今回の特別ゲストは、Localhost株式会社代表取締役の稲俊介(いなしゅんすけ)さんでした。

 この会社は、国東市にあるIT企業2社のうちの1つであり、その設立理念は、「地域に先進技術を領布し、その利活用および発生を促す。地域に技術系、デスクワーク系の雇用を発生させる」とされています。

 かれは25歳、国東を代表するバリバリの若手経営者のお一人です。

 静岡の出身で、小学生時代からコンピュータに親しみ、その腕を磨いてきました。

 大学卒業後、国東市の「地域協力隊」として1年半活動を行うことで、国東と国見地域の事情通になり、顔が利くようになりました。

 フリーな立場で派閥や利権とは関係なしで地元のみなさんとの付き合いができるようになったことで、みなさんが本音で語り、安心して愚痴もこぼせるようになり、それによって地域の課題も解明できるようになりました。

 さて、かれの話題提供の最初は、「Hack the CTプロジェクト」でした。

 この「Hack」の意味は、「上手くやる、粉々に切り刻む、コンピュータに侵入する」であり、「CT」は、「city」の略語だそうです。

 これを直訳すると「国東市を上手く発展させてやり切るプロジェクト」といってよいでしょう。


2019-03-02 (2)


 この実践のために、国東市における近々の課題を提示し、そして「国東の強みと弱み」を次のように示しました。

 その国東における近々の課題とは、急激な人口減の問題を解決することです。

 先日の国東市長選においても、この解決問題が争点として明らかにされました。

 なにせ、大分県で一番の人口減少傾向を示していますので、これを解決していくことが、国東を上げての課題となっています。

 この問題の原因として、次の4つが指摘されました。

 ①あきらめ
 ②移住者コミュ二ティの劣化・消失
 ③雇用職種の少なさ
 ④市民と市役所の距離が遠い

 これらは、真に的を射ています。

 ①においては、リーダーがあきらめると、その組織はすぐに壊滅し、滅んでしまいます。今度の選挙戦で、この問題がクリーズアップされたことで、その姿勢の反省がなされたことには意味があり、「あきらめない」ことが、何事においても、基本中の基本です。

 ②の指摘も重要です。せっかく国東に移住してきても、すぐに県内の別の自治体に移住してしまう若者の話をよく耳にします。

 これでは、何の力にもならず、「ダメな見本をつくる」ようなものです。本人だけでなく、周囲も落胆し、知らず知らずに、①のあきらめに結びついていきます。

 せっかくの「地域起こし協力隊」も、ある自治体では、市役所の臨時職員が増えた程度の扱いしか行われないところもあるようで、これでは、かれらの貴重な希望を叶えることができません。

 ③の雇用職種が少ない問題は、上記の②の問題と深く関係しています。

 この30年、地方においては大企業の工場の閉鎖や統合が盛んに行われ、それに伴って下請けの中小企業も窮地に陥っています。

 こんな状況で新たな雇用を生み出すことはほとんど難しいといえます。

 この厳しい状況は、製造業だけでなく、農林水産業やサービス業においても同じで、ここでも新たな雇用は久しく生まれていません。

 でも、この厳しい雇用環境のなかで、かれが選択した地方での自立の方法は、自分で起業し、積極的に地域に浸透して仕事を創り出していくことでした。

 ここに重要なヒントが隠されているのではないでしょうか。

   ここは腹をくくって、雇用がなければ、自分で創り出せるような知恵と工夫を発揮できるようにすること、すなわち、かれのように地域を担うことができる人を育てることに傾注すべきなのです。

 かつて、六郷満山に時代においては、唯一の外国語を読み書きできる超エリートの若手高僧が、国東半島に集結し修行をして巣立っていったという歴史を有しており、その再現を図ればよいのです。

 ④市民と市役所の距離の問題では、いくつかのすばらしい成果がありますので、それを埋めるには、その貴重な実績を学ぶことができるかどうかが問題になります。

 距離が遠ければ、それを近くすればよいのであり、それを可能にするアイデアを考案し、実践していけばよいのです。

 その典型が、かれの実績にあり、周囲の人々が、それを評価するまでに至っています。

 1.  国東の強み

  ①やる気のある人、個性ある人が多い
  ②空港が近い(強味?)
  ③自然が豊か 

 この指摘も重要です。①の「やる気」と「個性」は、地域を変革するに際しての必要条件であり、それらの人々をどう活かすのか、ここが核心的課題になります。

 ②の空港問題、これもどう活かすかによって強みにもなります。

 私どもは、この空港があるために、国東に移住してきました。

 当初は、この空港を利用して東京、大阪に行くのが便利と思ってのことでしたが、実際には、逆に、東京、大阪など全国からお客さんを迎えることになりました。

 これまでに、全国の企業のみなさんを対象にして合計で14回の光マイクロバブル技術に関するセミナーを開催してきたのも、この空港利用が可能だったからだと思います。

 そういえば、そろそろ15回目はないのですかという問い合わせもあり、今年は、それをぜひ実現させたいと思います。

 ③の自然の豊かさについては申し分のないところです。とくに海の幸の豊かさについては、それを満喫しています。

 生きた魚が豊かで安い、これは魚好きの私にとっては、この上もない喜びであり、この魚をいただいても年金が余るほどであり、都会のみなさんとは違って、「豊かな年金生活」を過ごしております。

 なにせ、ここは年収100万円で過ごすことができるところです。

 以下については、やや文章が長くなりそうなので、次回にまわします。

 3.国東の弱み

  ①4町合併故の一体感のなさ(発信力の弱さ、行政の弱さ)
  ②良くも悪くも「普通の田舎」
  ③高校生の都会へのあこがれの強さ(面白くない、楽しみがない、買い物できない)
  
 このようにやや詳しく紹介していくと、とても1回分だけの記事では収まりませんでした。

 次回は、より深く稲報告に分け入ることにしましょう(つづく)。
 
sakura0303
 裏の桜