②情勢にふさわしい主体的力量の形成がなされているか。

 何事においてもそうですが、与えられた、あるいは直面した情勢において、十分に力を発揮することができないと、それは失敗に終わります。

 私の人生においても、若い時には、このようなアンバランスが起きてしまい、「あのとき、ああすればよかった」と悔やんだことがあります。

 おそらく、みなさんも、そうなのではないでしょうか。

 人生における後悔は、もうひとつあります。

 「あのとき、ああしなければよかった!」

 これらは、若かりし頃の淡い、そして苦い思い出として脳裏に蓄積されています。

 しかし、このような経験を重ねることによって、その「やり方」を賢く学ぶことができるようになります。

 その際に、重要なことが、戦略と戦術論なのです。

 この構築をめざすとともに、自らもそれにふさわしいものになっていくという成長論が重要です。

 これが主体的力量を形成させる問題です。

 広辞苑によれば、「戦略」とは、広範囲にわたる作戦計画のことです。

 この作戦には、敵と味方があり、それぞれをどう配置して、いかに戦うかが、この計画の柱になります。

 そのために、自分は何をしなければならないのか、何が不足して、何を満たすようにしなければならないのか、が問われることになります。

 せっかく、作戦計画を立案しても、それを実践する際に、その力量が不足しておれば、結局は作戦倒れになってしまいます。

 大学生の頃に愛読した漫画「あしたのジョー」に因めば、宿敵力石徹に勝つために、訓練を行った「あしたのために、その1」、「その2」、「その3」が必要なのです。

 そして戦術、これは、どう戦うか、の問題です。

 これには、「光マイクロバブル技術」という強い味方があります。

 しかも、この武器のことを知り尽くしていますので、これを「鬼に金棒」の金棒のように振り回すことができます。

 結局、この主体的力量の形成問題は、その広範な作戦計画を立案し、それに基づいて、いかに金棒を振り回すことができるようになるのかどうか、ここに本質があるように思われます。

 立派な作戦計画の立案、これが可能になってくると、自らの行動に粘りと強さが出てくるようになります。

 「ジョー」のように、あしたのために、日々の鍛錬を熟すことができるようになります。

 しかも、それは実践的でなければ意味がなく、机上や研究室における試験管的実験では話になりません。

 大胆に現場に分け入っての実際において、そこで鍛えられ、失敗をしながらも、その足元から湧いてくる泉のなかに潜んでいる宝物を探し出す作業なのです。

 さて、前置きが長くなりましたが、今回は、どのような問題が本質的に問われていたのでしょうか。

 まず、その主体者は誰なのか?

 それは、私自身、あるいは個人ではなく、組織としての主体、その力量が問われたのでした。

 もちろん、その組織の構成員は人ですから、その会社組織((株)ナノプラネット研究所)の下での人の在り方が問われたという方が正しいでしょう。

 たとえば、この1年を振り返りますと、「ゆけむりアクセラレーションプログラム:大分県内5社のうちの1社に選ばれた」、「経営革新:大分県から認定を受けた」、「ビジネスグランプリ:奨励賞」、「福岡グロスネクストピッチバトル:優勝」などがありました。

 これらは、会社組織としての実績、力量、そして展望を語り、強みをアピールし、みなさんに希望を聞いていただき、ベンチャービジネスとしての将来性を理解していただくものでした。

 これらを通じ、私の相棒は、多くの人々と接していきましたが、ここで光マイクロバブルの技術力と本人の人間力が試されることになりました。

 それは、より具体的には何だったのでしょうか?

 ①光マイクロバブル技術が切り拓いてきた実績における革新性

 ②今後の技術開発によって発展する可能性

 ③実際に世の中に分け入って普及していく事業性

 ④それらの実践を可能にする主体的力量と、その原動力となる熱意と使命感

 ⑤聴衆を惹きつけるプレゼンテーション力

 これらを十分に養うことは、なかなか難しく、一朝一夕、あるいは見様見真似では、到底実現できるものではありません。

 常に、実践のなかから学ぶという謙虚な心、そして時には、鋭い洞察の下で、「ここで全力を出し切って勝負する」という奮発力と勇気が必要になります。

 さらに、この力量形成問題において重要なことは、その天の時に助けられ、運命が切り拓けれてきたと感じ始めたときに、その力を全力で出し切る努力を怠らないことです。

 その意味で、2019年の初頭においては、次の課題が問われています。

 その第1は、より具体的に「命と健康の『ものづくり』」を着実に発展させ、世に問う商品を持続的に示していくことです。

 そのために、よりタイムリーで独創的な戦略プランの作成と、それに基づく戦術を実践的に練り上げていくことが重要になります。

 第2は、それらの「ものづくり」を科学的に検証し、そのデータ蓄積を行うことです。

 これなしに闘いはできませんので、それを貫徹していくには、そのデータが強力な武器になっていくと思っています。

 すでに、そのための2019年第1号となる試験装置が届いていますので、この実証試験をきちんと行っていく予定です。

 第3は、その商品化モデルを、どう世の中にアピールしていくかの問題です。

 これには、次の手順を考えています。

 ①その装置を最も理解してくださるところに持ち込み、その現場で、その商品力を確かめていただき、正しい評価をしてくださることをお願いする。

 ここで確信を得ることができれば、次の普及に向かうことができるでしょう。

 ②その際、重要なことは、そのモデルを可能なかぎり時間をかけずに「商品」に仕上げ、それを販売に結びつけていくことです。

 そのためには、いきなり量産化には向かわず、いわば、少量生産でよいから丁寧な仕上げによって、その商品力を向上させていく必要があります。

 ③利用者、すなわち、高齢者、あるいは働く方の立場に寄り添って、その生活リハビリや働き方改革をより一層推進できるように、とことん知恵を絞り、工夫を施すことです。

 じつは、昨晩、この試験を自分で行っていて、ある工夫をひらめきました。

 「そうか、これだけでなく、この運動もできるようにしたらよい」

 それは、京都大学ボート部の舟艇に工夫されていたあるアイデアがヒントになりました。

 ボートを力強く漕ぐには、力を入れて踏ん張らなければなりません。

 それをわずかな工夫で可能にしていることを、その京大ボート部OBの方から聞いたことがありました。

 また、それと似た工夫は、幼児の成長においても重要であり、実践的に保育に使用されているアイデアでもあり、そのことを優れた幼児教育者から教えられたものでした。

 以上にような手順にしたがって、この流れを加速(アクセラレーション)していきたいと思います。

 最後に、主体的力量形成問題において最も大切なことは、常に学習し合うことを習慣にすることです。

 学ぶことができるようになるとますます学ぶことが好きになります。

 その学ぶことが、いつのまにか確信に結びついていきます。

 そして、そのもっと学びたいという気持ちが、それを研究したい、科学的に知りたいという「科学の目」を養うようになります。

 すなわち、科学の目を養い、実践していくことが主体的力量形成の一番の滋養になっていくのです。

 歳を重ねると、学ぶことができる人とできない人では、大きな違いが出てきます。

 前者でないと、時代をリードする「命と健康の『ものづくり』」の楽しさを味わうことができないように思われますが、いかがでしょうか(つづく)。

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サヤエンドウの花