先日、昨日の記事で紹介したSさんお二人が東京から国東に来られ、私の相棒の案内で国東半島の名所めぐりをなされたそうです。

 そのお一人は大学の彫刻コースを出られた方のようで、国東にある彫刻に関する解りやすい批評を聞けたと、私の相棒はとても喜ばれていました。

 両子寺の2つの石造りの仁王像の大きさは最大のもので、このようなサイズの石像づくりは、きわめて難しいのだと仰られていました。

 このようなジャンボサイズの石像を造るには、彫刻家としての工夫が随所になされているようで、そのことをミケランジェロのダビデ像を手本にしてわかりやすい解説がなされました。

 その一つが、巨大なダビデ像を製作するにあたり、ミケランジェロが考え、工夫したことは、顔の部分を大きくしたことでした。

 たしかに、この像をルーブル博物館で観た時は、この巨大な像を下から見上げましたので、バランスがよくとれていた体形を感心することができました。

 このダビデ像と同じように、両子寺の石仏像にも、その工夫がなされているとのことでした。

 これは、両子寺の仁王像の仏師がミケランジェロに匹敵するような技量を持っていたことを示唆していますので、国東にとっては重要な指摘だと思いました。

 Sさんらが、次に訪ねたのが、国東市国見の旧千燈寺近くに設置されたアントニー・ゴームリー」作の「Another Time XX」の像でした。

 この作者は世界的に著名であり、鉄製の自分の像が製作され、世界のあちこちに設置されています。

 作者は、この地を非常に気に入ったそうで、神仏混合の歴史の時空間のなかで、国東半島の中心位置から東を見つめる自分の分身の像を置くことによって、未来と宇宙を観るという壮大な芸術表現をなされています。

 この分身が佇んだ地は、かつての火山の噴火口近くであり、ここから噴き出したマグマが四方に流れ出て国東半島が形成されています。

 それが四方に流れ出した距離は約20㎞、なだらかな流れであったゆえに、きれいな円形状の半島を築くことができました。

 その後、国東半島は森で覆われるようになり、それによって豊かな海を涵養し、みごとな海の幸を育てることができるようになりました。

 「これらの過去を携えて、東にある未来を観る」

 ゴームリーさんは、それを深遠で美しいと感じられたのではないでしょうか。

 その祈りを込めた像が、この国東の地にあり、Sさんらは、それに感動したのでした。

 「ゴームリーの像があることは、世界的視野からみて、すごいことですよ。お金に換算すれば、4億円もの価値があります。これは国東の宝ですね」

 私は、そんなに素晴らしい芸術作品が、この国東にあったのかと驚きました。

 世界的に著名な芸術家が、その作品を置きたいと思うほどの恵まれた自然環境が国東にはあることに感心し、改めて国東のすばらしさを認識することができました。

 この像の設置の際には、地元のみなさんが大いに協力されたそうで、これも素晴らしいことだと思いました。

 Sさんらは、この国東をとても魅力的に感じられたようです。

 その理由は、次の2つにありました。

 ①光マイクロバブルという最新技術と融合することで総合芸術を発展させることで社会イノベーションを生起させるという知恵と工夫の拠点を国東に形成させる。

 ②国東の自然、海や山の幸を味わい、人間らしく生きる。


 これらを全うしていくことが、ゴームリーのいう「美しさ」ではないでしょうか。

 この機会を得て、幸いにも若い芸術家との「最初の融合」が可能になりました。

 これは国東のおかげですね(つづく)。

go-muri-1「Another Time XX」が見つめる国東半島(国東市ホームページより引用)
(遠方左には、同じく火山の島『姫島』が見える)