2. マイクロバブル(光マイクロバブル)技術の特徴(4)

 ①図2からも明らかなように、マイクロバブル技術は、わが国の基幹産業の分野に導入され、そこでの成果が生み出されるとともに、一方で国民生活に直接関係する普及も可能にしてきた。そのために、日本の産業(第1次産業、第2次産業)および国民規模の広大な技術の裾野形成が可能になり始めている。おそらく、この裾野形成においては、さまざまな成功、不成功の事例が多々生まれたと思われるが、前者に至る秘訣は、マイクロバブルの物理化学的特性を最高度に発揮できるようにすることと深く関係していた。

 ②マイクロバブルの優れた物理化学的特性は、既往の技術との結合や、それに次ぐ融合を可能にした。また、それらの実現によって困難であった技術的問題を解決し、さらに、時には、それを飛躍的に発展させることも可能にした。たとえば、S社の半導体廃液処理においては、わずかマイクロバブル装置4機の導入によって約20倍の処理効率を実現させ、1000トンの廃液槽の改善がなされた。また、成果を踏まえて、すぐに1300トン廃液処理施設の新増設がなされた。また、広島宮島のIもみじ饅頭屋では、そのおいしさが評判になり、日曜祭日において11万個の売上が可能になった。

 ③マイクロバブルとマイクロバブル水の優れた生物(動植物、微生物)活性作用によって、その成長促進や増殖、体質改善が可能になった。また、その生物環境の改善や制御にも有用であった。最も典型的事例は、広島湾、北海道噴火湾、三重英虞湾、岩手大船渡湾における二枚貝の養殖改善であり、マイクロバブル技術の導入によって斃死防止、成長促進、品質改善がなされた漁民の窮地を救った。

 ④①~③の優れた特性を最高度に活用することによって、より本質的な課題において、新たな技術的イノベーションを生み出す可能性が見出されている。とくに、上記の樹状図に従えば、健康・医療、食糧・バイオ、環境・エネルギーのそれぞれの分野において、その核形成を可能とする革新的技術開発が重要である。

  以上の青い文字の部分は、前述の「マイクロバブル」に関する専門書『マイクロバブル(ファインバブル)のメカニズム・特性制御と実際応用のポイント』の最終第4章において「マイクロバブル技術の誕生とその発展」の「2.マイクロバブル技術の特徴」の部分です。

マイクロバブル技術の特徴

上記の①~④について、現時点における考察をより詳しく試みることにしましょう。

①においては、マイクロバブル技術(光マイクロバブル技術)がわが国の第1次産業および第二次産業の広い分野において発展してきたことが、まず特筆されることです。この発展における最大の特徴は、既存の技術と融合しながら着実に発展を遂げてきたことにあります。

その理由は、光マイクロバブルが優れた物理化学的特性を有していることであり、その融合において、この特性が発揮されてきたことにあります。

これによって、本技術は、あたかも燎原の火のように広がりはじめ、富士山のような広大な裾野を形成し続けています。その意味で、本技術は、国民的技術への定着を開始しているといってもよいでしょう。

しかし、この発展と定着は単純なものではなく、容易なものだけではありません。

とくに、この数年間においては、それがより鮮やかに見え始めていますので、その特徴を解説しておきましょう。

(1)その第1は、本技術の普及とともに、それに便乗して偽物の技術が氾濫し始めたことです。この誇大偽宣伝の特徴は共通していますので要注意が大切です。その手口を次に示しておきましょう。

1)最初は、マイクロバブルであれば、「どれも同じ効果がある」と考え(実際は、違っていても、そう願望するだけである)、それを「マイクロバブル商品」といって販売する。

これらにおいては安易な商品づくりが可能になりますので、その販売を促進させるコツは、安値競争を行うことでした。

その典型が、シャワー装置であり、これだと既存の成型技術がありますので、それを使って、そこにマイクロバブル発生機構を組み込むことで比較的安価で製造することができます。

さすがに、最近はほとんどなくなっていますが、当初は、私に出会うと先生の「マイクロバブルの商品を買いました」と喜んで報告してくる方々が少なくありませんでした。

なかには、高専の校長をなさった方も、このような偽商品を買われたそうで、その方に、種明かしを告げると小さくない後悔をなさっていました。

2)この「マイクロバブルはすべて同じ」というキャンペーンが通用しなくなると、やや巧妙なトリックを用いたマイクロバブル商品が登場してきました。

これには、次の2通りがありました。

A)「マイクロバブル」を「ナノバブル」と名称変更する。

これは名前が変わっただけですので、そこに「目新しさ」があったものの、その実体は何も変わっていませんので、「ナノバブル」ブームが衰えると、その作戦も自然に頓挫していきました。

B)トリックを使って似非商品を売りつける

好奇心が旺盛、まじめで素直、これが日本人の特質です。しかし、それゆえに、トリックに引っかかりやすい、だまされやすいのが日本人です。

好奇心があって素直

この弱点を最大限に利用したトリックが横行しています。その手口とは、嘘すれすれのトリックを用いて、実施的には消費者をだます手法です。

その代表的事例が、油性マジックペンで肌に字を描き、それがすぐに消えるという画像を見せて、マイクロバブル入りのシャワーがあります。

この宣伝の特徴は、それによってマイクロバブル入りのシャワーなるものが、あたかも優れた洗浄力を有していると思い込ませることにあります。

かつて、私は、光マイクロバブル水が、そのように抜群の洗浄力を持っていてほしい、そのような光マイクロバブル水づくりに挑戦したことがありました。

その際に、よく用いたのが、油性マジックペンを用いてペットボトルに字を描き、そこに光マイクロバブル水の水滴を落とすという実験でした。

その最初は、あるとき見学に来られた方が、そのような質問をなさって、その目の前で、そのマジックペン実験を行ったことがありました。

さて、その時の結果は、どうだったでしょうか?

じつは、その字が見事に消えてしまったのでした。

その客さんも、私も、その結果に吃驚して、「さすがマイクロバブル」と思ったものでした。

それからしばらくして、床面や壁面の洗浄問題を、ある企業と共同研究することになり、その時のマジックペンの字が消えたことを思い出しました。

さて、より丁寧に光マイクロバブル水を製造して、そのマジックペンによる実験を繰り返し行うようになりました。

次回は、その結果について、より詳しく分け入ることにしましょう。

(つづく)。


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