先日、国東のネギ農家を視察しました。

 国東には、同じネギ農家が44軒あるそうで宇佐地区を含めて、この辺りは一大小ネギ産地といえ、年間約30億円の出荷額を得ているようです。

 また、小ネギの販売においては「味一ネギ」という商品名で統一されています。

 最近、この味一ネギが高騰し、近くのスーパーでは、一束299円になっていました。

 いつもは一束100~150円ですので、2~3倍に跳ね上がっています。

 おそらく品薄になって高騰してきたのでしょう。

 その辺の事情も聴いてみようと思っていました。

 この国東や宇佐地区においては、「小ネギトレーニングファーム」という支援制度があり、外部から移住してきた農家のみなさんに、1~2年の間、小ネギづくりの研修をしていただき、そこで成果を出して定住していただくという試みがなされています。

 この支援活動が、移住者にとっては好都合だそうで、国東・宇佐地区を中心に約100軒において小ネギ栽培がなされています。

 なかには、外国で仕事をされていた方、若い農家志望、大学農学部出身者など多彩な方々が集まっておられるようです。

 「最近は、スーパーで売られている小ネギが高くなってなかなか買うことができません。いつもの価格の3倍近くになっています」


 「今は、品薄状態になっていますので、それで高くなっているのでしょう」

 「どうして品薄になっているのでしょうか?」

 「天候不順でネギが育たなくなっていることが一番大きな原因だと思います」

 「天候不順といいますと・・・?」

 「春から夏にかけて急に温度が上がる場合、夏場の高温、日照不足、台風、集中豪雨、長雨、秋から冬場にかけての急激な温度上昇、さらには冬になると低温障害などがあり、年中、これらの天候不順と戦っている、といってよいでしょう」

 「それは大変ですね。さぞかし、ご苦労の連続のことと思われます」

 こういわれ、そのネギ農家は、「ここを選んできたわけですから、弱音ばかりをいっていてもネギは育ちません」とでもいいたそうな顔をなさっていました。

 「それらの天候不順のせいで、小ネギはどうなるのですか。一番困っていることは、どんなことですか?」

 「一番困っているのは、小ネギの先が枯れて黄色くなってしまうことです。こうなってしまうと出荷ができなくなります」

 「『先枯れ』という現象ですね。以前に植物工場の支援をしたことがありますが、そこではほとんどすべてといってよいほどに先枯れが起こっていて、これは大変だと感じたことがありました。そこでも出荷できないと悩んでおられましたよ」

 「せっかく育てて大きくなっても、出荷前に『先枯れ』になってしまうと泣くに泣けません。しかし、私たちは、これをどう解決したらよいのかがわかっていません」

 「その先枯れが起こるときの状況を詳しく教えていただけませんか?」

 「主に春から夏になる時、真夏の高温の時、秋から冬に向かう時などにおいて急に温度が上がったときが一番危ないです」

 「急激な温度上昇でたちまちハウス内が高温になる、これでネギが弱るのですか?」

 「ネギは、この温度変化に対応できません」

 「そのような温度変化は、珍しいことではなく、常時起こっているのではないですか?」

 「そうです。いつもひやひやしながら過ごしています。この繰り返しによって『先枯れ』が起こってしまいます。これが起こると出荷できなくなり、その回復を待つのですが、これがすぐには回復しないので困っています」

 「懸命になって育てても、出荷前に、そんな状態になってしまうとがっくりしますね」

 「がっくりしますが、こればかりはどうしようもないと思ってきました」

 「一度ネギの先が枯れてしまうと、それが回復することはあるのですか?」

 「ありません。新しい葉が出てくるのを待つしかありません」

 「そうですか。それは大変ですね」

 この先枯れ問題は、まさにネギ農家にとっては「解決したい、解決していただきたい」という強いニーズでした。

 そこで、このネギの先枯れ現象に関する研究について調べてみました。

 やはり、この原因には、ハウス内の高温や多湿度が深く関係しているようで、数々の研究論文がネット上でも拝見できました。

 ネギの場合、その先端は、最も細胞分裂を多く繰り返して成長していく場所ですので、植物にとっては、代謝のエンジンに相当する最も大切なところです。

 若くて一番成長する部分が枯れてしまうのですから、これは、ネギの生育にとっては最悪の事態です。

 ですから、ネギの生育エネルギーを投入して、弱った生命エネルギーを逆に増大させるという根本的な改善方法を究明することが、非常に重要になるのではないかと思うようになりました。

 そうしないと懸命に働けど、わが暮らしは楽にならざる、という啄木の歌そのものが示した状況から少しも脱出できないということになります。

 しかし、深刻な事態は、それだけに留まりませんでした。

 次回は、その問題に分け入ることにしましょう(つづく)。

neginosakigare
 ネギの先枯れ(これでは売り物にならない)