ある企業との共同研究を契機にして、光マイクロバブル水の洗浄力を試すことが自覚的に究明されるようになりました。

 すでに、その最初の方の結果について述べてきましたが、これはいつもの通りで試行錯誤を伴うものでした。

 換言すれば「山あり谷あり」であり、その過程で山や谷に迷い込んでしまうことを常にしていました。

 そんな時は、そこを真っ直ぐ進んで突き抜けていくことが重要です。

 この直進には、ある程度の根気と粘りが必要ですが、そのコツは、あまり大変なこととは思わずに楽しみながら実践することにあります。

 ある時、少し時間ができたので、この油性マジック文字の洗浄実験を行いました。

 光マイクロバブル水の方は、常時、コーヒーを飲むために製造していましたので、それを使うことができました。

 油性マジックペンも研究室に備わっていましたので、残るは、それを描く物体を何にするかでした。

 すでに、タイルやヒトの皮膚については実験済みでしたので、それらを除外して、何か良いものはないかと、辺りを物色してみました。

 そこで本棚の一角に見つけたのがCDのケースでした。


 「このケースは初めてだ。これに油性マジックペンで描いてみよう」

 描いてから、それが乾くのを待って、光マイクロバブル水で拭いてみました。

 そしたら、どうでしょう。

 CDの箱に描かれた油性マジックペンの線が、みごとに消えるではありませんか。

 「確かに消えている!」

 わが目を疑いながらも、その事実を信じないわけにはいきませんでした。
 
 「いただいたタイルの表面に描いた線は、光マイクロバブル水で少しも消えなかった。

 ところが、CDのケースに描いた線は、驚くほどにすっかり消えてしまった」

ーーー この違いは何なのか?

 この原因を明確に究明するには至らなかったものの、このCDの結果をヒントにして、次の実験を思い付きました。

 「このCDのケースと同じ結果が床において起これば、これは大変な成果になる。床の清掃は立派なビジネス事業になっているので、きわめて重要な開発になる!」

 こう思いながらワクワクして、研究室の前の床に油性マジックペンで小さな印を付けました。

 このワクワク感は、すぐに打ち消されました。

 いくら光マイクロバブル水を注いで強くこすり付けても、その印は少しも消えることはありませんでした。

 「やはり、だめか!柳の下にドジョウはいなかった」

 肝心の床においては、光マイクロバブル水で油性マジックペンの印を少しも消すことはできず、CDのケースの場合とは真反対の結果となりました。

 ここで、これまでの結果をまとめてみましょう。

 いずれも光マイクロバブル水を用いて、油性マジックペンで描いた印を消すことを試みたものでした。

 ①ペットボトルに描いた印・・・最初の実験においては消えた。

 ②ペット
ボトルに描いた印・・・二回目の実験では少しも消えなかった。

 ③壁
用タイルに描いた印・・・少しも消えなかった。

 
④CDのケースに描いた印・・・みごとに消えた。

 ⑤床に描いた印・・・
少しも消えなかった。

 これらの結果から見えてきた特徴は、光マイクロバブル水では、油性マジックで描いた印はほとんど消すことができないという事実でした。

 そのなかで④の結果は、①と同じでしたので、想定外のことが起こっていて、そこに、淡いことでしたが、何かしらの期待を想起させるものがありました。

 しかし、①と②の相反、④と②、③、⑤の相反問題の詳細については、頭の中できちんとした整理ができずに、小さくない混沌が支配し続けていました。

   これらを踏まえ、光マイクロバブル水による被洗浄物の洗浄のメカニズムについて、やや深堀をしてみましょう。

 スライド1に、その洗浄断面を示します。

 
hi -1
 被洗浄面に油性のマジックペンで線を描くと、その上に油性マジック液の膜が形成されます。

 これらの被洗浄面はマイナスに帯電している場合が多く、この面にはプラス帯電の有機物系の汚れた物質が付着しやすく、それが時間経過を経て汚れ面として形成されていきます。

 この油性マジックペンは、その汚れと同じくプラスに帯電していますので、この被洗浄面に付着しやすく、これが乾くと定着して落ちない汚れになってしまいます。

 それ故に、この油性マジック液の上に光マイクロバブル水を供給しても、これが、この油性マジック液面を剥がす能力がないと、それが剥がれて消えてしまうことは起こりません。

 また、光マイクロバブル水を供給した後に、布などで被洗浄面を強く擦っても、その油性マジック液が、その非洗浄面からなかに浸透していると、それを剥がし落として消すことは不可能になります。

 そのことをスライド2に示します。

sennjyou-5
 油性のマジック液が、被洗浄面になかなか浸透しにくい場合でも、上図に示すように被洗浄面において小さな凹凸がある場合には、その窪みのなかに油性マジック液が入り込んでしまいます。

 すでに述べてきたように、非洗浄面がマイナス帯電している場合に、それが小さな窪みになっているとますますマイナス帯電の大きさが増大し、そこにプラス帯電の油性マジック液が侵入すると互いに強固に引き付け合って、そこから流出することができなくなってしまいます。

 いくら、光マイクロバブル水を注いでも、この窪みのなかに入ってしまった油性ペンの液体を取り出して、それを消し去ることは困難なことだったのです。

 それでは、上記の①と②は、なぜ起きたのか?

 この謎ときは、できていませんでしたので、さらに、この光マイクロバブル水実験が続くことになりました。

 次回は、その延長実験の結果を紹介することにしましょう(つづく)。

mari-5   マリーゴールドとチェリーセージ