泡のサイズが小さいほど、洗浄力が増大する、これが洗浄科学における非常に重要な基本的法則といえます。

 一方、現場におけるトリマーは、経験的に、

 「可能なかぎり小さい泡を大量に造りたい」

と思っています。

 泡が小さいと、なぜ、洗浄力がアップするのでしょうか?

 逆にいえば、泡がなぜ大きいと洗浄力が低下するのでしょうか?

 この問題を踏まえながら、汚れが落ちるメカニズムを考えてみましょう。

 比較的大きな泡とより小さい光マイクロバブルが、下図のように汚れに付着しているとします。
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 汚れへの気泡の付着
 
 図中の赤い線が汚れです。

 汚れは、通常有機物ですので、マイナス帯電の細胞に付着しやすく、そこにプラス帯電の汚れが付着します。

 その汚れに、プラス帯電のバブルが付着します。

 マクロバブルと光マイクロバブルにおける付着具合を比較しましょう。

 マクロバブルは、気泡のサイズが大きいので、わずかの数しか付着できません。

 しかも、その電位は、低いことから、非常に弱い付着しかできません。

 これに対し、光マイクロバブルの場合は、次のような特徴を有しています。

 ①気泡が非常に小さいので、たくさん汚れに付着できます。

 それに、気泡同士は電気的に反発し合うので、それらが付着することはありません。

 光マイクロバブルは、汚れのみに付着しますので、その寿命をより長く保つことができます。

 ②気泡が小さくなると、逆に表面張力の方が増大します。

 ここで重要なことは、その表面張力は、直径二乗に比例することです。

 たとえば、マクロバブルのシャンプー泡を計測しますと、その直径は約500㎛でした。

 一方、マイクロバブルフォームの直径は、約50~60㎛でした。

 両者を比較すると、それらの直径の比率は約10倍異なっています。

 直径が10倍異なると、その比較を表面張力は、その二乗に比例するのですから、両者は約100倍も違うことになります。

 この100倍が、従来のマクロバブルによる洗浄法における洗浄力とマイクロバブルフォームにおける洗浄力の差なのです。

 ただし、この比較は、単一のマクロバブルとマイクロバブルフォームにおいて成り立つことですので、その量的多さの違いは付加されていません。

 ですから、実際の洗浄力においては、その数倍~数十倍にも及ぶことになるでしょう。

 すなわち、ペットの洗浄においては、いかに小さいシャンプー泡を製造することができるか、ここに技術的核心問題がありました(つづく)。