先日9日の2番目の訪問者は外国のYさんでした。

 すでに何回もこちらに来られていますのでお馴染み、すっかり信頼関係ができ上っています。

 その最初のきっかけは、Yさんが私の拙著『マイクロバブルのすべて』を愛読されたことにありました。

 その最初の訪問時に、それを何度も読みこなしたのでしょう。ぎっしりと傍線が引かれた様子を見せていただきました。

 おそらく、その内容がかれに小さくない感動を与え、信用を深めることができたのでしょう。

 そのかれには、共に光マイクロバブル技術を用いた共同の開発ができたらどんなによいのかという気持ちが溢れていました。

 こうして長い付き合いが、途切れることがないかれの訪問によって維持され、その面談を重ねることによって、「これは本物の熱意を持っておられる」と判断できるようになりました。

 私どもも、いつのまにか、最新の情報を披露することに躊躇がなくなり、その相互理解と共同の水準がより高まっていくことになりました。

 そんななかで、かれが私どもに依頼をしてきたのが、ある浄化装置の開発でした。

 わが国では、この開発の重要性は、さほど深く認識されていません。

 しかし、国際的視野から、その市場性を考慮すると、それなりに小さくないものを有していて、しかも、その開発を何度も熱心に請われましたので重い腰を上げることにしました。

 私の腰は、なかなか軽くないのですが、そこに新規性、有用性、進歩性が認められることが明らかになってくると徐々に動き出し、そのうち独りでに自発的に動き出すことさえあるというおかしな機能を有しています。

 「なるほど、そうだったのか」

 この開発の過程で、マイクロバブル技術を巧妙に適用した開発が、なぜできなかったのか、その理由も解りました。

 
「一見、簡単そうだが、意外と難しい」

 開発物は、その新たな原理が見つからない場合には難しく、闇夜に鉄砲を撃つようなもので、獲物に弾を当てることはできません。

 ところが、その原理を見出すと、それは非常に簡単になり、誰もが的を射ることができるようになります。

 じつは、開発物は、その過程において「ああだ、こうだ」と思案しているときが一番おもしろいのです。

 その過程は、次の三段階をたどることが多いようです。

 
①第一段階:設定した目的はあるものの、それを達成する科学的な基本原理が不明で、暗中模索を繰り返す。

 その暗中模索のなかで失敗を繰り返しながらも、徐々に科学的なアプローチが可能になり、おぼろげな基本原理が明らかになってくる。

 ②第二段階:基本原理が明確になり、それを踏まえた実証が可能になる。

 より基本原理を究め、性能を向上させるための改善がなされるようになる。

 ③第三段階:商品を想定した試験モデルが作成され、より一層の性能向上、デザイン、操作性などが検討され、洗練された商品モデルができ上る。

 
この段階において最終的な性能評価が行われ、その結果を踏まえて商品化に関する諸々の準備がなされるようになります。

 現在は、これらの三段階において②から③に向かっていて、そのための試験装置の発注を済ませたところです。

 さて、この開発物については、その検討においてあまり時間を割くことはありませんでした。

 今回の面談において最も多く検討の時間を要したのは、新たな植物工場の研究プラントについてでした。

 すでに敷地として4000㎡が確保され、そこに約326㎡の研究プラントのコンクリート敷地も整備されていました。

 「ここに、光マイクロバブル技術の粋を集めて試験プラントを設置したい」

 これが、Yさんからのたっての切なる依頼でしたので、私どもも、これまでの経験と、そこで培ってきた英知のほぼすべてを注ぐ込むことにしました。

 まず、最初に私たちの前に立ちはだかったのは、「高温障害」という大きな壁でした。

 周知のように、この障害とは、栽培野菜の空気環境が25℃を超えると成長を止め、さらに弱って枯れ始める現象のことです。

 これによって西日本地区においては、お盆の前後において店頭に野菜が並ばなくなります。

 
この障害をどう乗り越え、ブレイクスルーしていくのか、これが私どもに与えられた小さくない試練でした(つづく)。

agehachou
 アゲハ蝶