台風一過、しばらくは蒸し暑さが残っていましたが、本日から朝方は冷え込むようになり、一気に秋の様相を帯びてきました。

 この1年余、私の弱点である歯の治療において右往左往し、一向に事態が進展しないままでしたので、対外的に出かけることや人前に出ることを控えるようになっていました。

 それが、まだ仮歯の段階にすぎませんが、それでも人前で話せるようになって以前の自分を取り戻したような気分に変わり始めており、なんとなく目の前がやや明るくなってきました。

 この改善をきっかけにして昨日の記事で紹介した「若者たち」の歌のように、ひたすら前に進んでいく必要がありますね。

 そういえば、その歌を主題歌にした映画もありました。

 貧しい5人兄弟が、たくましく、そしてひたむきに生きていく姿に感動したことを覚えています。

 なかでも長男を演じた田中邦衛さん、三男の山本圭さんの好演が印象的でした。

 当時の学生たちは、みな苦学生であり、貧しいなかでも真摯に勉強をする姿勢を有していました。 

 両親がいないなかで一家を支えてきた親代わりの長男と下の兄弟たちの激しい主張のぶっつかりがすばらしく、人間らしい喧々諤々(けんけんがくがく)の様子がみごとに描き出されていました。

   このたくましい生きざまは、今の時代においても求められているものであり、決して消え失せてしまったものではないように思われます。

 さて、世界の経済を見渡すと、あちこちで景気の後退局面が露わになってきました。

 世界一の債務国アメリカでは、長期金利が短期金利よりも安くなるという「逆イールド現象」が出現し、ダウ平均は1日で800ドルも下がりました。

 これが起こると、次の現象としては一端盛り返した後の1年後ぐらいにはほぼ確実に株価が大幅下落し、大不況になると予測されています。

 先のG20の際には、日米交渉の結果が参議院選後に明らかにされると報道されていましたが、その内容は未だ不明のままで、アメリカ大統領の予言通りの公表には至っていません。

 おそらく双方において、すなわちアメリカの明け透けな要求に対して、日本側の許容範囲との間で相当な隔たりがあるのではないかと推察されます。

 結局、具体的な牛肉と自動車に関しては双方で合意ができないままに時間だけが過ぎていき、最後は為替問題で決着という、最悪の「詰め将棋」に会うのではないかと心配する予測も現れています。


 一方ヨーロッパでは、ドイツ、イギリスの3か月GDPがマイナスに転じ、不況局面に入り始めています。

 また、前者においては、巨大な債務を抱えたドイツ銀行問題があり、後者は10月末のブレグジットにおいてますます経済的な混乱が進展しそうです。

 さらに、イタリアでは左翼政権が分裂し、首相が辞めるという大混乱が起きています。

 そして我が国では、官民ファンドが3500億円もの金を入れて設立されたジャパンディスプレイ(JDI)が大幅な債務超過になり、当社の株価の大幅下落、大量のリストラが始まりました。

 この会社は、日本の電機産業数社によって設立されましたが、この深刻な後退は、ますますわが国の電機産業の衰退の歩を速めることに結びついていくでしょう。

 このように、国内外は、ますます厳しい状況を迎え始めていますので、どのような難局に至っても、それを知恵と工夫で跳ね返していく必要があります。


 小さくても輝きと誇りを持つ自分の経糸と、信頼のおける友人たちとの横糸の連携によって、丈夫で長持ちの彩を放つ布を織り成していく必要があります。

 その視点を踏まえて、昨日は、上述のような喧々諤々の開発会議が行われました。

 その主題は、「命と暮らしの『ものづくり』」に関する2つの懸案でした。

 ここは正念場を迎え始めていると思って、私の頭をそれ用に切り替えて臨みました。

 第1は、ある特殊な水質浄化装置の開発に関するものでした。

 これは、すでに第一次の開発を終え、その試験結果が良好でしたので、それを踏まえて第二次の商品化モデルに仕上げる開発を行うことを目的としていました。

 この開発における主目標は、高性能、小型化、コンパクト化の3要素を実現させ、これまでにない新規性と有用性を創造することでした。

 これに該当する装置は、すでに長年開発され続け、技術的には出来上がってしまっており、実際は価格競争で市場性が決まるという状況になっています。

 その商品に関するわが国の市場は、東南アジアや南方地域と比較して圧倒的に小さく、それ故に、この種の開発は、あまり水準の高くないところで留まっていたのではないでしょうか。

 これまでに、大手企業を含めて何社かのアプローチはあったものの、それがそんなに大きな海外市場性を有していることもあまり理解できていなかったために、その開発は私どもの視野の外に置かれていました。

 しかし、非常に熱心な若い経営者が遠くから何度も訪れてきて依頼をなされてきましたので、私の「重い腰」も、その熱意に持ち上げられてしまうことになりました。

 そこで、まず最初に取り組んだのは、既往の装置の検討でした。

 それらにおいては、当然のことながら、大きなミリバブルを利用した装置ばかりでした。

 「なぜ、ここにマイクロバブル技術が導入されていないのか?」

 このような疑問を抱きながら、それらの装置の試験を行ってみると、その利点と欠点がよく理解できるようになりました。

 同時に、ここにマイクロバブル技術が入り込むことができなかった理由もよく解るようになりました。

 「なるほど、光マイクロバブルやマイクロバブルのことをよく理解されていない方々にとっては、これは、さぞかし難度の高い開発だと思われたのではないでしょうか」

 
既往の装置は、マクロバブルを用いることによって成り立ち、その市場の確保がなされるようになってきましたが、それ以上の高性能化、小型化、コンパクト化ができない、ここに表裏の問題がありました。

 おそらく、少なくない方々が、この問題をブレイクスルーしたいと思って、その手段としてマイクロバブル技術を用いたいと欲されてきたのだと思われます。

 現に、その旨を告げて、問い合わせをしてきた大手企業の方もおられました。

 また、そう思って、実際に実験を試みた方もおられたのでしょう。

 その結果は、こちら(既往製品)を立てれば、あちら(マイクロバブル技術の利用)が立たずで、その逆も同様に成り立たないという壁にぶっつかっていたのでしょう。

 私への依頼先は、「光マイクロバブルに精通されている博士ですから、この開発は必ずできる」ととことん信じ込まれていますので、私の方は、「それを叶えるしかない」という立場に追い込まれてしまいました。

 まず、既往の装置の実験を繰り返し、その基本原理をよく理解できるようになりました。

 同時に、この原理に従っていては、「そこに光マイクロバブルが入り込む余地はない」ということも判明しました。

 こうなると、これまでとはまったく異なる基本原理を考え出さないと、そのブレイクスルーはできないということも解りました。

ーーー ここは、光マイクロバブルの特性を最大限生かす基本原理を考えだすことが、最初に重要なことである。

 この特性は、ほかの誰よりもよく知っていますので、それに困ることはありません。

ーーー さて、どうしようか?

と思っているうちに、そのアイデアが浮かんできました。

 それが徐々に明確になってくると、今度は、そのアイデアが正しいかどうか、これを検証する段階に至ります。

 原理的に正しいと思っていても、それを技術的に試験してみないと明確な判断を下せない、これが技術畑にいる方々の習性であり、私もその一人です。

 こうして、なんとか設計・製作を行ったのが第1次の製品モデルでした。

ーーー 新たな原理を仕込んだ装置化には成功した。

 これを依頼者に見ていただいて、大いに喜んでいただきました。

 しかし、このモデルは、商品には程遠いものでしたので、それを下敷きにして第二次モデルをあれこれと考え、それをたたき台にして、喧々諤々の検討を行なうことで、その第二次モデルの基本設計を終えた、これが昨日までの経緯でした。

 夜もかなり更けてきましたので、今日はこの辺で筆を置きます

 この続きは、近いうちに紹介しましょう(つづく)。
 
kosumo0927
コスモス