2. マイクロバブル(光マイクロバブル)技術の特徴(5)

 ②マイクロバブルの優れた物理化学的特性は、既往の技術との結合や、それに次ぐ融合を可能にした。また、それらの実現によって困難であった技術的問題を解決し、さらに、時には、それを飛躍的に発展させることも可能にした。たとえば、S社の半導体廃液処理においては、わずかマイクロバブル装置4機の導入によって約20倍の処理効率を実現させ、1000トンの廃液槽の改善がなされた。また、成果を踏まえて、すぐに1300トン廃液処理施設の新増設がなされた。また、広島宮島のIもみじ饅頭屋では、そのおいしさが評判になり、日曜祭日において11万個の売上が可能になった。

 ③マイクロバブルとマイクロバブル水の優れた生物(動植物、微生物)活性作用によって、その成長促進や増殖、体質改善が可能になった。また、その生物環境の改善や制御にも有用であった。最も典型的事例は、広島湾、北海道噴火湾、三重英虞湾、岩手大船渡湾における二枚貝の養殖改善であり、マイクロバブル技術の導入によって斃死防止、成長促進、品質改善がなされた漁民の窮地を救った。

 ④①~③の優れた特性を最高度に活用することによって、より本質的な課題において、新たな技術的イノベーションを生み出す可能性が見出されている。とくに、上記の樹状図に従えば、健康・医療、食糧・バイオ、環境・エネルギーのそれぞれの分野において、その核形成を可能とする革新的技術開発が重要である。

  以上の青い文字の部分は、前述の「マイクロバブル」に関する専門書『マイクロバブル(ファインバブル)のメカニズム・特性制御と実際応用のポイント』の最終第4章において「マイクロバブル技術の誕生とその発展」の「2.マイクロバブル技術の特徴」の部分です。

マイクロバブル技術の特徴

上記の②について、現時点における考察をより詳しく試みることにしましょう。

マイクロバブル技術(光マイクロバブル技術)には、優れた物理化学的特性によって裏打ちされています。

その物理化学的特性による裏打ちこそが、様々な分野における確固とした技術の適用を可能にし、小さくない問題解決を遂行していくことが可能になりました。

その代表的な物理化学的特性とは、光マイクロバブルの収縮運動によって光マイクロバブル内が高温高圧化し、その気体組成としての酸素と窒素が周囲の液体成分と化学反応を引き起こすことです。

また、この化学反応物質が、動植物や微生物の生物的活性をもたらし、時には不活化をも生起させることが注目されています。

ここでは、その典型的事例として2つの成果が示されていますので、それらのより詳しい解説を行っておきましょう。

光マイクロバブル排水処理

1)S社の排水処理の事例

ここはF市にあり、S社のフラッシュメモリを製造する主力工場でした。一度見学に行ったことがありますが、大きな工場群が林立されていました。

しかし、大きいがゆえに、そして増産を続けていたことから、その歪みが排水処理に重大な影響を与えていました。

それは、そのメモリを製造する際に写真印刷を行い、その高濃度のアルカリ廃液(pH12程度)が大量に出ることでした。

これを処理するために、この工場では1000トンの排水処理施設が設けられ、その処理の仕組みは、6mという深い水深の水槽において上層で好気処理、下層で嫌気処理という方式が用いられていました。

その処理を担うのは微生物であり、その処理方式は活性汚泥法と呼ばれています。

ここの処理方法における最大の問題点は、pH12という高濃度の写真廃液を処理するために、それを約20倍に希釈して処理していたことでした。

また、その処理槽を深くして、下層における嫌気処理で汚泥を時間をかけて処理し、最終的に汚泥ゼロにしてしまうという工夫もなされていました。

そこで、この20倍希釈量を何とか減らせないか、その基礎となる活性汚泥の量を増やして能力アップできないかという要望がありましたので、その導入試験を行いました。

その際、1000トンという大容量の排水のなかに、光マイクロバブルを何機配置すればよいのか、という質問を受けました。

「やはり400機ぐらいは必要なのでは?」

これがメーカー側から出された質問でした。

それに対して、こちら側は、良心的な回答を行いました。

「400機は多すぎるので、10機程度でやってみて様子をみたらどうでしょうか」

この提案は、すぐに受け入れられました。

当時の曝気水槽においては、泡が異常に発生していたので、これを減らせるかどうかが、最初の目安であり、その次に、活性汚泥量を計測することで、その光マイクロバブルの効果をある程度検証することができました。

さて、その結果は、どうだったでしょうか?

A)泡の異常発生は、すぐに治まった。

この異常発生の原因は、活性汚泥、すなわち微生物が、強アルカリ水溶液によって斃死して、腐敗することによって泡が発生しやすくなったことにあったのではないかと推測されます。

B)活性汚泥の量が徐々に増え始め、最適値1.6を超えて2.0倍になり、過剰生成にまで至った。

この活性汚泥の量の増加は、それだけ、処理能力がアップしたことを意味することから、最適値1.6倍の時点で、20倍の希釈をする必要がなくなりました。

すなわち、処理能力の20倍アップを実現させたのでした。

C)活性汚泥量の増加に伴って、光マイクロバブルの発生機数を徐々に減らし、最終的には2機のみでよいことが判明した。

D)この光マイクロバブルの発生に伴うエアレーションタンク内の溶存酸素濃度の変化はほとんどなかった。

また、溶存酸素濃度は、上層においても2ppm前後であり、低い値だった。

すなわち、光マイクロバブルによる溶存酸素濃度の増加によって処理能力が増加したのではなかった。

これらは、長年苦労してきた排水処理の現場のみなさんにとって驚きであり、文字通りの革命的出来事でした。

この成果を、すぐに社長に報告し、その処理層の隣に、1300トンの排水処理装置を設置せよという命令が下されました。

これは、現場にとって非常にうれしい社長命令でしたので、翌年すぐに新設されました。

そこで、この現場からは、この排水処理をビジネス化したいという申し入れがなされました。

しかし、それは、即座に「わが社は排水処理屋ではない」と社長にいわれて、その計画はとん挫したそうです。

さて、問題は、なぜ、かれらにとって、このような革命的事件が起こったかということでした。

そのことをかれらも非常に知りたがっていましたので、その議論がしばらく続くことになりました。

しかし、その明察に至りませんでした。

その原因は、光マイクロバブルと光マイクロバブル水に関する究明が、その難題を明らかにできる水準に達していなかったことにありました。

そして、この水質浄化法は、その後、広く国内外に普及することはありませんでした。

これらについては、次回において詳察を試みることにしましょう。

(つづく)。


お詫び

前回の記事において、油性マジックペンをシャワーで洗い落とすトリックについては、近々、別稿で示すことにしましたので、しばらく、お待ちください。


DSC_0020 (2)
               無農薬無肥料で育った稲(人の肩ほどの高さに成長している)