大分市のO病院での面談を終えて、臼杵のH社に向かいました。
臼杵は、石仏や「せんべい」が有名であり、人口は3.5万人です。
大分市からは国道197号線で西に向かうと約30~40分で臼杵に到着すると聞いていました。
H社は、臼杵の佐志生(さしう)にあり、そこに向かうために197号線を南に折れてしばらく下ると海が見えてきました。
ここで唯一の名所が黒島だそうで、オランダ船が難破して、この黒島に漂着したそうです(1600年4月29日)。
その時、やってきたのがウイリアム・アダムス、後の三浦按針(みうらあんじん)であり、かれは徳川家康に徴用され、外交顧問として活躍されました。
海はとてもきれいで、夏になると、佐志生の海岸と黒島には海水浴客が多く集まるそうでした。
この唯一の観光地の海岸風景をしばらく楽しみ、その後H社へと案内されました。
その会社は、佐志生海岸から数百メートル陸に上った小さな山の傍にありました。
まず、大きなドーム型の異様な姿に吃驚しました。
どうやら、ここは竹細工工房のアトリエとして建設されたようでした。
最初に二階と三階に案内されました。
ここは喫茶店とギャラリーとして使用されていたそうで、それ用の机や椅子、カウンターなどが配備されていました。
こんな閑散とした漁村で喫茶店が成り立つのかという疑問が湧いてきましたが、何はともあれ、その建設者のユニークなアイデアに圧倒されました。
次は、1階のアトリエへ、玄関が、これまたユニークで、真に狭い扉で、やっとのことで人一人が通ることができる広さしかなく、まるで牢屋のなかに入っていく気分でした。
また、通路には、巨大な石が壁をぶち抜いて置かれ、その上の奇妙なモニュメントにも歓迎されました。
そして通路の奥の玄関を上がると、右手に地下室のような応接間がありました。
ここで応接するのかと思っていたら、そうではなく、さらに奥へと案内され、旧アトリエだった広間に入りました。
ここは意外と広く、ゆったりとした空間のなかで、数名の方々が壁に向かってお仕事をされていました。
このHの経営者の方々は、とても独創的でユニークだと思っていましたが、このドームのなかで働いておれば、その泉の水は滾々と湧いてくるにちがいないと思いました。
また、こんな静かで小さな漁村において、それを突き破るかのような企業があることにふしぎさを覚えました。
しばらくの歓談の後に、訪問の主意を告げ、その議論が始まりました。
それは、国東半島産の「ある植物」と別府において長年蓄積されてきた名産の竹細工との技術的融合のためのコラボレーション(連携)に関する問題でした。
ここに来るまでに、いろいろと考えてきましたが、私の問題意識を次のように述べました。
「これは、2つの性質の異なる植物の加工におけるコラボレーションの問題であり、このそれぞれの良さ、希少性、高品質性、伝統技術としての蓄積などを考慮すると、何か、とてもユニークな商品化が可能になるのではないかと感じています。
その商品化にアイデアに関しては、これまでにない新規性とワクワクするような魅力があることが望ましいと想っています。
すでに、その第一弾の構想においての利用法は決まっていますので、それを上回る発想で第二弾を考えていただくのは、どうでしょうか」
こういうと、KさんとHさんは、共に目を輝かせ、少年のような瞳になっていました。
私の相棒も含めて4人でのブレーンストーミング(アイデアの出し合い)が始まりました。
「第二弾は、さらにユニークで、みなさんが喜ぶものであるとよいですね」
こう付け加えながら、話は、その植物加工品の特徴が問題になりました。
「この特徴を活かすことで、何かよい商品化ができるのではないでしょうか」
「その一番の特徴は、何ですか?」
「いくつかありますが、私が一番だと思っているのは『手触り』です」
「いつも、傍にあったら触ってみたい、触るとここちよい、ということですか?」
「そうです。その通りです」
ここから、ばらばらと、いくつかのアイデアが出始めました。
みなさんの頭のなかのアイデアが集中され、よりイメージが鮮明に形作られるようになっていきました。
「これは、どうですか?」
「それだと、動かした場合に困りますね」
「だったら、こうしたらどうでしょうか」
「そうですね。それはいいじゃないですか」
「そうですよ。それがいい」
とうとうアイデアの煮詰まりが頂点に達しました。
やはり、4人が真剣に頭を寄せ合って議論を行うと違いますね。
私としては、この成果を踏まえ、次のように締めくくりました。
「おかげで、第二弾のアイデアがでてきました。しかし、この第二弾を踏まえると、その次の第三弾も、何か出てきそうな感じがします。それについては、次の会合までの宿題としましょう」
これは、「犬も歩けば棒に当たる」の格言に照らせば、「犬も歩けば、さらにユニークな棒に当たった」という現象に出くわしたことを示唆していました。
こうして、今回の大分・臼杵の小旅行は小さくないユニークな成果を生み出すものとなりました。
これから、今回の訪問の意味をやや掘り下げ、お礼のメイルを送ることにしましょう。
Kさん、Hさん、どうもありがとうございました。
これによって、この「ビジネスグランプリ受賞者連携」が、より強固に発展していくための準備ができたことになります。
この連携が、一隅を照らす「心の灯」になると、ますます良いことになりそうですね(この稿おわり)。
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