本日から3750回記念の新シリーズが始まります。

 幸いにして最近の記念シリーズにおいては話題が尽きない連載となっていますので、ここらで一休みしようかとも考えましたが、それよりもおもしろい取り組みを紹介したほうがよいと思って、この新シリーズを思いつきました。

 長年住んでした周南市から、ここ国東にきて早7年が経過してきました。

 まったく新しい土地での仕事と暮らしでしたので慣れるのにしばらくの時間を要しました。

 途中、大病を患い、生まれ変わった気分になって仕事に取り組むことになりました。

 「災いを転じて福となす」とは、このようなことをいうのでしょうか。

 その生まれ変わり現象が起きてから、一挙に補助金が採択されるようになり、一時期は、2~3年で合計5つの対応を迫られるようになり、自転車操業的な日々を過ごすことになりました。

 しかし、せっかくの、そして貴重な公的資金の導入となりましたので、ひたすら誠実に、それらの研究開発に取り組ませていただきました。

 その嵐のような足掛けの3年が過ぎ、その開発の成果をじわじわと生かす「その後」が到来してきました。

 とくに昨年からは、その成果をよりブラッシュアップしてみなさんに披露できるようになりましたので、それらが地元大分や福岡のみなさんにもアピールできるようになりました。

 運よく「ゆけむりアクセラレーションプログラム」や「ビジネスグランプリ」などにおいて採用されることにもなり、その認知度を高めることもできました。


 一方で、地元では、地道に地域のみなさんと研究しているマイクロバブル研究会が、第50回を迎え、ここから、いくつかの新しい発展が成し遂げられるようになりました。

 また、これらの活動を基礎にして、財団法人ダイバーシティークラスター機構への参加も可能になり、地元や大分を基礎にした活動の展開に期待が寄せられています。

 これらの進展を踏まえて、より地域に根ざす光マイクロバブル技術の適用がますます重要になり始めています。

 本シリーズでは、次の2つの事例を紹介しながら、その意義と意味を検証していきたいと思います。

 その第1は、昨年の「ゆけむり連携(N未来とナノプラネット研究所)」がさらに進展して、新たな農工連携が開始されたことです。

 先日の現地視察の際に、その農作の問題点を明らかにしていただきました。

 さまざまな障害が出てきて、「朝な夕なにひたすら働けど、暮らしは楽にならない」の状況に陥っており、それを聞いて「これは何とか救助できないか」と深く認識するようになりました。

 その障害とは、自然的な悪化現象の結果として起こったものであり、それは不可抗力として泣き寝入るしかないと思われていたようです。

 「でも、それは、いつもの泣き寝入りで終わらせるようなものではありませんよ!それに打ち勝つ最高水準のものを用意しますので、まずは、それで試してみてください」

 こういっても半信半疑は無理からぬことであり、あれこれ説明する前に、実際に試験をして確かめる、これが一番有効な方法でした。

 第2は、小さな地元の菓子屋さんの話です。

 私の家からは車で3分のところにあり、ここのご主人が私の出身大学の後輩、そして奥さんが同じ県内にある大学の卒業生だったことも手伝って、かなり以前に一度、そのご主人に光マイクロバブルの話をしたことがありました。

 しかし、この時は、その菓子を製造しているのは奥様だったこともあって、その時の提案は、不調のままで推移していました。

 さて、今回はどうなるのか?

 運よく奥様がおられ、直接話をすることができました。

 その切り出しに、宮島の「いわむらモミジ屋」のもみじ饅頭がよく売れているという実績を示しました。

 その奥様は、お菓子作りのプロですから、その「もみじ饅頭づくり」の技術を目を輝かせて聞いていました。

 「どうですか?この饅頭は日曜祭日に一日1万個も売れています。あなたも、そのような菓子を作ってみたいと思いませんか?」

 即座に、

 「作ってみたいです!」

という返事がありました。

 そこで、ご夫婦と子供二人で、大成研究所にきていただきました。

 ここで、もみじ饅頭などの菓子作りにおける私どものノウハウを丁寧に説明しました。

 それらは、もみじ饅頭、パン、ういろう、ピザなど多岐に及ぶものでした。

 その結果、どうやらお二人は、私どもの提案を納得されたようで、ここに新たに光マイクロバブル菓子づくりの共同研究が動き出すことになりました。

 これは、これまでの菓子作りの長所をより伸長させながら、悪いところを取り去っていく作業であり、ここには、それまでに沁み込んできた慣習が、よきにつけ悪しきにつけ執拗に残っていて、場合によっては、その悪しき部分を大胆に剥ぎ取っていくことが必要になることもあります。

 お菓子の場合は、その材料を変えると味も変わっていきますが、ヒトの場合は、その思考内容や固定観念を剥ぎ取り変更していくことは、そんなに簡単なことではありません。

 ある拘りや得意技が良い方向に働いていても、その条件が変わると、まるで反対の悪化に至ることさえ起こりうるのです。

 周知のように、菓子業界は常に激烈な競争下にあり、そこで打ち勝つために知恵と工夫を試し合っています。

 いくらよいものができ上っても、それをお客さんが買ってくれなければ何の意味もなく、その競争に敗れてしまうしかありません。

 そのために、製造者は、常に新しい知識と技能を身につけ、実践的に菓子作りを行っていかねばならないのです。

 その意味で、私どもも、その当事者として参入していくわけですから、真剣に、そして光マイクロバブルの真価をどう引き出すか、において知恵を絞り、工夫を凝らす必要があります。

 この記念シリーズにおける、この2つの事例は、これからどう展開していくのでしょうか?

 私自身は、その行方を密かに楽しみにしながらも、真摯に臨んでいきたいと思います
(つづく)。

takasago-

季節外れの高砂百合