国東に移ってからは、自由な時間が格段に増え、ますます光マイクロバブル技術に勤しむことになりました。

 途中に大病を経験したものの、この6年は、その技術開発に明け暮れたといってもよいでしょう。

 しかし、最初に困ったのは開発資金がほとんどなかったことでした。

 T高専時代と比較すると、まさに天と地ほどの差異であり、これを克服するには小さくない知恵が必要となりました。

 じつは、高専時代においても国からいただく研究費はスズメの涙程度のお粗末なものでしたので、自分で外部資金を稼ぐしかなく、これによって、その研究費の50~100倍を得ることができるようになっていました。

 そこで、その経験を活かし、手当たりしだいに国や県の快活研究に関する補助金の申請を行うことにしました。

 「ここは、補助金の助けを仰ごう!」

という思いが強かったからでしょうか。

 申請した補助金のほとんどが採択され(2~3年間で5つ採択)、今度は、それらを熟すのに大変で、日夜の苦労を重ねて(ある意味では贅沢な苦労ですが)開発研究を進める日々を過ごしました。

 ここで重要なことは、それらの研究開発を真面目に、そして精一杯に範囲を広げて試験研究を行ったことで、小さくない成果がいくつも生まれたことでした。

 このころから、本当の技術開発とは何か、この課題を探究することの重要性をより深く認識するようになりました。

 おそらく、さまざまで幾千万といってもよいほどの多くの技術開発がなされてきているでしょうが、それらが、国民の生活や産業の革新に深く結び付かない理由は、何にあるのでしょうか。

 かつて、1,960年代にはテレビや冷蔵庫が登場してきました。

 家族でテレビを視ることは「あこがれ」であり、冷蔵庫で果物や料理を冷やせることは驚きでもありました。

 これらを購入し、生活を変えることが、家族の楽しみであり、この革命的商品によって生活と産業が一変しました。

 しかし、この革命的商品は、先進の欧米からもたらされたものであり、わが国発のオリジナル商品ではありませんでした。

 しかし、それでも、日本人特有の器用さ、新しもの好き、粘り強さも手伝って、1980年代には「ものづくり大国」としての日本を形成することができました。

 そして、わが国は「ものづくり」を担い、目上のアメリカは金融で儲けるという相互連携が今日まで続いてきました。

 その結果、わが国は貿易黒字を維持し、アメリカは膨大な赤字国になっていきました。

 しかし、ツイッター好きの大統領が出てきてからは、この構図が崩れはじめ、「ものづくり」における最後の砦だった自動車の輸出も、これまでのようには行かなくなり始めています。

 「お前のところだけが黒字を維持しているのはおかしい、いい加減にしろ!」

 こういわれて、これから、その「詰将棋」でひどい目に会うのではないでしょうか。

 これまで日本経済を牽引してきたエンジンの「自動車」が、その役割を終えることになると、いったい日本の「ものづくり」はどうなっていくのでしょうか。

 これから、世界中で大きく混乱していく世の中を迎え、ますます、日本発、そして地方発の革新的なオリジナル技術が必要になってきます。

 かつては、欧米の進んだ先進技術を学ぶことによって「ものづくり大国」になったわが国は、今度は、自らが世界に先駆けて新たな日本経済を牽引する「エンジン」を創造し、強固に確立していく時代を迎えているのです。

 この6年、グローバルに国内外を俯瞰し、そして足元の地域にも根ざすことを可能とする技術開発とは何か、を探究してきました。

 その結果、「命と健康」をテーマにした「ものづくり」をめざすことにしました。

 このテーマを踏まえ、2019年は、次の2つの分野の具体化を図ります。

 ①ペットの洗浄・温浴装置に関する新たな技術開発を行い、その事業の発展をめざします。

 すでに、「光マイクロバブP4」という商品名の装置が販売されていますが、これが口コミで評判になり、それが徐々に拡販されています。

 新たな商品化によって、この流れをより一層広め、加速させることをめざします。

 ②NEDOの研究開発補助金の成果を踏まえ、それを、より一層の高性能化、小型化、低価格化という商品力アップを実現し、迫りくる超高齢化社会において「生活リハビリ」が可能な介護浴装置の商品開発を行います。

 これには、中津市のK整形外科病院の付属施設である「介護老人保健施設」との共同研究が進展しており、これを一層進展させて現場で評価を直接いただくことになるでしょう。

 すでに、この事業は、大分県の「経営革新」における認定や「ゆけむりアクセラレーションプログラム」においても支援を受けており、この展開が期待されています。

 2019年を迎え、上記の2つの事業化が、その最初の「エンジン」になることができるかどうか。

 真に小さなエンジンの発火ですが、それによって、より大きな動力を生み出すことができるのかどうか。

 新年早々ですが、その課題が、いよいよ試されることになるでしょう(つづく)。

akaretasu0115
赤レタス(緑砦館2)