前回に引き続いて、森照明先生による「卓球による脳トレーニング」に関する研究成果を注目することにしましょう。

   このレポートにおいては、卓球リハビリを行ってきた15年間の成果が次の4点にわたって紹介されています。

 ①卓球による脳内血流量の増加

 卓球運動の前後において、脳内血流に関するSPECT検査が行われ、6名中4名において明らかな脳内血流量の増加が計測されています。

 これは、脳内の血の巡りがよくなったことを意味し、これによって小脳、脳幹部7(中脳、橋、延髄)を中心に血流量の増加が促進されたようです。

 そして、卓球運動と脳の働きの相互関係は、次のように考えられています。

 1)スマッシュなどの足の踏み込みは、小脳を刺激する。

 2)ラケットを手で頻繁に振る運動は、前頭葉を刺激する。

 3)目でボールを追う素早い動きは、中脳を刺激する。


 これらの結果は、卓球という運動を行うことによって、脳も活発に働き、そこに血流促進が起きていることが、卓球前後のSPECT画像によって表されています。 

 この特徴を参考にしながら、光マイクロバブル入浴に伴う脳刺激との関係を考えてみました。

 おそらく、その入浴によって体全体の血流促進が発生し、脳内の血流の増加が起こり、次のさまざまな能反応が現れていることが観察されています。

 ①特別の強い「ここちよさ」を感じる。

 ②頭がすっきりして入浴中に読書や新聞を読みたくなる。

 ③しかし、入浴が進むと、まどろみ状態に移行して眠くなる。この状態に至ると、心地よさがより高次になる。

 ④この高次の「ここちよさ」が支配的になり、これに脳が集中するようになる。

 ⑤出浴後は、頭がすっきりして、プラス思考をより、その「ここちよさ」の記憶が強くなり、これをも求めるようになる。

 
さて、ここで注目しべきことは、卓球においては、素早い動作や目線の動きなどによって脳を活用していますが、光マイクロバブル入浴においては、それらの運動がない状態での脳刺激がなされていることです。

 また、その「ここちよさ」をより強く記憶の中に刻み込み、それを日常的に欲するようになることも重要な特徴といってよいでしょう。

 以上を考慮すると、光マイクロバブル入浴における脳刺激による「ここちよさ」は、明らかに卓球における脳刺激とは異なる特徴を有しているように思われます。

 おそらく、その「ここちよさ」を認識する脳の部位が、卓球とは違う可能性もあるのではないでしょうか。

 これは、非常に重要な脳科学に関するヒントをいただいたことになりますので、それを今後も注視していきたいと思います。

 このように、最近は卓球のことに関心を寄せてきていますが、先日、大変面白いNHKBS番組での卓球の話がありました。

 ここで、森先生の研究レポートの検討を途中で遮ってしまいますが、この紹介を行うことによって、よりその意味が深まるように思われましたので、その番組を紹介します。

 それは、日本人で初めて世界チャンピオンになった荻村
伊智郎さんのことです。

 かれの凄さは、チャンピオンになっただけではなく、世界卓球連盟の会長になって、世界中に卓球を広めたことでした。

 世界卓球連盟の参加国は226、これに対してリオオリンピック参加国は206、すなわち、オリンピックよよりも20も多い国が参加している世界最大のスポーツ連盟なのです。

 荻村さんは、この活動の中心人物であり、それは、次の信念に基づいてなされ、それが世界に普及する原動力になったのでした。

 その信念とは、「卓球は芸術である」でした。

 これは、どのような意味を持つものなのでしょうか?

 芸術といえば、ゴッホの絵を思い浮かべることができます。

 たしかに、ゴッホのヒマワリは現実作品ですが、卓球の試合は幻術なのか、ちょっと違和感がありますね。

 ゴッホの絵は至極の芸術であり、これには国境がありません。

 かれの出生地はオランダですが、ゴッホの絵を評価するときに誰も、その出生地のことを考慮しません。

 すねわち、ゴッホのヒマワリを国境を越えた普遍的な価値を有する芸術作品なのです。

 この作品を描くのに、ゴッホは血のにじむような努力を傾注し、来る日も来る日も自分の絵画の境地を切り拓くために描き続けました。

 その結果としてようやくたどり着いたのがあのヒマワリだったのです。

 荻村さんは、この傾注の部分の共通性を基本にして、卓球を芸術活動と同じと考えられたのでしょう。

 ですから、卓球に国境はなく、オリンピックの競技種目に認められるよりも先に、それを世界中に芸術活動として広めていかれたようでした。

 もう一つの彼の重要な仕事は、日本卓球界の根本的な改革でした。

 荻村以降、日本の卓球界は古き日本式卓球に拘っていたために、世界に大きく遅れてしまっていました。

 ここで、この変革のために荻村さんは、それができる責任者を抜擢しました。

 それは、徹底して新たな若手を育てる方式でした。

 しかも、それを育てる場所としてドイツと中国を選んで、そこに選手を派遣したことでした。

 その代表が男子の水谷選手、女子の福原選手でした。

 世界最先端の選手と交わって、世界第一線の教育を行う、これが最も重要なことでした。

 これらには、国内で多くの批判があったようですが、荻村さんは、これを断行し、それが正しかったことをそれらの代表選手が証明していったのでした。

 この大英断があったからこそ、今の卓球男女の大躍進が成し遂げられたのです。

 この水谷と福原の先駆的成果が基礎となり、この教育が発展し、最近では7~8歳の選手強化が重要であることが見いだされました。

 この世代における選手強化が発展し、男子の張本、女子の伊藤選手らが続々と輩出するようになりました。

 荻村の世界的視野からの発展策が功を奏したのでした。

 最後に、番組は、荻村の遺言的歌を紹介します。

 それは、私どもがよく口ずさみ、映画にもなった『若者たち』でした。

 君の行く道は 果てしなく遠い

 だのに なぜ

 歯をくいしばり

 君は行くのか そんなにしてまで

 ・・・

 君の行く道は 希望へとつづく

 空に また

 陽が昇るとき

 若者はまた また歩きはじめる

 荻村さんが、この歌を唄いながら歯を食いしなって世界中を歩き回った姿が偲ばれます。

 そして、
この『若者たち』の響きは、光マイクロバブルの歩みともよく似ています。

 もしかしたら、光マイクロバブル技術も芸術的要素を有しているのかもしれませんね(つづく)
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                  ブルーセージ