国東半島における私の水めぐりは、次の通りでした。
①両子山麓の走水観音湧水
②国東市大恩寺M氏宅ボーリング水
③国東市櫛来のKさん宅ボーリング水
④国東市来浦のMさん農地ボーリング水
これらの採取位置を示しておきましょう。
今回は、④のMさんの農地でのボーリング井戸を新たに加えました。
場所は国東市来浦であり。静かな農村地帯です。
この写真からも明らかなように、半島中央部にある両子山系から四方に広がって、丘と谷が形成されています。
この丘は、火山活動によって形成された溶岩や噴火で蓄積された礫で構成されています。
また、この丘同士に囲まれた狭い平地には、田圃が造られ、ここで米や野菜が栽培されています。
この栽培において不可欠なのが水です。
この水は、この丘と丘に挟まれた平地の地下において滞留しながら海へとゆっくりと流れていきます。
その概念図をスライド2に示しましょう。
この小川の周囲の地下にも帯水層が形成されて、海へとゆっくりと流出していきます。
この水を利用して稲作や野菜栽培が行われてきました。
しかし、この表面における水のみでは、その農作において常に不足気味になっていましたので、小川の上流には溜池がよく造られるようになりました。
そのおかげで、この溜池池群が世界農業遺産認定の一つの要素になりました。
しかし、この地域にとっては水は貴重品でしたので、新たに農業を興す際には、その水源としてより深い地下水をボーリングして汲み上げることが求められるようになりました。
Mさんは、その農家の一人であり、約30m下の地下水を毎日汲み上げて野菜栽培に利用されています。
先日、このMさんから、そのボーリング水をいただき、早速試飲しました。
とてもピュアでおいしい水位でした。
すでに、上記①~③の水を試飲してきましたので、それらとの比較を行いました。
結果は、柔らかくて、他の混じり物がない、純粋な味、そしてわずかに甘いという①~③の水の味とよく似ていました。
すでにお解りのように、これらの水のおいしさがよく似ているのは、その水を涵養している森と自然、地下の地質、地下水の流動状況などが同一であるからで、そのことがいよいよ明らかになってきたと思うに至りました。
国東の格別においしい水は、国東の森と地質によって製造され、静かに山から海へと流動している、この水づくりのシステムはいずれも同じであり、そのことを水自身のおいしさが証明していると思いました。
その意味で国東半島は、「格別においしい水の郷である」、この認識をますます深めることができました。
そしてMさんが栽培されている野菜のおいしさが、この水によって培われていることも明らかになりました。
みごとな国東の森とそれによって育まれた格別においしい水の半島、これは日本中を探しても見当たらない、国東半島ならではのことであると思います(つづく)。
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