著名な小説家の森村誠一さんが国東半島を舞台にして小説を書かれ、そのなかで国東半島を「日本の地中海」と呼んでいた記憶があり、そのことを何度かにわたって述べてきました。

 おそらく、かれの小説のなかで、国東半島のことが書かれていたのだと思って、それを調べてみました。

 それは、すぐにわかりました。

 その最初の小説名は「暗渠の巡礼」だったようで、これを後に「指名手配」と改変して出版されていました。

 そこで早速、この本をアマゾンで注文しました。

 これは森村誠一さんのデビュー初期の作品のようで、それを私が若かりし頃に読んでいたのだと思います。

 その国東半島は名水の里であり、典型的な湧水のひとつが両子山の麓にある「走水観音湧水」です。

 この水を何度も汲みに行って光マイクロバブル化しました。

 それを飲用として試験し、その味を確かめてきました。

 また、その光マイクロバブル化した水をある有名な備前焼作家に送付し、焼き物づくりに利用していただいたこともありました。

 もちろん、この結果は非常におもしろいものでしたので、それを本ブログで紹介したこともありました。

 その原水の味は、柔らかくて甘いことに特徴がありました。

ーーー この柔らかさと甘さにおいては、竹田の河宇田湧水よりも優れている!

 まず、この違いが明らかになりました。

ーーー なぜ、このようにおいしい水が湧いてくるのであろうか?

 当初は、阿蘇山からの湧水である河宇田湧水の方が優れているのではないかと予測していましたので、この結果には驚きを覚えるとともに、その理由が解らず、やや混乱した頭の状態になっていました。

 阿蘇から竹田までは長い距離があり、その地下を流れてくるのであるから、河宇田湧水の方がおいしいはずだと思っていたのですが、それはみごとに的外れになってしまいました。

ーーー それでは、阿蘇の地下水と走水の湧水の何が違うのか?

 この疑問が徐々に膨らんできました。

 人工的な汚染物が地下に沁み込み、それが水質に影響を与えることに関しては、河宇田の湧水の方がより入り込む可能性があります。

 一方、走水の方は、人工的な汚濁物が入り込む要素がまったくありませんが、最近ではイノシシなどの獣の影響はあるのではないかという指摘もあります。

 山の高さにおいては、両子山は阿蘇山の半分、裾野の大きさは、桁違いに阿蘇山の方が大きく、そのことで地下水の流出経路が異なって水質が変化する可能性はありそうです。

 しかし、その経路について詳しく究明できていません。

 両者の比較において小さくない相違は、阿蘇には山肌が多く、一方で国東半島においては緑に覆われた山と自然の森で覆われていることにあるのではないかと思われます。

 水は、山や森によって涵養される、これは自然の摂理といえ、その水が地中に沁み込み、その後地下水として湧き出てくることは、日本の各地で出現している現象です。

 それを踏まえると、走水観音湧水が柔らかく甘いという固有の水質を持っていても不思議ではありません。

 この水を光マイクロバブル化すると、より柔らかく、そしてより甘くなります。

 この光マイクロバブル水で上等の日本茶を入れて朝一番に飲んで楽しむのが、私どもの習慣です。 

 お湯の量を少なくしてやや濃いめの「かりがね茶」をおいしくいただくことで目を覚まし、朝の会話が始まるのです。

 「走水観音湧水はお茶によく合うね」

 「そうですね。かりがね茶を飲み始めてから長い年月が過ぎました」

 「このお茶の味は変わらないね」

 「変わったのは私たちですよ。年を重ねてますますお茶が好きになりました」

 こうして、走水観音湧水の格別のおいしさが、いつしか自然に明らかになりました。

 しかし、この走水観音湧水のおいしさは、両子山の麓にあるという、ある意味で特別の場所におけるものだと思っていました。

 ところが、この固定観念が、その一部において、ある日突然、崩れ落ちていくことになりました。

 次回は、その思いがけないおいしい水との出会いを紹介することにしましょう
(つづく)。

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国東半島の森(再録)