「国東」とは

 早いもので、2012年4月に山口県周南市から、ここ国東市武蔵町向陽台に移り住んでから9年目の歳月を迎えています。

 しばらくは、前職場の高専のことが頭の片隅に残っていたのでしょうか。

 いつまでも、私の研究室の図書や資料が片付かず、引っ越しが完了できていない夢をよく見ていました。

 ところが、最近になって、それを終えた夢を見た後は、一度も、それが登場しないようになりました。

 それは、夢のなかでの引っ越しが完全に終わったことを意味していました。

 これは、ある意味で国東に定着したことを示唆していますが、この間、「国東」とは、

 「どういうところなのか?」

 そして、「その国東で何をすればよいのか?」、

これらをよく反芻してきました。

 ここ国東を次の定住地に選んだ最大の理由は、大分空港があることにありました。

 幸いにも、この空港に車で4分のところに、今の住宅地である向陽台を見つけました。

 それまでは、山口宇部空港、広島空港、福岡空港と、周南市からは不便なところにありました。

 それゆえ、空港まで車で4分のところにある向陽台は都合よく、ここに移り住むことにあまり躊躇はありませんでした。

 しかし、この空の便の格別の便利さ以外のことは何も知らず、国東の「良し悪し」は、実際の「くらし」のなかで探索していこうと思いました。

 まずは、国東の海の幸、野と山の幸を調べてみよう。

 「ここは、自然が豊かなので、きっとよいものがいくつも見つかるであろう」

 趣味心と実益を兼ねて始めたのが「国東の食環境」という記事の連載でした。

 それが積もりに積もって、もうすぐ300回を迎えようとしています。

 それだけ、豊富ですばらしい「食環境が、ここにはある」と驚き、そして、それらをいただきながらの探索がおもしろくなり、それを、ゆかいに記事にすることができました。

 なかでも、気に入ったのが、国東安岐港の市場で新鮮な魚を購入できたことでした。

 ここでは、業者の方が競りで落とした魚を、その価格の2~3割増しで手に入れることができます。

 業者のなかには、スーパーの鮮魚店の方もいて、その競り値の2倍が店頭価格として売られています。

 たとえば100円の小売の魚であれば、それは、その市場においては60~65円で買えるのですから、超格安といえます。

 なんだか、相当に得した気分になって、この競りによく出かけました。

 最近は、お客さんんが来られたときに買いに行きますので、お客さんも私も、「大歓迎」の「魚ゲット」の日になります。

 この数年のうちに、わが家の周りに家が建てられるようになり、そのひとつが斜め隣のMさん宅です。

 Mさんは、もともと両子寺の近くに住まれていたそうですが、最近になって、向陽台に居を移されたようです。

 野菜づくりが上手で、そして親戚に漁師さんがおられ、その野菜や魚を「お裾分け」として、よく持ってきてくださるようになりました。

 何かあると、この「お裾分け」を行なう、これが、この地の風習であり、隣人同士が仲良くするための知恵でもあります。

 これによって、市場の魚だけではなく、両市採りたての魚や自家植えの野菜が時々届くようになり、この記事が、よりおもしろく展開していくようになりました。

 決して、市場やスーパーの店頭では手に入らない、生イリコは、その典型であり、これを新鮮なうちに天ぷらにして食べるという最高水準の料理に出合うことができました。

 これからも、大切なお客さんや友がやってきた際には、この海や野の幸でもてなす、この心づくしを続けることにしましょう。 

ゴーヤーの天ぷら
 
  さて、そのMさんの奥様が、知り合いからたくさん野菜を貰ったからと、野菜の「お裾分け」を持ってきてくださいました。

 その写真を示しましょう。

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                  ゴーヤーと長ナス

 新鮮なゴーヤーをいただいたので、家内から、どう料理をするかを尋ねられました。

 ゴーヤーといえば、沖縄では、ゴーヤーチャンプルーが有名であり、家内の得意料理のひとつです。

 「新鮮なゴーヤーだから、今日は天ぷらにしたらどうかね」

 沖縄では、二番目によく出てくる料理で、泡盛との相性も抜群です。

 この選択が正解、サクサクという歯ごたえとともに、新鮮なゴーヤーの香りがよく、噛み進めたときのほのかな苦みが何ともいえず、久しぶりに、「これぞゴーヤーの天ぷらだ」と心が動かされました。

 もちろん、箸が進み、この格別の味を親しむことができました。 

 このときは、泡盛ではなく、白ワインを半グラスいただきましたが、この相性もよいものでした。

 やはり、地の新鮮野菜に敵うものはありませんね。

 おかげで、このゴーヤーの元気をもらうことができました。

 このお礼に、白兎米(もち米)の赤飯を届けました。

 「何か、よいことがあったのですか?」

と尋ねられました。

 我が家では、めでたいことがあったときだけでなく、普通の時でも、よく赤飯をいただきます。

 今度ゴーヤーをいただいたときには、この赤飯とともに、その天ぷらをMさん宅に届けることにしましょう。
 
 (つづく)

 
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夕暮れ時に向陽台から見える小城山