先月の27日の夜、大分県南部の佐伯市を中心において記録的な豪雨がありました。

 私が住んでいる国東においても豪雨があり、その様子がテレビで報じられて佐伯市を中心にして大変な降雨量になっていることを知りました。

 その後の報道では、佐伯市において21時27分までの1時間に、1月としては国内観測史上最大の117.5ミリメートルを記録したことが示されていました。

 この最大降雨を前後して5、6時間の間に、時間雨量において100㎜を超えていることも明らかにされていました。

 幸いにも、この豪雨における人的被害はなく、小規模の土砂崩れや道路の冠水程度で済みました。

 合計で500~600㎜の大量の降雨があったにも関わらず、被害が少なかったことに関して、「おやっ!」と思いました。

 「なぜ、こんなに大量の雨が降ったにもかかわらず、ほとんど被害がなかったのであろうか?」

 一昔前においては、「1日100㎜の雨が3日連続で降ると大雨になり、大災害が起こる」ということを経験的に知っていましたので、今回の豪雨は、これにあてはまらない理由があるのかもしれないとふしぎに思いました。

 そこで気になって調べてみると、今回の異常な史上最大の豪雨は、非常に狭い範囲において発生していました。

 それがテレビの雨量画像において、線状のわずかな領域において赤色で表されていました。

 この狭い降雨領域が丁度佐伯市付近で発生し、それがより東へと移動していました。

 この豪雨は、九州を通過している低気圧に、南から暖かく湿った空気が流れ込み、積乱雲が立て続けに発生したために発生し、大分地方気象台は「空気が乾燥する冬の豪雨は極めて珍しい」ことを報じていました。

 気象台は、この豪雨を「記録的短時間大雨」と認定し、その警戒を呼び掛けました。

 この大雨情報の発令は、これまにおいては沖縄において度々なされていました。

 その沖縄にしばらく住んでいましたので、その豪雨がどんなものかは体験的に解っていました。

 大粒の雨がどさっと降る、これが沖縄の豪雨の特徴ですが、それが1カ所に留まって停滞することはなく、すぐに移動していました。

 この豪雨に直面したときには、それが通り過ぎるまで待つ、これに徹していました。

 それゆえ、私は雨傘を持っておらず、それでも不便に思うことはありませんでした。

 これと比較すると、今回の佐伯の豪雨は、長期にわたって降り続きましたので、それが沖縄とは大きく違っていました。

 これは、高い山がない沖縄とは異なる地形条件によって発生したものではないかと思われます。

 さて、今回の佐伯豪雨において、私が重要だと思ったことは、これまで沖縄地方にしか発生していなかった「記録的短期間大雨」が初めて九州において発生したことでした。

 すでに何度か述べてきたように、ここ数年の豪雨や台風による被害は、かつてとは桁違いの規模を示すようになりました。

 これらは、これからも頻繁に起こりうることであり、その気候変動の一つの傾向を示すものとして、今回の佐伯豪雨が起こったといってもよいのではないかと思います。

 気候変動によって、大災害をもたらす深刻な変化が起こっている、そのことの重大性、深刻性をしっかり把握して、それに備えた対応を行なうことが、今、切に求められているように思われます。

 「わが亡きあとに洪水は来たれ!」

ではなく、

 「今、わがあるうちに、洪水に備えよ!」

ではないでしょうか(つづく)。

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沖縄大浦湾(遠くに辺野古の基地埋め立て重機が見える)