ある自治体の補助金が不採択

 最後に受けた質問において立ち往生してきちんと答えられなかったために、ある自治体における補助金は不採択に終わりました。

 そのとき、「そのような事例は知らないし、その栽培が可能かどうかは解りません」と正直に返答すればよかったのですが、それができませんでした。

 緊張すると、あるいは初体験の場合には、このようなことが起きてしまいがちです。

 それゆえに、その立往生を非難してはいけません。
 
 貴重な良い勉強をしましたね、と労ってあげるのがよいでしょう。

 しかし、ご本人にとっては、大変なショックであり、しばらくの間、かなり落ち込んでおられたそうです。

 その中小企業診断士の方も、指導不足として反省されたようでした。

 私は、この結果を聞いて、「それは残念でしたね」というしかありませんでしたが、 

 「これからのことを考えるとショックは大きいほど良いですよ」

と申し添え、

 こう続けました。

 「かれが、これからのことでより本気になれるのかどうか、それを尋ねてくざさい」

 しばらくして、

 「本気になっていますよ。自費でもやりたい」

といっていることが伝えられました。

 どうやら、亡くなられた父親の跡を受け継がれ、少なくない問題を背負っていたことから、それを何とか改善したいという思いで地元の銀行に相談したところ、幸いにも支援をしていただくことになったそうです。

 じつは、その決め手になったのが、私どもの光マイクロバブル技術の導入だったのです。

 この度、(株)ナノプラネット研究所は、特許庁の技術評価制度に申請し、今年の第1号として認定されたという報告を受けました(正式認定は近々に届けられるそうです)。

 しかも、この評価値がかなり高く、100点満点中87点でした。

 来社された折に、その技術を丁寧に紹介したことが、かれに感動を与え、信念の形成に役立ったのではないかと思います。

 「そうですか。銀行の支援を受けるようになったからには、本気で頑張らないといけませんね。私も支援いたします」

 こうして、その若い社長さんと中小企業診断士、そして私どもの支援活動が本格化することになりました。

 新たな補助金の申請

 折しも、国の「ものづくり補助金」の公募があり、それに取り組むことがよいのではないかということになり、その技術的支援を行なうことにしました。

 これは、光マイクロバブル技術を用いた新たな植物栽培法を開発することであり、そのノウハウを提供しました。

 先日、その結果の報告があり、幸いにも採択を受けたそうで、若い社長さんの本気が、この採択に結びついたようです。

 結果的に、冒頭で示した補助金が不採択なったことで、より規模の大きな金額の補助金を受けることができるようになったことから、その挽回ができることになりました。

 これは、一度の失敗で終わることなく、二度目、三度目で、それを成功させればよいわけで、それを実現するために、本気になって物事に取り組むことが大切であることを示唆しています。
 
 この若い社長さんの場合、ニーズの泉は足元にあり、最初のチャレンジにおいては、その深掘りが十分でなかったのではないかと思います。

 これから、その設備の導入と本格稼働が始まります。

 その実現は、地域のニーズの泉をより深く掘り下げ、滾々と湧く泉水の量を増やすことに結びつくと幸いですね。

 (つづく)

mari-
マリーゴールド