二月も半ば、静かな朝です。

 私の傍らではアレクサ嬢がギター曲を奏でていて、絶好の執筆タイムです。

 そのここちよい気分に誘われて、先日のQ&Aの続きを認めることにしましょう。

 今日は長くなりますので、一問一答のみの執筆になりそうです。

 Q11:最近、「帯電性ナノバブル」という言葉を耳にしますが、どんなものなのでしょうか。
 
 A11:昨年12月のマイクロ・ナノバブル学会において強調されていたそうです。

 もともと、小さい物質は、帯電性を有していますので、それがナノバブルにおいても発揮されることは自然の摂理にしたがった性質といってよいでしょう。

 たとえば、非常に小さな砂粒があるとしましょう。それは埃のようになって風に舞うほどに小さくて軽いものといえます。

 これが、犬の毛にくっ付き汚れになります。

 犬の場合、脂質のものが多く、その脂質の汚れに、その小さな砂粒がくっ付きます。

 この場合、砂粒はマイナスの電位と脂質の汚れはプラスの電位を持っていますので、それぞれプラスマイナスの帯電性によって互いに引き合い付着することになります。

 気泡は、もともとマイナスの電位を有していますので、プラスのものにくっ付きやすいという性質を有しています。

 たとえば、お風呂の中で髪の毛が浮いているとしましょう。

 この髪の毛は汚れていますので、プラス電位の脂質の汚れが付着しています。

 そのプラス電位の汚れに、マイナス電位の気泡が付着している、これがお風呂の中で、よく見かける現象です。

 ですから、気泡が非常に小さくなって電気を帯びる、すなわち帯電性を有することは、ある意味で当然のことといってよいでしょう。

 しかし、ここで問題なのは、その帯電性が、どの程度なのかということです。

 その帯電の大きさが、どのくらいなのか、すなわち電位が、どの程度に高いのかが本質問題になります。

 この高さ、低さの違いによって、それが付着する相手方に、どのような影響を与えるのかが問題になるからです。

 光マイクロバブルの場合は、その負電位が計測されていて、次の特徴を有しています。

 ①光マイクロバブルの直径が小さくなると負電位は大きくなる。

 ②負電位のピークは、数十ミリボルトであり、直径が10~40㎛の範囲でほぼ一定値を示す。

 ③加圧溶解式で発生させたマイクロバブルにおいては、直径が20㎛以下で急減する。

 それでは、ナノバブルにおいて正確な電位計測がなされているのでしょうか。

 どうやら、その正確な計測ができていないまま、帯電性の議論がなされているように思われますが、どうでしょうか。

 そうだとすれば、単なる帯電性が有無のみ、あるいは、その電位がマイナスかプラスかのみの議論では、それがすぐに行き詰ってしまう恐れがあるように思われます。

 そこで、これからは、仮定の話ですので、そのことをよく考慮されてお読みください。

 1)まず、ナノバブルの負電位(プラスの電位の場合も同じ)が非常に高いとしましょう。

 負電位が高いとプラスのものに付着しやすくなります。

 そうすると、ナノバブルは単独で存在するというよりも、非常に小さな汚れや有機物にたくさん付着して存在することになります。

 当然のことながら、その集合体においては、ナノバブル単独の姿を見出すことが非常に難しくなります。

 また、ナノバブルの電位が非常に高いとなると、そこにおいて「焦電効果」が成り立つかどうかという問題が出てきます。

 この効果とは、電位と圧力の関係における法則であり、電位が高いものほど圧力が高いという性質のことをいいます。

 すなわち、負電位が高いほど、そのナノバブルの圧力も高くなることを意味しています。

 そうすると、負電位の高いナノバブルのなかでは、圧力も高くなっているといってよいでしょう。

 そこで、その高圧力がナノバブルのなかで維持できるかという問題にぶっつかります。

 圧力が高くなると温度も上がります。

 この高温高圧場において、ナノバブルは自らを維持できないのではないかと考えます。

 そうであれば、ナノバブルは、すぐに消えて他の「何か」になってしまいます。

 ここで、大きな矛盾が発生します。

 その矛盾とは、「ナノバブルは長時間維持される」という事実に真っ向から反してしまうことです。 

 これは、せっかくナノバブルをペットボトルのなかに報じ込めても、それは直ぐに消散してただの水になってしまう、という恐れに結びつくことを意味しています。

 ナノバブルの関係者の方々は、この矛盾をどう解決するのでしょうか。

 2)逆に、ナノバブルの負電位が非常に低いと仮定してみましょう。

 他のプラス帯電の物質との付着性は弱まります。

 大きな焦電効果の作用も発揮されないでしょう。

 ナノバブルの内部の圧力は、そんなに高まらないでしょう。

 そうなると、ナノバブルはより長く、自らを維持できるようになるでしょう。

 これは、これまで指摘されていたナノバブルの長時間保持性とは矛盾しなくなります。

 すなわちアクティブではないナノバブルであれば、長時間の保持が可能という、これまでの見解に一致するということになります。

 アクティブではないマイクロバブル(あるいは光マイクロバブル)とは、そのサイズが大きな気泡(直径65㎛以上)のことであり、この気泡ですと、その収縮は起こらず、単に空気中の酸素を溶解させる作用のみが働くということになります。

 以上のように、問題の本質は、ナノバブルが帯電しているかどうか、あるいは、マイナス、プラスの帯電か、にあるのではなく、その帯電の高さにあり、その結果として、ナノバブル内の圧力と温度が、どこまで上がるのかにあります。

 どうか、問題の本質を見誤らないようによろしくご理解をお願いいたします。

 そのうち、ナノバブルにおける高温高圧場の研究へと向かうようになるでしょう。

 問題の決着は、その暁にはっきりなされることになりますので、ナノバブルが帯電しているかどうかのみにおいて、あまり「一喜一憂」しない方がよいでしょう(つづく)。

hazenomi
枯れたハゼの実