遠方より友来る

 昨日、かつて同じ職場にいた同僚で、今はM大学教授のK先生が、珍しく来社されました。

 なつかしく「遠方より友来る」の想いが脳裏を過りました。

 先生とは、若い時から、私の研究室によく来られ、私が淹れたコーヒーを飲んでは語り合う仲でした、

 なぜか、前職場においては、先生の良さを理解できた方が多くいなかったことから、私の研究室が、ある意味で、やすらぎの場になっていたようでした。

 私は、若い時から、ありもしない権力を行使する方々に靡(なび)くことはしませんでしたので、それが、かれにとっては「ここちよかった」のかもしれません。

 時には、一日に2回、長々と数時間も語り合うことも珍しくありませんでした。

 振り返れば、私が前職場に赴任したときに、かれは、3年生の高専生でしたので、それ以来ですから長い付き合いをしてきたことになります。

 そのかれが前職場からM大学へ栄転されるときに、かれの関係者から毎日のように電話があり、前の宿場に留まってほしいという依頼が続きました。

 このとき、私は、かれの将来のことを考えると、

 「ここは迷わず、ぜひとも、M大学に行かれた方がよいですよ。今よりもずっと自由にのびのびと仕事ができますよ!」

と繰り返し、その関係者を、逆に説得したこともありました。

 私の場合も、何度か、同じ立場になったことがありましたが、諸事情で、その壁を越えていくことにはならず、定年まで、前職場に留まることになりました。

 これも運命なので悔やんでも仕方がありませんが、自分が望んだとおりには行かないもので、「それはそれでよし」と思って、存分に「我が道」を歩むことができました。

 その場合、もしかしたら光マイクロバブルにも出会っていなかったかもしれませんので、そうであれば、もっと悔いが残ったことになります。

 人生は何がよいのかが解らないこともあり、それに出会うことも悪いことではなかったと思います。

 さて、M先生と面会して、かれが新たな職場で自由にのびのびと活躍されている姿を拝見し、こちらもうれしくなりました。

 互いに価値がある生情報を交換することになりましたので、その懇談は、大いに盛り上がり、充実していきました。

 まず、かれから紹介を受けたのが、ある建築材料でした。

 なかなか興味深い機能を有してるようで、その科学的な原理を調べるために、関係資料を送ってくださるように依頼しました。

 これに関連して、最近の私どもの医工および歯工連携における成果を解説しました。

 また、それらが、現在世界中で起こっている大問題と関係していることについても触れておきました。

 かれは、非常に強い興味を覚えたらしく、熱心にメモを取られていました。

 「共に何ができるのか」

 議論は、自然に「共に何ができるのか」に移っていきました。

 こちらも、かれが専門的に研究されている分野において、ずっと関心を抱いていたことがいくつかあり、それらについても熱心な意見交換がなされました。

 さすがに、かれも苦労して叩き上げ大学教授になっただけあって、私どもの提案や技術紹介をすぐに理解されたようで、その展開に関する重要な示唆をいただくことができました。

 また、その解説を受け、論よりは証拠と、実際に、かれに試していただきました。

 「これがあったら、みなさんは喜ばれますよ」

 「そうですね。これはピッタリですよ。ドライバーには合いますね」

 こうして、あっという間に3時間が過ぎました。

 おかげで、「共に何ができるか」に関して一筋の光明が見えてきたように思いました。

 久しぶりに懐かしい友がやって来られましたので、こちらは、国東の海の幸でもてなしました。

 新鮮なカワハギとレンチョウの刺身、煮つけ、極めつけは、カワハギの味噌汁であり、ゆかいな昼食になりました。

 この6年ぶりの出会いが、重要な何かに結びつくと幸いですね。

 (つづく)

akaihana
赤い花(露地の生垣)