M君の想い出
 先日のM君への返事の続きを記す前に、少しM君に関するエピソードを紹介しておきましょう。

 まず、かれは、無類の酒好き、ランニング好きですが、日ごろの豪快な言動とは裏腹に、きめ細やかな気配りもできて、社内では多くの人々から信頼されていました。

 そして、常に味方として、かれを励まし、育てたのが総務の同志Yさんでした。

 このYさんには、私も二、三度面会したことがありましたが、「機を見るに敏」の頭の明るい方で、M君をはじめとする将来性のある若手を上手に育てておられました。

 とくに、M君とは馬が合ったようで、そのきっかけは、社内報の編集において意気投合したことにあったようでした。

 そして私とM君との意気投合は、なんといっても広島の江田島湾におけるカキ養殖改善においてコンビを組んだことでした。

 それについては、すでに述べてきましたので、ここでは、私の定年退官記念講演に来てくださり、かれに挨拶をしていただいたことを紹介しておきましょう。

 私の退官記念行事は、この講演会のみとし、飲み食いがある祝賀会は控えることにしていただきました。

 私が、うれしかったのは、学生や教員のほかに多くの一般市民の方々が来られ、会場の「メディアホール」を満席にして、立ち見も出ていたことでした(おそらく、T高専始まって以来のことだっと思われます)。

 この席で、友人代表としてM君に長い挨拶をしていただきました。

 ここでは、かれとのいきさつから最近のことまで、さまざまなかれらしい紹介があり、かれがいつもいう「同志」としてのエピソードが披露されました。

 そして、最後に宮沢賢治の有名な詩を示して「雨にも負けず、風にも負けず」に「励めよ」という言葉を贈ってくださいました。

 思えば、大学時代に互いに同志として認め合い、その後も切れることなく太い交流が続いたのは、かれぐらいであり、これもふしぎな縁といってよいでしょう。

 かれは、その後社内で出世して生え抜きとして初の役員になり、その会社を実質的に切り盛りしていましたので、後輩たちは、かれのようになることをめざしていました。

 そのかれが、今では、少しの仕事と農業をして、相変わらず、いわなくてよい愚痴をこぼしながらも、しぶとく生きようとしているのだと思います。
拝復M殿(続き)
 さて、本題に戻りましょう。

 以下が、先日の手紙の後半部分です。
 
 この問題の核心は、光マイクロバブル水によって、いかに精密な洗浄が可能になるのか、その新たな方法を見出すことでした。

 とくに、アンパンマン流にいえば、バイキンマンがいろいろな形態で蔓延っていますので、それらが知らず知らずのうちに悪さをして人々を困らせています。

 これをどうやって駆逐すればよいのかをめぐって、さまざま実験を行ってきましたが、最近になって、一つの光明らしきものが見えてきました。

 それは、未知の独自の方法といえますので、これから、その確立をめざすことになります。

 この研究開発の最終目標は、この世のなかの病気を少しでも減らしていくことにあります。

また、この新たな方法を用いて、少なくない分野において応用を検討していくことも重要です。

幸いにも、この一連の研究開発の結果を踏まえて申請した補助金が2つ採択されましたので、それをバネにして、次の段階へと進むことができるようになりました。

これまでを振り返ると、広島のカキの頃が、三段跳びのホップ、こちらに来てからの技術開発がステップ、そして、今回の新たな開拓が最後の過程であるジャンプになっていくように尽力したいと思っています。

さらに、もう一つ重要なことは、コロナ対応の問題です。

上記の研究開発の成果が、少しでも、この対応に生かせないか、その可能性はあるかについて、引き続き検討を行いたいと思っています。

今のところ、その可能性は非常に低いのですが、その事実を受け入れながらも、その検討を今後もあきらめずに、追い求めていくつもりです。

第2は、光マイクロバブル技術を用いた植物工場づくりを進展させることです。

これは、まず、沖縄恩納村において、4750℃という高温のなかで立派にグリーンレタスの栽培を可能にし、すでに出荷も毎日なされています(栽培面積1650㎡)。

この栽培法を見学した台湾の企業が、台湾においても栽培したいといい始め、その研究プラントが建設され、そこに私どもの装置の導入がなされました。

また、茨城県霞ヶ浦では、中規模の植物工場を導入することになり、その設計を終えたところです。

すでに、この春までに導入・設置を済まそうと、先方とのやり取りが始まっています。

霞ヶ浦は、結構寒い場所でもありますので、低温障害を乗り越える植物工場としての最初のモデルとなり、そこから北へ広げていくという構想を抱いています。

農業に勤しんでいる貴方にとっては関心を持たれるテーマかもしれません。

コロナの長期蔓延後には食糧危機がやって来るといわれていますので、この農業イノベーションの展開の糸口を切り拓いていきたいですね。

第3は、昨年末から始まった、ある材料の開発問題です。

これは、K県の専門会社から持ち込まれた依頼であり、その初期実験を終えたところです。

戦後以来、日本社会において、その材料がよく用いるようになりました。それが長い年月を経て、至る所で劣化現象を起こしています。

すでにこの材料開発においては、海の向こうのアメリカにおいて優れた開発がなされてきていますので、これがよい見本です。

これを文字通りにブレイクスルーしていくことが最終目標です。

この開発は、まだ始まったばかりですので、今のところ何とも言えません。

未だ、その見通しに関しては視界ゼロといってよいでしょう。

しかし、この依頼を受けてから、私自身が、実験を行い、そのブレイクスルーをめざすことになり、その実験の日々を楽しんでいます。

この年になっても、未知なるものを求めて実験を行うことは、非常におもしろく、しかも手足を動かしながら、ああだ、こうだと頭を廻しますので、これが、ここちよく、ゆかいなのです。

これから、これが少しの手ごたえ感じ、やがて、その認識が深まり、最後には金的を射るようになるのかどうか。

これも、私自身の実験に依存していますので、その探究の道を歩んでいきたいと思います。

 最後に、㈱ナノプラネットに「大成研究所」を正規に発足させたことについても少し解説しておきます。
 これは、㈱ナノプラネットを研究開発型に発展させ、その中核に大成研究所を据えたことです。
 2年前に、ひょんなことから2つ目の我が家を隣に建築することになり、そのなかに大成研究所を設けました。
 比較的大きなセミナー室、2つの研究室、専用の植物栽培ハウスなどが、その付属施設ですが、最低限の施設を、ひとまず確保できたと思っています。

一昨年から、この研究所の活動を本格的に開始し、とくにコロナ後は、その対応を探究することも考慮しながら、光マイクロバブル技術の研究開発によるビジネス展開ができることをめざしています。

そのために健康を維持しながら、しっかりした仕事をしていく必要があります。

とくに、コロナ以降は、身体の免疫力アップに心掛けながら、それと共に精神を洗練させていくことも怠らないようにして、この逆境に立ち向かっていくことを真摯に探究すしていきたいと思っています。

そんなわけで、私はますます元気で少しも萎えていませんので、どうか、ご安心をよろしくお願いします。

末筆ですが、これからも、貴方が好きな「雨にも負けず、風にも負けず・・・」でよろしくお願いします。

ますますのご健康とご活躍を念願いたします。

敬白


 
 追伸
 コロナが治まったら、広島か、大分でのいずれかで語り合いましょう。

(この稿おわり)。


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