当面の課題2021
 昨年の初頭から、㈱ナノプラネット内に付属施設として「大成研究所」の活動を本格的に開始しました。 
 それから約1年が経過しましたので、その活動を振り返るとともに、その当面の課題を考えてみましょう。

すでに、本研究所の目的は、次の3つにあることを明らかにしています。

①みなさまの切実なニーズに深く根ざして、その洗練された本物技術の開発をめざすことにあります。

そこでは、優れた光マイクロバブル技術における最高水準の適用を行うことが必要です。

②当面の課題だけでなく、中長期の課題についても、その解決と展望を明らかにします。

なかでも、光マイクロバブル技術戦略に基づく開発プロセスとその展望を明らかにしていくことが重要です。

➂これらの研究開発においては、企業や地域のみなさんの協力と支援を受けて共同を進めることを基本にしています。 

1年前といえば、新型コロナウイルスのパンデミックと大恐慌(パニック)が、世界中に進行し始めたころです。

この史上稀な重大難局に直面して、それを乗り越える切り札のひとつとして光マイクロバブル技術を新たに開発することが重要ではないかと思いました。

長い間、私は、光マイクロバブルに関する技術開発に携わってきましたが、そこで、いつも感じてきたことは、足元にある小さな細部のなかに重要な真実が潜んでいることでした。

それは、「他所の庭を見てはならない、自分の足元を掘れ!」ということを意味していました。

他所の庭には、何か素晴らしいもの、あるいは高価なもの、そして重要なものがあるように見えてしまう、これは、自分に自信がなく、未熟な時に出てきてしまう特徴でした。

じつは、その他所の庭に見えていたものは表面のみであり、その背後に隠されていた細部の真実が潜んでいることに気づいていなかったのだと思います。

その細部に宿る真実こそが科学的本質である場合が多く、その上辺だけを追い求めていると、その本質から自然に反れてしまうことが少なくありません。

なぜなら、他所の庭には、そこで掘り出されたものしか見えず、それを掘っていく途中で、より大切なものがあっても、それを見逃せば、永久に掘り出すことができないからです。

また、どこに水の道があり、そこを掘り進めることで泉に辿り着くかどうかも解りません。

その水気を感じたときに、どう掘り進めるかの方針を決める必要がでてきますが、この決め方において鋭い直観が求められるのです。

日頃から、この直観を鍛え、洗練させていないと、すぐに、泉のある方向とは違う方向に進んでしまうことになります。

 こうして、時間はあっという間に過ぎてしまい、最後には「人生は短し」という感慨を抱くようになります。
 この想いは、後期高齢者になった私においても、徐々に宿りつつありますが、それだけに、残された時間を大切にして、真摯に光マイクロバブル技術の開発に努めることが重要ではないかと思います。
 さて、この1年間を振り返りながら、「大成研究所」において取り組んできた課題についていくつかの紹介をしてきましょう。
 まずは、2019年12月から取り組んできた、ある病院との共同研究の成果について述べることにします。
共同研究の実際と水準 

これまで、数々の共同研究を行ってきましたが、今回は、医師と技術者というコンビネーションであり、それぞれの立場を活かした研究を遂行することが「要の問題」でした。

まず、そのX先生は、光マイクロバブル技術について非常に強い関心を持たれ、その科学的究明に小さくない興味を抱かれていました。

同時に、焦眉の臨床的問題であり、長い間解決できていない問題に取り組み、その解決法を究明することを共通の目的にしました。

私どもは医学に疎く、そしてX先生は、光マイクロバブルのことを知らない、この意味においては、互いに素人と専門の両方を兼ね備えたコンビですが、これが意外によく、互いにそれぞれの素人の部分を学びながら研究を進めることが発展していきました。 
 
さて、今回の共同研究においては、私どもも、これまでにない工夫をすることにしました。

それは、上記の焦眉の、そして長い間の未解決の課題に対して、どう切り込んでいくのか、これをストレートに探究する方法を、月1回の研究日において提示し、その是非を検証することにしました。

周知のように、病気になるときには、アンパンマンの世界に因んでいえば、かならず「バイキンマン」が蔓延っています。

このバイキンマンをどうやってやっつけるのか、これが問題になります。

アンパンマンのような強力な助っ人がおれば、話は簡単ですが、現実は、そうはいきません。

そうなると、光マイクロバブル技術が、アンパンの役割を果たすことが期待されますが、そこまでの力量を発揮できるまでには至っていません。

そこで、アンパンマンのようになるには、どうすればよいのか?

このことを必死で考えましたが、ここで思い知らされたのが、光マイクロバブル技術の「未熟性と水準」の問題でした。

世の中には、昔から、その解決が難しい問題がいくつも残ってきていますので、その壁をブレイクスルーしていくには、それにふさわしい新技術が必要になります。

この、ある意味で常識的問題は、光マイクロバブル技術においても該当することであり、そこにおける知恵と工夫が、その問題解決の鍵となります。

新技術が適用された最初の段階では、「そんなことまでできるのか」と驚きを持って受容されますので、「吃驚現象段階」といってもよいでしょう。

しかし、この段階は長続きしません。

なぜなら、その吃驚が吃驚ではなくなって、常識化されてしまうからです。

その次は、「それができるのであれば、これもできるであろう」と普及が始まる段階に移行します。

ここでは、その適用が「通用するもの」と「そうではないもの」に分かれ、いわゆる「淘汰の段階」へと進んでいきます。

しかし、ここでは、明らかに後者の段階に至っているにも関わらず、目先の知恵を使って、さも本物のように見せかけて、時には、騙しのトリックすらを用いて売りさばくという現象まで出現してしまいます。

これらの現象の本質をよく考えてみると、それは、その技術が未熟で、低次元の発達において起こりやすい現象ということができます。

しかし、これも長続きはしません。

なぜなら、その程度のトリックや騙しは、すぐに解き明かされてばれてしまうからであり、しかも本物の効能を発揮することができないことで、やがて放置されるようになるからです。

次回は、このやや複雑な問題を解明し、その解決方法をどのように見出していくのか、その問題に分け入ることにしましょう。

(つづく)


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春の陽を浴びたスイセン