ホットケーキづくり

 先日、ユッツがやってきた時に、家内が「シロクマちゃんのホットケーキ」という絵本を読み聞かせしていたら、ユッツが、すこぶる喜びましたので、実際に、そのホットケーキづくりを始めました。

 家内にとっては、自分の子供たちや孫のしらたまちゃんほかで行ってきたことですので、その喜びをユッツにも味わっていただこうと考えたのでしょう。

 周知のように、ホットケーキづくりは、そのテキストの絵本のように、卵を割るところから始まります。

 その卵の割り方を教えると、ユッツが喜び、「もう1回!」を連発し始め、とうとう4つも卵を割ってボールに入れることになりました。

 まだ、正確に「タマゴ」とは発音できませんが、「・もこ」ということで、こちらも何をいっているのかを理解できました。

 次に行う作業は、卵の入ったボールのなかにホットケーキの粉を入れて混ぜることです。

 この作業を教えると、さらに気に入ったのでしょうか。

 にこやかに笑いながら、いつまでもシャカシャカといいながら、上下に手を動かして混ぜていました。

 その時の様子を示しましょう。

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               最高にうれしそうなユッツ
 
 このように、ヒトは作業労働が好きであり、こうして働くとの喜びを覚えていくのだと思います。

 この混ぜる作業を喜びと感じることができるから、いつまでも、これを続けたい、真に人間らしい行為です。

 「もういいから、これをフライパンで焼きましょう」

と、家内が再三促していましたが、ユッツにとっては、この作業が無くなることになりますので、なかなか止めませんでした。

 この混ぜる行為がよほど気に入ったのか、台所から、それを抱えて書斎にいた私のところまでやってきました。

 その混ぜる行為を私に見せたかったようで、その様子を目の前で見せて喜ばせていましたので、私も心を動かされました。

 この時点においては、それをフライパンで焼いておいしくホットケーキを食べるという行為を想像できなかったからで、それで、フライパンへ移して焼くことに抵抗を覚えたのでしょう。

 その説得を何度も行い、ようやく、そのホットケーキを焼くことができました。

 それをさらに入れてもらい、フォークを二本、右手と左手にそれぞれ持って、それを食べようとしましたが、その一枚物のホットケーキを切って刺し、それを口まで持ってくることができません。

 何度行っても、それができないので、少し支援をしてやりました。

 手を使えば、簡単に摘み、口に入れることができるのですが、それはしたくないというユッツのプライドがあったのでしょう。

 なんとか、苦労しながら、それを食べ始めました。

 それが、あまりにもおいしそうだったので、私も、その裾分けをいただき、ユッツともにその力作の味をゆかいに楽しみました。

 デザートは、大好きなミカンを袋ごと豪快に食べました。どうやら、ミカンもユッツの好物でした。

「散歩」を「もう1回!」

 この後は、「アレクサ」に頼んで「散歩」という曲名の『となりのトトロ』をかけました。

 最近は、リビングにあるテレビからもアレクサを呼び出して好きな曲をかけてくれますので、これをユッツが喜び、その曲に合わせて唄い、踊る仕草を示します。

 そして、この「もう1回」が延々と続くことになります。

 こうして歌を覚え、曲を体感し、音感を鍛えているのだと思います。

 この学習によって、ユッツは音感がよい、情緒豊かな子どもになっていくのではないでしょうか。

 今回は、お迎えが来るまでたっぷりと2時間以上の「ふれあい」をもつことができ、家内も非常に喜んでいました。

 ユッツも相当に気に入ったのでしょう。

 我が家にくると決まって、「・もこ」といって卵を冷蔵庫から取り出すことを促す仕草をするようになりました。

 これを「体験的学習の効果」というのだと思います。

 卵を割り、粉と混ぜて焼く、そしてそれを食べるということを通じて互いの喜びを知る、これは、真に人間らしい、楽しい経験となったことでしょう。

 (つづく)