ひと昔前に、ドイツのゲッチンゲンに留学していたときに、あちこちとドイツ内を旅行したことがありました。

 その折、レストランで食事をしようとしたときに、私どもが注文したのは、ソーセージかシュ二チェル(トンカツ)でした。

 魚については、偶にいただくことがありましたが、日本のおいしい魚に慣れていましたので、格別においしいものを見つけることができずに敬遠しがちでした。

 レストランでメニューを渡されたときに、一番高級なメイン料理としてよく示されていたのが舌平目のムニエルでした。

 こちらでは、この舌平目のことを「レンチョー」と呼んでいます。

 市場の競りでは、その朝の獲れたてが上がってきますので、その鮮度は抜群、したがってその味も格別です。

 新鮮なレンチョーの場合は、偶に刺身で食べることもありますが、やはり、この魚はムニエルが一番です。

 その熱々の味は感激物であり、柔らかさと旨さにはいつも驚嘆します。

 ほっこりと身を多めに解して口に入れ、ゆっくりと噛みながら、その本物の味を楽しみます。

 この味は、どんなヨーロッパの一流ホテルよりも上品で旨いと思います。

 そのレンチョーを6枚(トロ箱一個分)も購入しました。

 新鮮な色具合は、みごとです。

 こんな生きのよいもには、めったに出会うことはありません。
 
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レンチョー

 大きさも立派で、体長は25~35㎝もありました。

 肉厚も1㎝以上もあり、食べ応えがありました。

 このムニエルをドイツの若手に食べさせると感激して飛び上がることでしょう。

 さて、その値段ですが、大きいので500、600円、小さいので200、300円程度でしょう。

 これも超格安がゆえの豊かさといえます。

 国東半島で涵養されたおいしい水に育てられた高級魚です。

 きっと食べ物に詳しい食作家「池波正太郎」さんも吃驚の味だと思います。

 (つづく)