久しく、中断していましたが、このシリーズを再開します。
ここに、2019年10月9日付の新聞における派手な一面広告があります。
「油性マーカーがシャワーで消える。」
本当に、そうなのか?
読者の方々は、次のような疑問を持たれるでしょう。
①本当に、シャワーで、油性マーカーの文字が消えるのか。そうであればすばらしい。
この広告をそのまま信じて、「すごいことだ!」と思ってしまう方です。
②そんなはずがない。油性マーカーの文字が、シャワーだけで消えるはずがない。
なにか、おかしいトリックを使っているはずだ、と思う方もいるでしょう。
当然のことながら私は、この②のように思いました。
なぜなら、私は、その広告よりも相当前に、それと同じ実験を行ったことがあったからです。
光マイクロバブル水(あるいはマイクロバブル水)で、油性マジックペンの文字が消えるかどうかを詳しく検証しました。
その時の結果は、「油性マジックペンの文字は、光マイクロバブル水(マイクロバブル水も同じ)では決して消せない」でした。
ただし、「特殊な条件下では、それを消すことができる」ことも明らかになりました。
この特殊な条件下とは、油性マジックペンで文字を書いた直後のことでした。
この直後とは、せいぜい10秒前後のことです。
その最初は、大勢のみなさんが私の実験室に来られたときに、かれらの目の前で行った実験でした。
その一人が、「マイクロバブルの水で油性マジックの文字を消すことができますか?」と質問してきました。
「そうですね、実際に、ここで、その実験を行ってみましょうか!」
そこにいたみなさんが、大いに喜ばれたのはもちろんのことでした。
早速、ペットボトルの上に油性マジックペンで、一本の線を描きました。
そして、それに光マイクロバブル水をかけて、その上を指で撫でてみました。
そしたら、どうでしょう。
その線は、みごとに消えていったではありませんか!
そこにいた、ご一同のみなさんは、この結果に大いに心を動かされていたようでした。
この直後とは、せいぜい10秒前後のことです。
その最初は、大勢のみなさんが私の実験室に来られたときに、かれらの目の前で行った実験でした。
その一人が、「マイクロバブルの水で油性マジックの文字を消すことができますか?」と質問してきました。
「そうですね、実際に、ここで、その実験を行ってみましょうか!」
そこにいたみなさんが、大いに喜ばれたのはもちろんのことでした。
早速、ペットボトルの上に油性マジックペンで、一本の線を描きました。
そして、それに光マイクロバブル水をかけて、その上を指で撫でてみました。
そしたら、どうでしょう。
その線は、みごとに消えていったではありませんか!
そこにいた、ご一同のみなさんは、この結果に大いに心を動かされていたようでした。
「これは、すごい」
と思われたことでしょう。
実験を行った私自身も、この時の実験結果をしっかり記憶に残すことができました。
しかし、それ以上の探究は行わないままで、その後かなりの時が過ぎていきました。
そして、その記憶を思い起こしたのは、ある企業との壁面洗浄に関する共同研究が始まった時でした。
それは、高圧洗浄機において光マイクロバブル水を用いて洗浄すると、その洗浄効率がアップするかという課題でした。
本実験を行う際に、その基本として光マイクロバブル水の洗浄機能を把握しておきたいとと思って、上述のペットボトル実験のことを思い出しました。
光マイクロバブル水を入念に製造し、さて、何で試そうかと思って探していたら、目の前にサンプルとしていただいていた壁面タイルがありました。
早速、油性のマジックペンで線を描き、その上に光マイクロバブル水をかけてこすってみました。
すると、どうでしょう?
その線は、一向に消えません。
線を塗った直後であっても、少しも消えませんでした。
「それでは、あの時、なぜ、ペットボトルに描いた線は消えたのか?」
この疑問が、当然のことながら湧いてきました。
ーーー それならば、同じペットボトルで実験を再びやってみればよいではないか!
早速、その実験を行ってみると、今度は、少しも消えないではありませんか。
なぜか?
あれこれやっているうちに、描いてすぐに光マイクロバブル水をかけて消せば、消えることが解りました。
ーーー なんだ、そんなことだったのか!
もちろん、自分の皮膚表面に油性マジックペンで線を描いて、それを消す実験を行ってみました。
結果は、同じで、塗った直後においては、その線が消え、しばらくすると、マジックペンのインキが皮膚の皴のなかに入り、表面が乾いてしまうと、それがまったく消えないことも確かめました。
そして、「光マイクロバブル水、あるいはマイクロバブル水には、油性マジックペンで描かれた線や文字を消す能力はない」ことが明らかになりました。
この結論を踏まえて、皮膚表面に塗られた油性マジックペンで描かれた線が、マイクロバブル水で消える、あるいは、マイクロバブルを含むシャワー水で消えるという問題をよく考えてみると、次の明察が可能になります。
「この宣伝には、巧妙なトリックが用いられている。しかも、このトリックは、間違いではないが、あたかも『マイクロバブルで油性マジックペンで描いた線が消える』ということを理解させようとした悪質な宣伝に利用されている」
私の知人は、このシャワー装置をわざわざ購入して、この誇大宣伝と同じ実験を自分で行ってみたそうです。
当然のことながら、マジックペンの線は、少しも消えなかったそうで、憤慨しながら、その結果を私に報告してきました。
ここで、重要なことは、やや巧妙で、その実体は悪質なトリックにすぎないのですが、日本人は、それは騙されやすいという性質を有していて、それを見破り、撃退していく科学力を養う必要があることです。
科学としてではなく、イデオロギー(思想、観念)として物事を理解してしまうのが、日本人的特質なのです。
と思われたことでしょう。
実験を行った私自身も、この時の実験結果をしっかり記憶に残すことができました。
しかし、それ以上の探究は行わないままで、その後かなりの時が過ぎていきました。
そして、その記憶を思い起こしたのは、ある企業との壁面洗浄に関する共同研究が始まった時でした。
それは、高圧洗浄機において光マイクロバブル水を用いて洗浄すると、その洗浄効率がアップするかという課題でした。
本実験を行う際に、その基本として光マイクロバブル水の洗浄機能を把握しておきたいとと思って、上述のペットボトル実験のことを思い出しました。
光マイクロバブル水を入念に製造し、さて、何で試そうかと思って探していたら、目の前にサンプルとしていただいていた壁面タイルがありました。
早速、油性のマジックペンで線を描き、その上に光マイクロバブル水をかけてこすってみました。
すると、どうでしょう?
その線は、一向に消えません。
線を塗った直後であっても、少しも消えませんでした。
「それでは、あの時、なぜ、ペットボトルに描いた線は消えたのか?」
この疑問が、当然のことながら湧いてきました。
ーーー それならば、同じペットボトルで実験を再びやってみればよいではないか!
早速、その実験を行ってみると、今度は、少しも消えないではありませんか。
なぜか?
あれこれやっているうちに、描いてすぐに光マイクロバブル水をかけて消せば、消えることが解りました。
ーーー なんだ、そんなことだったのか!
もちろん、自分の皮膚表面に油性マジックペンで線を描いて、それを消す実験を行ってみました。
結果は、同じで、塗った直後においては、その線が消え、しばらくすると、マジックペンのインキが皮膚の皴のなかに入り、表面が乾いてしまうと、それがまったく消えないことも確かめました。
そして、「光マイクロバブル水、あるいはマイクロバブル水には、油性マジックペンで描かれた線や文字を消す能力はない」ことが明らかになりました。
この結論を踏まえて、皮膚表面に塗られた油性マジックペンで描かれた線が、マイクロバブル水で消える、あるいは、マイクロバブルを含むシャワー水で消えるという問題をよく考えてみると、次の明察が可能になります。
「この宣伝には、巧妙なトリックが用いられている。しかも、このトリックは、間違いではないが、あたかも『マイクロバブルで油性マジックペンで描いた線が消える』ということを理解させようとした悪質な宣伝に利用されている」
私の知人は、このシャワー装置をわざわざ購入して、この誇大宣伝と同じ実験を自分で行ってみたそうです。
当然のことながら、マジックペンの線は、少しも消えなかったそうで、憤慨しながら、その結果を私に報告してきました。
ここで、重要なことは、やや巧妙で、その実体は悪質なトリックにすぎないのですが、日本人は、それは騙されやすいという性質を有していて、それを見破り、撃退していく科学力を養う必要があることです。
科学としてではなく、イデオロギー(思想、観念)として物事を理解してしまうのが、日本人的特質なのです。
科学の目で、物事を考えようとする視点に長けていないことを示唆しています。
マイクロバブル(後に「光マイクロバブル」呼称)技術の創始者としての私には、本技術を正しく発展させ、普及していくという責任があります。
したがって、このような悪質なトリックに引っかかって騙されてしまう人々に、小さくない喚起を促すことが重要だと思っています。
油性マジックのトリックには気をつけろ、そのトリックを見破れ!
要注意ですよ、といいたいですね。
次回においては、油性マジックペンで描いた線を消すことに関する実験に関する究明により分け入った結果を明らかにすることにしましょう(つづく)。
レモングラスが大きく育ちました(前庭)
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