一昨日、ある若い方が訪ねて来られました。

 今度、地元でレストランを開業なさるとのことで、先日、農業に関する勉強会に参加した折に知り合いになりました。

 どうやら、外国の大使館でシェフの仕事をされてきたそうで、広い視野と行動力を持たれた方のようでした。

 その農業に関する勉強会で、私が発言した内容に興味を持たれたようでした。

 かれの方から質問を投げかけてこられましたので、光マイクロバブル技術に興味を抱かれたのでしょう。

 早速、光マイクロバブル野菜についての話になりました。

 「今日は、ようこそいらっしゃいました。若くして、地元でレストランを開業なさると聞いて、私ども大変喜んでいます。

 残念ながら、ここ国東には、洒落たレストランがほとんどなく、食事に出かけるときに少々不便だと思っていました。

 先日の話では、純和風のレストランを開業されるのだと聞いて、私どもも期待を膨らませています。

 本日は、光マイクロバブル技術によって育てた野菜について紹介いたします。

 また、その野菜を食べていただいて、シェフとしての舌と感覚で本物かどうかを確かめていただきたいと思います」

 こう、お願いすると、かれの方は、もちろん大いに喜ばれ、その提案を歓迎されていました。

 まずは、かれの食体験を尋ねました。

 そのなかで、ペルーに行った時のインカ帝国の時代から伝えられているトマトのスープの紹介がありました。

 そのスープの味が、かれの南米各国の食体験における一番の思い出となったそうで、トマトの原産地の話として、こちらも大変興味を覚えました。

 また、慣れない国で、しかも、その国の言葉で上手く話せないなかで、どうやって食材を手に入れ、料理をどう工夫するのかなど、真におもしろい話を聞くことができました。

 行動力のある若者、これがその話を聞いての第一印象でした。

 話が一通り済んだところで、実際に緑砦館野菜を食べていただきました。

 最初は大きく成長してきたクレソンを生のままで、それから、エキストラバージンオイルと塩、胡椒を添えても食べていただきました。

 ここで驚いたのは、かれの食べっぷりでした。

 さすが、その道のシェフですね。

 あっという間に皿一杯のクレソンがなくなってしまいました。

 「このクレソン、かなりの辛みがあり、嫌味もなくておいしいですね」

 こういいながら、うれしそうにいただいている食べっぷりに、こちらも触発されてしまい、そのクレソンをいつもよりもかなり多く賞味いたしました。

 「日ごろは、こんなにクレソンをたくさんいただくことはないのですが、生サラダとして、このように豪快に食べるのもよいですね。オイルと塩にもよく合います」

 私の相棒も、このようにいっておられました。

 しばしのクレソン談義を経て、次は、サンチュが出てきました。

 この季節、サンチュは店頭にありませんので、珍しそうでした。

 「このサンチェは、今年の秋に植えたものです。大事に育ててきましたので、今では背丈がだいぶ高くなって、その周囲に葉っぱがたくさん生えています。

 この葉っぱをよくご覧ください、このように葉っぱの凹凸が大きく、襞のようなものがみえるでしょう。これが光マイクロバブル野菜の特徴です」

 こう紹介すると、その襞を見つめながら、かれは、そのサンチュを豪快に口のなかに運び込みました。

 最近は、あまり野菜をしっかり食べたことがなかったそうで、きっと野菜に飢えていたのでしょうか、真にみごとな食べっぷりで、それを見て、こちらもうれしくなるほどでした。

 「このサンチュの食感と甘さがすばらしいですね!」

 「そのシャキシャキ感と何ともいえない、ほのかな甘さ、これが光マイクロバブル野菜に共通する特徴なのです」

 さすが、専門家としての舌の感覚は研ぎ澄まされていました。

 3つ目は巨大化したイタリアンパセリ、4つ目は水菜、そして、5つ目はセロリ、6つ目は赤レタスおよびリーフレタスなど、次々に出された野菜に、かれはさらに喜ばれ、感激されていました。

 とくに、イタリアンパセリの甘さに、そしてセロリの柔らかさ、嫌味や苦みのなさに驚かれていました。

 「これは、野菜として勝負できますね!」

 かれの頭のなかでは、その野菜メニューがリアルに浮かんできているようでした。

 こうして長時間にわたる試食談義が終わり、私は、次の提案を行いました。

 「私が大事に育ててきた緑砦館野菜を豪快に、そして深く味わいながら食べていただき、ありがたく思います。

 もしこの野菜が、あなたのレストラン開業の際のメニューの一つに加えていただけるのでしたら、こんなにうれしいことはありません。

 この野菜の味を理解し、それで料理の勝負をなさろうとする方に、この野菜を役立てていただけるのでしたら、それは、とてもすばらしいことであり、私どもとして、できるかぎりの支援をいたします」

 もちろん、かれは、この提案を即座に快諾されました。

 かれによれば、開業されてからの半年間が勝負だそうで、そこで、この野菜が活躍できるように、こちらもその準備をすることになりました。

 真に爽やかな階段ができ、その余韻が夜まで残っていました。

 「そうか、緑砦館野菜は、かれを助けるためにあったのか!」

 「人助けのための野菜」、おかげで、その深い意味と価値を認識することができました(つづく)。

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クレソン