前回の記事の続きです。
新型コロナウイルスに関する第2の特徴は、その全身により小さな突起がたくさん生えていることです。
身体全体の直径は約100ナノメートル(nm)ですので、その角のような突起のサイズは、その10分の1程度といってよいでしょう。
ということは、10~数10ナノメートルの水滴(ドロップ)の粒子を付着できるのではないかと思われます。
すでに述べてきたように、ほとんどすべての生物細胞の表面はマイナスに帯電していますので、この突起においてもプラス帯電の水や有機物を引き寄せる、あるいは自ら吸着させることができるようになっているように思われます。
その模式図をしたの示しましょう。
新型コロナウイルスの模式図
中央の丸い部分が新型コロナウイルスであり、たくさんの突起状の角が出ています。
その先端には、小さなナノサイズの水粒子が付着している様子ですが、これはあくまでも私の仮説です。
空中を漂う霧の水滴の大きさは約1マイクロメートルです。
新型コロナウイルスの身体の大きさと比較しますと、この霧における水粒子の大きさは約10倍になります。
したがって、このウイルスは、霧サイズの水粒子に数個から数10個も付着することができるようになります。
しかし、温度が高くなると、その水分が蒸散し、容積減少を起こします。
おそらく、そうなっても、その突起状にナノサイズの水粒子を吸着し続け、生きながらえていくのではないか、このように想像できます。
さて、霧と同じようなサイズの水粒子は他に何があるでしょうか?
その最も卑近な例が湯気です。
お風呂の蓋をしないでしばらく放置しておくと湯気が上がり、風呂場のなかが温まります。
しかし、周囲の壁はすっぽり濡れていますので、そこまで湯気が上がっていったことを示しています。
ほかに、臭気も同じような現象といえます。
たとえば、豚舎から臭い空気が流れてきます。
これは水粒子に臭気成分が含まれ、おまけに最近も吸着していますので、それが風で飛んできて臭いと感じるのです。
また、海風に乗って潮の匂いを運んでくる現象も同じで、小さな海水の粒子がその正体なのです。
そこで、この湯気と新型コロナウイルスの関係を考察しましょう。
今朝ほど、マスクをした人が咳をした際にマスクの隙間から舞い上がる湯気の動画写真が放映されていました。
真っ暗闇で、口元に光を当てていますので、その咳の際の空気の流動が、白く反射して撮影されていました。
この場合、粒子径の大きい飛沫は、ほとんどマスクで遮断されていますので、湯気の部分しか撮影画像には写されていませんでした。
注目点は、咳と同時に、この白いナノサイズの水滴(ナノドロップ)が、空中の上部に舞い上がり、しばらく、その辺りを漂っていたことです。
それでは、咳をせずに、単に息を吸い込み吐いた場合はどうでしょうか。
「はぁー」と大きく口を開けて吐くと、外が寒い場合には、白い色の息を観察することができますね。
この白色化は、外気によって、口の中の暖かい空気に含まれた水分が細かい粒子になることによって起こりますが、それがナノサイズになるとほとんど見えなくなります。
この湯気の大きさは、50~100ナノメートルといわれています。
丁度、新型コロナウイルスのサイズと同じです。
そうすると、新型コロナウイルス1個と水粒子1個が同サイズで吸着し合うことが考えられます。
また、水粒子がより小さい場合には、新型コロナウイルスの突起に多数の水粒子が付着して存在する場合も想像できるでしょう。
いずれも、空中をひらひらと飛び回ることができますので、これがエアロゾル感染の実体といってもよいのではないでしょうか。
最近になって専門家が新型コロナウイルスの感染速度が速いと口を揃えていいはじめていますが、このナノドロップ感染(エアロゾル感染)であれば、そのような場合もあり得ると考えられるでしょう。
なお、「空気感染」という現象がありますが、これは乾燥したゴミにウイルスが付着した状態で空中を飛び回ることだと説明されています。
この場合と比較すると、水分あるいは水粒子が在り無しで違いが出てくるようです。
そうしますと、新型コロナウイルスは、水分が好きか、嫌いかが問題として浮上してきます。
現に、このウイルスは、口のなか、喉の奥、肺のなかにいますので、水分を好んでいるはずです。
そうであれば、嫌いにさせることができるのか?
それは、どのようにしたら可能になるのか?
新たな仮説が生まれてきたようです。
これをどう検証すればよいのでしょうか?(つづく)。
新型コロナウイルスの顕微鏡画像(国立感染症研究所提供)
コメント