心配事が現実に

 昨日の新聞紙に、東京都におけるコロナ対策の専門会議(「モニタリング(監視)会議」)が開催され、そこで、新型コロナウイルスの感染者数が再び増え始めていることが示されました。

 その現状認識は、

 「さらに増加傾向が続くと、急速に感染拡大することが強く危惧される状況にある」

と報じられています。

 昨日の東京都における感染者数は226名でした。

 最近の感染者数の推移を見ると、感染者数の最小値は9月初旬の頃であり、それ以降、明らかに増加傾向に転じていることが示されています。

 例によって、都知事は「連休4日間の不要不急のお出かけをしないように」と呼びかけを行っていましたが、このような表面的自粛で、そのコロナの危惧を解消することはできないでしょう。

 都知事選の公約として「東京版CDC」を設置し、万全のコロナ対策を行なうといっていたのですから、これはどうなったのでしょうか。

 
上記のように、新型コロナウイルス感染が「急速に感染拡大することが強く危惧される状況」に対して、いったい、どのような有効策を考えているのでしょうか。

 児玉龍彦先生は、新型コロナウイルスのメガクラスターやエピセンターが「まだら模様」に発生しているので、それぞれの感染集積地を、個別に、そして確実に潰していくことが重要であるという指摘を行っています。

 この場合、それらを潰すということは、その「まだら地域」や「感染集積地」を面として徹底してPCR検査を行い、陽性者を完全に隔離していくことを意味しています。

 新規感染者が減少傾向にあるときこそ、この撲滅を行なうべきだと強調されていますが、現実は、有効策なしの「ゆるみ」が進行し、次の感染拡大が深く静かに進行しているのではないかと思います。

 ある経済アナリストが、おもしろいことをいっていました。

 それは、7月の感染拡大と8月の減少傾向の違いにおいて、最も強い因子になったのが、猛暑による高温だったのではないかという推論でした。

 たしかに、今年の夏は猛暑が続き、雨も少なったので、それらが、新型コロナウイルスの感染に、小さくない影響を与えた可能性はあったのではないかと思われます。

 そのアナリストは、その感染者数が最小値を示した9月初旬の時点で、すでに感染者数の増加が始まっているのではないかという意見も示されていました。

 この重要な指摘は、上述の東京都の監視委員会の昨日の現状認識とぴたりと合致しています。

2020-09-19 (2)
東京都の新型コロナウイルス感染者の推移(ヤフーHPより引用)

 このような「急速に感染拡大することが強く危惧される状況」下において、来月1日からは、国民の大多数が賛成していない「Go To トラベル」のなかに東京を加えるというのですから、これは、先の愚策(第一次Go To トラベル)の「二の舞」という謗りを受けるでしょう。 

        愚策が「次の愚策」に感染

 辞職した日本の「ルイ16世」のマスク、中抜き「持続化補助金」、第二波の襲来のなかでわざわざ早めた
「Go To トラベル」、今や二度と見ることができなくなった「東京アラート」、「イソジン騒動」、病気辞任した「ルイ16世」の医者による診断結果が公表されないなど、目に余る出来事が次々に露わになりました。

 これらは、この40年間において吹き荒れてきた「新自由主義の末路」において起きた現象といえますが、あたかも、これらは、新型コロナウイルスだけでなく、愚策が愚策を呼び起こす感染現象ではないかとさえ、錯覚してしまいそうです。

 この感染は、実体経済にも重要な影響を与えています。

 「経済は時間の関数」であることから、時間が経過すればするほど深刻化し、いわゆる経済恐慌の様相を強めています。

 企業の倒産件数の増加、膨大な失業者数、輸出量の急減、貸付先不明の日銀貸付84兆円、インフレとデフレがそれぞれ鮮明になってきた世界各国、異常な高値に踊っている株価、期待外れに終わった第一波後の日本経済の「V字回復」など、ほとんど経済的回復の明るい傾向は見えていません。

 これから本格的な感染拡大の「第三波」に加えて、ますます深刻化していく経済恐慌の下で、私たちは、可能な限りの防御策に関して知恵と工夫を働かせていく必要があります。

 「じっと手を見る」、「じっと待つ」に留まるわけにはいきません。

 そこで、この状況を前向きに把握し、次の方策を考えました。

 ①新型コロナウイルス感染現象を詳しく調べ、そのショックの影響を究明する。

 ②脆弱な「新自由主義」の「ものづくり」ではなく、新時代のたくましい「ものづくり」を模索する。

 ③コロナを含めた「感染症の時代」における技術戦略、技術開発戦術の在り方を考究する。
 
 これらが、後期高齢者になった私の人生において、「おもしろい」、「ゆかいな」試みになるとよいですね。

 (つづく)

matuba
松葉