです。
晩秋から冬場のにかけての花たちは、ほとんどが下を向いていましたが、この花は、それらと違って、しっかり顔をもたげています。
それだけ、春がやってくることを望む力が強いのでしょう。
この1年、私たちはコロナの日本列島蔓延によって、いつも下向きの生活を余儀なくなされてきました。
100万人近い女性非正規労働者の雇止め、女性自殺者の急増、相次ぐ中小企業の不振と倒産、そして新型コロナウイルス感染者の死亡は、いまだに増え続け、とうとう7000人を越えました。
そんななかで、「顔をもたげよ」というのは無理なのかもしれません。
しかし、この花は、春の気配を覚えると、しっかり太陽に向かって花開くことができます。
スイセンは、コロナのことは知らないまま、いつもの年のように花開いていますが、それは、自然の摂理という、気が遠くなるほどの長い時間のなかで築かれてきた「理(ことわり)」です。
今回のコロナ感染症の出現は、おそらく、これから数十年の間に持続するであろう「感染症の時代」の幕開けを本格的に告げたものではないかと思います。
そのことを深く理解して早春の賦に感謝し、覚悟を新たにする必要がありますね。
(つづく)
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