昨日に続いて、第35回ナノプラネットゼミの報告です。
以下は、前述①による根来秀行著『毛細血管が寿命をのばす』の第3章の紹介の続きです。
最初の話題は、「血管の詰まり」の問題です。
この「詰まり」が毛細血管の内皮細胞と大きくかかわっているという指摘によって、次の新たな知見を得ることになりました。
①血管の詰まりとは、血管内に血栓(血のかたまり)ができることである。
著者は、平易な用語として血管内にできた「かさぶた」と表現されています。
このかさぶたは、血管内部が傷ついたとき、出血したときに形成されます。
病状としては、高血圧、脂質異常症、糖尿病などであり、これらによって血管内壁が傷つくと、そこに止血のために血小板がが集まり、止血を始めます。
もともと血栓はの第一の目的は、傷ついた血管からの出血を止めることにありますので、それが実現された後には血栓が残ることになります。
②健康な毛細血管の場合には、この血栓が溶かされて流れてしまいます。
これで元通りになって万々歳になるのですが、この血栓を溶かして流してしまう作用、これを「線溶作用」といいますが、これが正常に働かないと、血栓が残ったままで、さらに詰まりやすくなってしまうのです。
この線溶作用の低下は、ストレスや生活習慣病、食生活の乱れによって引き起こされますので、ここに小さくない問題があるといわれています。
ここで、新たな知見として、この毛細血管における「線溶作用」を、どう再生すればよいのか、あるいは、その機能をアップをどう可能にするのか、ここに、重要な課題が明らかになりました。
➂血管は「詰まったとき」より「あと」が怖いことが強調されています。
その典型が「虚血状態」といわれています。これは、動脈硬化が進み、血管が詰まると、閉じた血管が収縮して血液を届けることができなくなる現象をいいます。
この虚血状態にあった血管に血液が再び流れると、過酸化水素水などの有害物質を発生させ、さらには、サイトカイン(生理活性物質)をはじめとする緊急事態を知らせる物質が全身に回ってしまい、新たな障害が発生するといわれています。
また、この過酸化水素水を含む血液が腎臓に侵入してくると急性腎不全が起こるのだそうです。
この過酸化水素水の反応メカニズムについての究明が必要ですね。
④さらに、脳梗塞や心筋梗塞の原因も毛細血管にある、とのことです。
動脈硬化が進み、線溶作用が低下すると、脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすくなります。
以上のように、毛細血管を傷つける危険因子を減らし、線溶作用を活発にしていく工夫が重要になります。
そのためには、なんといって食生活を改善していくことが必要です。
そのコツは、GI値(血糖値の上昇に関する比較値)の低いものを選んで食べていくことが推奨されています。
その代表値を示しておきましょう。
GI値が80~100の食物
餅、精白米、フランスパン、食パン、うどん、ジャガイモ、キャンディ、菓子パン、チョコレート、白砂糖など
GI値が10~45の食物
魚介類、豆腐、納豆、チーズ、卵、牛乳、ヨーグルト、キュウリ、ピーナッツ、コーヒー、緑茶、紅茶、みりんなど
最近は、血糖値を上げないために、この下位の食物をよく摂取するようになりました。
その折、この上位の食物を「少しならよいではないかと思って食べてしまう」気持ちになりがちですが、これが危険の入り口であり、きっぱりとそれを退けることに慣れることが重要です。
以上、①の報告は、私のとっても有益で刺激的な内容でしたので、この報告においても詳しく紹介することになりました。
なお、②の私の最近の取り組みにつきましては、紙数も増えてきたことから、またの機会に紹介することにしたいと思いますので、ひとまず、これで、ナノプラネットゼミの報告を終えることにします。
(この稿おわり)。
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