今月4日の未明に球磨川の氾濫についての報道が入ってきました。

 その報道によれば、前日3日の気象庁の予測において4日の降雨量予測の値は、実際に降った雨量の約半分でした。

 線状降雨帯による集中的な豪雨の到来をほとんど予測できていなかったのです。

 市房ダムの貯水量は、午前2時から急上昇していきます。

 これは、その付近の多良木雨量観測所において1時間雨量で71㎜という猛烈な豪雨があり、そのデータが明らかになっています。

 1時間で72㎜の豪雨が降れば、たちまち川は増水し、大洪水になっていくことが予測され得ます。

 現に球磨川上流にある市房ダムにおいては、この1時間だけで貯水量が毎秒約260㎥も増加してしています。

 ここで、気象庁が、この1時間71㎜もの異常豪雨量の情報をよく理解していたら、午前4時50分に出した特別警報をより前に、すなわち、せめて午前3時過ぎに出すことができたのではないかと思います。

 しかし、その警報がでたのは午前4時50分ですので、その時刻よりは約1時間半の遅れが発生していました。

 当然のことながら、特別警報が発せられたとしても、地域のみなさんは迅速に非難することができません。

 また、自治体を通じて地元への緊急アナウンスにも時間がかかります。

 ですから、緊急避難が出された直後には、水位の上昇や氾濫があって身動きが取れなくて非難ができなかったという証言もありました。

 この4時50分における特別警報を発した時刻が適切であったのかどうか、これが正しく検証される必要があるように思われます。

 2つ目は、この4時50分直後の5時に市房ダムには毎秒約1000トン以上の流入が、5時間連続で発生します。

 その午前9時の市房ダムの水位は280.05mでした。

 このダㇺの満水位は280.7mですので、その時は、満水になる水位までの差がわずか65㎝しかなかったのです。

 この直前の午前8時~9時における貯水池水位の増加量は、約40~50㎝にも達していましたので、1時間余が過ぎると、たちまち市房ダムは満杯になり、緊急放流を行うというアナウンスをしなければならなくなりました。

 テレビ局各社が、この緊急放流を行うという放送をしたのが、この時刻でした。

 私の記憶では、最初のアナウンスが9時半に、それを行うというものでした。

 これを聞いて、私は、この緊急放流が行われるとさらに大惨事が起こると直感しました。

 なぜなら、5時55分に球磨川が氾濫しはじめ、すでに大きな被害がでていましたので、これに加えて市房ダムの緊急放流がなされることで、より規模を拡大させた被害が起こりうることは自明のことでした。

 ところが、ここで、この球磨川の治水を管理している組織の関係者のMさん(T大客員教授)が、テレビ局員の質問に対して、とんでもないことをいい始めました。

 このダムの「緊急放流」とは、ダム貯水池が満杯になってしまって、これ以上貯水を増やすとダムが決壊する恐れがあることから、そうなった時には、ダムに流入した流量を、そのまま放流してよいという決まりの下で放流することです。

 Mさんは、その放流が危険ではなく、あたかも余裕があるように言いつくろい、入ってきた水をそのまま出すのだから、この緊急放流を行っても問題はないという主旨のことを発言していました。

 これは、ごまかしもいいところで、むしろ誤りだといってもよいのではないかと思いました。

 なぜなら、この時球磨川は多数の箇所で氾濫危険水位を超えて、氾濫が起こっていたのであって、目の前のテレビ放送を通じて、直にその様子が示されていたからでした。

 この緊急放流が実際になされれば、もっとひどい大惨事になることは、私だけでなく多くの方々が、そのように予測し、恐れていたことだったのです。

 にもかかわらず、このような軽率で誤った発言を堂々となさったのは、いったい誰に向かってのことだったのでしょうか。

 世間では、これは「御用発言」といわれているようです。

 それを正しいと信じて発言したのであれば、その専門性が疑われることになります。

 その後、この緊急放流は、9時半から10時半に延期されました。

 そして、わずか62㎝で満水位というところで、流入量が減り始め、何とかぎりぎりのところで、この放流は実施されませんでした。

 おそらく、この市房ダムの管理者は肝を冷やしたことでしょう。

 この緊急放流は、一昨年および昨年の台風19号が襲来した時にいくつかのダム貯水池において実行され、それによって小さくない被害を増加させました。

 その記憶に新しい時ですから、少なくないみなさんが、このダムの緊急放流の恐ろしさを知っておられるのではないかと思います。

 この台風の後に、少なくない一級河川において堤防の決壊と反乱が起きたことから、政府の高官がテレビに生出演して非常に重要なことを発言していました。

 次回は、この発言を含めて、この緊急放流問題をより深く考察することにしましょう(つ
づく)。

wakaba
水無月の若葉