生きていたアコウ

 これまでの人生のなかで、極上の味に出くわしたことが何度かありました。

 それらは、私の記憶のなかにしっかりと刻まれています。

 「あの時の、アレは最高だった!」

 こう、心の底から思うことができるような味は、小さくない感動を呼び覚まします。

 国東にやってきて、その最高の海の幸に遭遇することができました。

 先日、国東安岐港の魚競りにおいて、目の前で泳いでいたアコウを初めて見ることができました。

 二つのトロ箱にアコウがありました。

 1つは、かなり大きいもので、もうひとつは、比較的にやや小ぶりでした。

 「今日は、あのアコウを買いましょう!」

 家内と合意して、いざ競りに臨みましたが、それらは、すでに先約があり、そこに持っていかれようとしていました。

 そうか、ダメだったかと諦めかけていたら、その購入者が、小さい方のアコウを譲ってくださいました。

 どうやら家内が顔見知りだったようでした。

ーーー これはありがたいことだ! 

と、胸躍らせました。

 ご親切に感謝しました。

 その生きていたアコウの写真を示しましょう。

akou
アコウ
 
 やや小ぶりといいましたが、大きい方は26、27㎝もあり、立派なサイズです。

2匹で800円

 気になる値段ですが、これが破格の安さで、2匹で800円でした。おそらく、大小で、それぞれ550円と250円といったところでしょうか。

 これまで、アコウを、この市場や来元のスイーパーで購入してきましたが、それらは、すでに死んでいた魚でしたので、その分だけ、味が落ちていることが予想されていました。

 しかし、生きたアコウが、どんな味のかは皆目予想できていませんでしたので、それこそ、ワクワクしながらいただきました。

 最初は、もちろん、すぐに刺身にしていただきました。

 身がきれいで、こんなに柔らかくて弾力のある魚は初めてだと、それを捌いた家内がいっていました。

 さて、その味の絶品さは、どう表したらよいのか、少々戸惑いました。

 一言でいえば、上品、極上の味でした。

 まず、舌触りがよく、家内がいうように、柔らかいのだけれども弾力がありました。

 今まで感じたことがない、上品な食感で、これが生きたアコウの味かと感激しました。

 独特の舌ざわり、噛むほどに旨みが出てきて、なかなか嚙み熟せませんでした。

 鯛よりも旨く、また、これまで食べてきたアコウの刺身よりも上品で、まさに極上の味でした。

 「頭は、どうしますか?」

 「やはり、味噌汁が一番ではないかね」

 「そうしましょう」

 この味噌汁も、アコウの味がしっかり出ていて上品なコクが出ていました。

 こちらに来て9年目にして初めて味わった極上のアコウ、やはり生きていた魚は、このようにおいしいのだ、ということがよく理解できました。

 その味噌汁も写真に撮りましたので示しておきましょう。

akoumiso
                 アコウの味噌汁

 9年にして、そして人生70年において初めての生きたアコウの刺身と味噌汁、まさに最高水準の味との出会いでした。

 いつもは、質素な食生活ですので、偶には、こんな幸に恵まれてもよいのではないかと思いました。

 国東のみごとな海の幸に深謝です。


 (つづく)