9日午前中のYさんとの面談における主なテーマは、南国でのある野菜栽培に関することでした。

 周知のように、熱帯、亜熱帯地方において野菜栽培を行うには、「高温障害」という大きな壁を乗り越えていく必要があります。

 この高温障害とは、その野菜が育つ環境において気温が25~30℃以上になって、野菜が生理的に成長を停止させ、場合によっては枯れてしまう障害のことです。

 野菜の生理とは、根から水分と栄養を吸収し、それらが茎と葉に運ばれ、そこで光合成を行なうことで成長を遂げていくことを意味しています。

 これは、植物が生きていくうえで基本となる働きですので、これを乗り越えていくことは、その基本にかかわる問題解決に挑むことになります。

 平たくいえば、根も葉も元気に成長できるようにすることです。

 この高温障害を乗り越える光マイクロバブル実験の最初は、西日本のある植物工場でなされました。

 栽培したのは、ミニトマトのアイコでした。

 ドラム缶にアイコの苗を1本だけ植えた水耕栽培でした。

 そのみごとに成長を遂げたアイコを見に行きました。

 その背丈は2m近くあり、実ったアイコの数は百数十個もあり、その味も抜群でした。

 私が驚いたのは、その根の生育であり、ドラム缶水槽をいっぱいに埋めるほどに根が張っていました。

 その根を摘まんで食べてみると、たしかにトマトの味がしていて、「これだったらトマトの根も食べることができますね」と冗談を交わした記憶があります。

 その際に、そのドラム缶に入れられた水温が話題になり、最高38℃まで上昇したが、それでもトマトに高温障害は発生しなかったとのことでした。

 「38℃まで大丈夫だったか!」

 そのことを深く記憶に留めながら、次の生育条件も確かめました。

 ①ドラム缶の水温の温度が38℃まで上昇したが、そのハウス内の気温は、そこまで上昇しなかった。

 ②導入した光マイクロバブル発生装置は1機のみ、注入した液肥の容量は150リットル前後でした。


 これは、ハウス内の空調がなされ、ドラム缶内の水温が緩やかに上昇していった事例でした。

 すなわち、温かくなった液肥が、根から吸収されて茎や葉に到達しやすく、しかも、その到達先の茎や葉では、より低温状態になっていたので、その分、葉面がやや冷やされて、なんとか光合成を可能にさせたのではないかと思われます。

 2つ目の沖縄の事例は、これらの条件とまるで異なっていました。


 夏の盛りにおけるハウスのなかは、気温47~50℃にまで上昇していました。

 このなかで1時間も作業を続けると、熱中症になってしまうことを、私自身が直に体験しました。

 ご存知のように、ヒトは、その場所から動いて避難できますが、植物には、そのような能力がありませんので、じっと耐えるだけなのです。

 
この酷暑条件のなかで起こる高温障害をどう克服し、生産量をアップさせるかにおいて、さまざまな知恵と工夫が施されました。

 これらの詳細については、開発者の方々のノウハウがいくつもありますので、それらをここで明らかにすることは控えておきますが、これに光マイクロバブルが貢献したことは紛れもない事実ですので、ここでは、その指摘のみに留めておきましょう。

 
Yさんには、この沖縄の植物工場を実際に見ていただきました。

 これまで、到底できないことだと思われていたことが、気温47~50℃のなかで実現できたことが、Yさんを大いに鼓舞することになりました。

 すなわち、その沖縄ブレイクスルーの現実が、かれのチャレンジ精神に火を点けたのだと思います。

 Yさんの国は、沖縄よりももっと過酷な条件を有していますので、沖縄よりもさらに、その高温障害を乗り越えるための知恵と工夫が求められました。

 現地の様子と条件に関してはYさんがよくご存じで、それを参考にしながら、より優れた光マイクロバブル技術を新たに適用することにおいて、いかに洗練された知恵と工夫を見出すか、この核心問題に分け入る検討がさまざまな角度からなされました。

 これは、真におもしろく充実した論議となり、あっという間に昼飯時を迎えていました。

 Yさんは、国東の海の幸が大好きですので、それでもてなすことにしました。

 生きていた鯛の刺身、新鮮な野菜のシャブシャブ、新米などが出てきて大喜びされていました(つづく)。

retasu
 レタス(沖縄の植物工場で栽培)