前記事の最後に、次の2点が示されました。
このシャンプー液を利用する利点は、次の2つにあります。
①非常に小さいマイクロバブルフォームを発生させる。
②大量なマイクロバブルフォームを連続して発生させる。
①でいうマイクロバブルフォームが「非常に小さい」とは、どのくらい小さいのでしょうか。
この疑問に答えるために、私たちは、実際にマイクロバブルフォームを発生させて、その大きさをマイクロスコープで精密計測しました。
その結果によれば、マイクロバブルフォームの大きさは、20~80㎛でした。この場合、㎛とはマイクロメートルのことです。
1㎛は1000分の1㎜に相当します。
ですから、20~80㎛とは、2/100~8/100㎜と言い換えることもできます。
また、マイクロバブルフォームの直径を約1000個計測し、その平均値を求めると、それは約60㎛でした。
一方、淡水中における光マイクロバブルのサイズは約30㎛ですので、その約2倍がマイクロバブルフォームであることに注目する必要があります。
これは、水中にシャンプー液(界面活性剤)を入れると、その表面張力が低下したことによって、このようにマイクロバブルフォームの直径が,
結果的に2倍化されたことを示しています。
結局、このマイクロバブルフォームの「小ささ」が、ペットの洗浄において決定的に重要な影響をを与えますので、ここに注目する必要があります。
それは、なぜでしょうか。
ここでちょっと深く考える必要があるのは、汚れが、どのようにして落ちるのか、ということです。
ペットに付着している汚れはさまざまですが、その素は、ペットの体内から出てくる脂質の汚れです。
これはヒトも同じで、たとえば、湯船のなかで頭をシャンプーで洗ったとします。
そうすると、そのお湯の表面に薄い脂の相が形成される場合があります。
この脂質は、通常、電気的にはプラスに帯電していますので、マイナス帯電の被毛や皮膚に付着しやすいという性質を有しています。
このように電気的に引き合っていますので、この汚れは簡単に落ちません。
そこで、この汚れ落としのためにシャンプー液を使用します。
周知のように、シャンプー液には界面活性剤という物質が入っており、これによって泡立ちがよくなる工夫がなされています。
なぜ、泡立ちをよくするとよいのでしょうか?
それは、泡がたくさん出てきて、この泡によって汚れを落としやすくできるからです。
それでは、泡によって、汚れは、どのように落とされていくのでしょうか?
泡とは、気体が液体によって包まれた状態のものです。
この泡が、自分の姿を維持できるのは、なぜでしょうか?
それは、泡の表面に平行に、その液体部分において「表面張力」が働くことによって維持されます。
シャボン玉を思い浮かべてみましょう。
大きなシャボン玉と小さなシャボン玉の2つがあるとしましょう。
このうち、どちらが壊れやすいですか?
大きい方ですよね。
小さい方はなかなか壊れません。
それはなぜか、というと、小さい方の表面張力が大きいからであり、それが大きいために、互いに表面を引っ張り合うことによって、自らの姿をより長く維持することができるです。
このシャボン玉を非常に小さくしてたくさん集めたものがシャンプーの泡(フォーム)なのです。
シャンプー液を水中に入れると、その液体の表面張力が小さくなり、小さい泡をたくさん作りやすくなります。
これまでのトリマーのみなさんは、ワンちゃんの被毛にシャンプー液を掛けてゴシゴシと指で揉みながらシャンプー泡を作っていました。
その際、いかに小さい泡を大量に、そして短時間に作ることができることが、トリマーとしての「腕の巧みさ」と関係していました。
この指を使ってゴシゴシしながら泡立てを行なう際には、次のような問題がありました。
①シャンプーの液が薄いと泡立てがよくなく、小さな泡を大量に作ろうとすれば、濃いシャンプー液を大量に使う必要がありました。
②小さな泡を大量に作るには、指の動きを素早くする必要がありました。
これがゆっくりした動きのままですと、泡のサイズが大きくなり、ねっとりした泡ができず、洗浄力を増すことができなかったのです。
③このゴシゴシ洗いのよる泡立ては、犬の身体の一部分においてしかできませんので、それを身体全体にまで進めていくには、かなりの時間と労力が必要でした。
しつこい汚れの犬の場合には、二度、三度と洗い続けなければなりませんでした。
④この①と②を、毎日しっかり行っていると、すぐに手荒れが起きてしまいます。
それでも、お客さんがいる以上、仕事を休んだり、手抜きをしたりすることはできません。
この手荒れが悩みの種でした。
犬の毛は、ヒトよりも3倍多く、3倍細いのです。
ということは、洗うということに関しては、3×3=9、すなわち9倍も難しいことなのです。
「これを何とかしなければならない」
それは、犬と飼い主さんのためであり、そして、トリマーさんのためでもありました(つづく)。
光マイクロバブルフォーム洗浄・温浴によって眼つきが変わり、潤んできたワンちゃん
マイクロバブルフォーム洗浄・温浴によってここちよさを感じるようになるとワンちゃんの眼つきが変わってきます。
その目の表情をよく観察すると、潤んだ眼つきになります。
これは、マイクロバブルフォーム洗浄・温浴を行なう前の眼つきと異なっています。これは、非常におもしろい現象として注目しています(トリマーはTM氏、撮影は、大成由音氏)
コメント
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「光マイクロバブルとマイクロバブルフォーム」という言い方なのですが、前にも同じようなことを聞いた記憶があります。、「光マイクロバブルと光マイクロバブルフォーム」ではいけないのでしょうか?
単純に「光」をつけるかどうかの話ですが、ドクターの見解を再度お願いします。
ではでは
光マイクロバブルとマイクロバブルフォームに関するご意見は、ごもっともで、そのようにいいきる必要はないのではないかと思っています。その事情は、「マイクロバブルフォーム」は株式会社ナノプラネットの商標であり、これはこれで活かす必要があるからと思っています。それでは、光が付く付かないで紛らわしいではないかということになりますが、光マイクロバブルフォームとマイクロバブルフォームは同じですよという説明を加えることでよいと思います。また、すでに、この記事においては、マイクロバブルフォームという用語を用いてきていますので、それも尊重するのがよいのだと思います。ただし、これらは本ブログ上に限ることですので、その点もご高配ください。良い機会ですので、今後どうするのかを含めて検討したいと思います。