国東市富来のMさん宅のボーリング水は、柔らかくて甘い、すこぶるおいしい水でした。

 「これは、すばらしい。なんと、おいしいことか」

と、驚きを覚えました。

 この時、このおいしさに誘起されたことは、それが走水観音湧水の味によく似ていたことでした。

ーーー もしかしたら、それ以上かもしれない。 

 こう思いながら、私の頭のなかはかなり混乱していました。

 その後も、繰り返し、この水を賞味し、そのおいしさが間違いないことが確かめられました。

 しかし、この時は、両子山の麓、国東市富来の大恩寺という2つの地点の水情報に過ぎませんでした。

 前者は地表への湧水、後者は地下40mのボーリング水であり、水源の違いもあって、国東藩と全体の水事情については未だ十分な理解に達していませんでした。

 一方で、前者の走水観音湧水に関する光マイクロバブル水づくりの研究が、かなり進展していきました。

 なかでも、この水を備前焼に用いた事例は興味深いものでした。

 周知のように、焼物は、きめ細かい土の微粒子に水を加えて練り物にします。

 それを器や花瓶、壺にして成形し、焼き上げる作品に仕上げていきます。

 その際、土を捏ねるのに必ず水を使います。

 また、その捏ねた土を用いて成形し、それを窯の中で養生します。

 この養生過程において、土と水分が馴染んでいきます。

 どうやら、この馴染み方が通所の水とは異なっていて、表面におけるカビの生え方に影響していたそうです。

 また、これは本当に驚いたことですが、高温で焼いた際に、光マイクロバブル水を含んだ方で重要な変化が起きました。

 それは、熱の伝わり方が大きく、より高温側で焼いた傾向に類似したいう非常におもしろいものでした。

 さて、この走水観音湧水は、大昔に大規模な火山活動の結果として形成された山麓の帯水層に蓄積された水分がじわじわと流れ出すことによって形成されたものであり、その背後に巨大な帯水瓦礫が存在しているはずです。

 この帯水瓦礫のなかを沁み込んだ雨水が浸透、流動する過程で水粒子が細分化され、同時にミネラル成分も付加されて、この湧水の味が形成されていったのだと思われます。

 これが、単なる地下水の浸透水とは異なり、ことさら柔らかい、そして甘みを感じる湧水を出現させたのではないかと思われます。

 この柔らかさと甘味が、竹田の河宇田湧水の味とかなり異なっている特徴といえます。

 この走水観音湧水を光マイクロバブル水処理を行なうと、ますます柔らかく、そして甘くなります。

 それゆえに、この処理水を用いてコーヒーやお茶を淹れると、その味が引き立つとともに、より遅れて甘味を感じるようになります。

 こうして、走水観音の光マイクロバブル水の洗練された味が、私どもの脳裏に深く定着していくことになりました。

 それは、国東地区における湧水の基本の味が設定されたことを意味していて、これを基本にして、その他の湧水の味を比較検討することになりました(つづく)。 
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            国東半島における走水観音湧水地点とMさん宅