新型コロナウイルス感染がもたらした「緊急事態宣言」が解除されたのも束の間、早くも、その第二波の襲来の予兆が見え始めました。

 その典型が北九州市であり、23日間の新感染者なしが続き、その後急速に増え始め、市長の深刻な会見がありました。

 政府からはクラスター班が急遽派遣されましたが、北九州市は、それだけに留まらず、独自のPCR検査を広く行いました。

 感染経路が不明な患者が半数を占め、その感染者の出現が北九州市全体にわたっていたこと、さらには、複数の総合病院と介護施設において深刻なクラスターが形成されていました。

 これらの問題を解決していくには、政府のクラスターつぶしのみではどうしようもなく、ようやくですが5月29日になったPCR検査を積極的に行うことが示され、いわゆる「攻めのPCR検査」が重要となった初めての本格的な事例となりました。

 その意味で、この攻めの検査が市独自で本格的になされたことは、とても画期的で重要なことでした。

 今日までの総検査者数は、4752件、このうち陽性者が206件でした。この陽性率は4.3%です。

 これに単純に北九州市の人口を掛け合わせると、その数は、4.2万人になります。

 真に多数の陽性者がいて、これが、これから生起する第二波以降のサイレントパーソンになっているのです。

   しかも感染の可能性がある非陽性者は95.7%にも及ぶのですから、その多大さにも配慮が必要です。

 これらは、条件が整えば、いつでも新型コロナウイルスの感染が襲ってくる可能性があるということを意味しています。

   ここで、今回の北九州市における新型コロナウイルス感染の第二波のもう一つの重要な特徴は、その第一波よりも進行が速く、しかも感染者の数の規模が大きいことです。

 この最初の感染者は80歳台の男性で、救急患者として病院に運ばれ、ここから以内感染が始まりました。

 この時は、コロナの無症状患者でしたが、病院側は、コロナ感染対応をしたにもかかわらず、ここでスタッフに感染しました。

 ここからクラスターがいくつも形成され、またたくまに広がっていきました。今回の病院感染は4か所で起こり、感染者の約半数が院内感染者でした。
  
 このように、病院側がコロナ対応していても、そこで感染が起きてしまう、ここに小さくない問題があり、この感染経路の究明とより優れた対策を行う必要があるように思われます。

 3つ目は、なぜ小学生において感染が広がったのか、これが明らかになっていないことです。

 これまでは、家庭内感染が主たる原因と考えられてきましたが、今回のケースは、必ずしも、そうではない事例もあるようで、これについて地元の病院の責任者は、「子供は、いろいろなところをすぐに触ってしまうので、その接触感染の可能性がある」と仰られていました。

 たしかにそうで、市内には、子供たちがむやみやたらに「触ってしまう」ものがたくさんあります。 

 この接触感染における危険性とゴム手袋を付けて感染防止を行うこと事の重要性を教育することが求められる日が、おそらく、そう遅くない時期にやってくることでしょう。

 このように、このパンデミックは、視えないところから新型コロナウイルスが侵入してきて、あっという間に拡散していく特徴を有しています。

 このしつこくて厄介な新型コロナウイルス感染の問題をどのように解決していけばよいのかが真正面から問われています。

 この困難と試練を克服するために、新たな科学的英知を集約することによって、多くのみなさんに明るい希望を付与していくことが重要です。

 一方で、新型コロナウイルス感染によって恐慌(パニック)がどんどん進展しています。
 
 時が経過すればするほど、この損失が増え、倒産、失業者の氾濫などが世界中で発生しています。

 この大恐慌化は、大河の流れが決して逆戻りができないように、下へ下へと流れて膨らみ、どんどん深刻になっていくのみではないでしょうか。

 見せかけや架空の株取引やほんの一部の業者の「格差儲け」によって株価が吊り上げられていることに惑わされてはいけません。

 よく観る必要があるのは、世界中の実体経済が、時の経過とともに足元から大きく崩れ始め、深い奈落へと向かっていることです。

 この変化は、本質的でかつ大規模であるがゆえに、私たちの意識や生活のなかまで入り込んできて、その変化対応を思考させる時代が始まりました。

 そこで、私も、それを覚悟して、この4000回記念のシリーズを認めることにしました。

 前回における第1回の記事においては、未知の問題に科学的に切り込む時には、人一倍の勇気が重要になることを示しました。

 この勇気の背後には、それに取り組む覚悟が必要であり、その覚悟の基礎においては、ある程度の「科学的見通し」が求められることになります。

 この「ある程度の見通し」が、「わずかな見通し」でしかない場合もあり、そのような時に、どう、その見通しを徐々に拡大していくかにおいて綿密な作戦プログラムを検討することが重要になります(つづく)。

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シラン