親しい友人に出した手紙です。この方は、年に2回必ず、おいしい果物や名物を送付してくださいます。

 高専時代に数年間の付き合いでしたが、それが今も続いています。その返事を書いているうちに、最後は励まし調になってしまいました。

 私の近況や心境も綴られていますので、記事として掲載いたしました。ご一読いただければ幸いです。

 拝啓

師走も半ばを過ぎ、慌ただしい世相になりました。元気でお過ごしのこととお慶び申し上げます。

また、本日は、色とりどりの品物を送付くださり、真にありがとうございました。

早速、真っ赤なリンゴは、光マイクロバブル水に浸水させていただいて今晩いただくことにしました。生うどんも惜しそうで私の好物です。それから、ビールとオーク酒もありがとうございました。お心遣いに心から厚く御礼申し上げます。

同封のお手紙、楽しく拝見しました。相変わらず、第一線でご活躍の様子、あなたらしさがよく出ていて素敵だと思いました。

波乱万丈のあなたの人生において、その「万丈」が未だ継続中ということができますね。ご主人と同様に、あなたには、そのようなDNAが埋め込まれていて、それが運命として具現されているのではないかと思います。

どうか、その人生をますます豊かにしていただきたいと思います。また、そのために、来るべき新年がよりゆかいなものになることを祈念いたします。

さて、私の方ですが、これも相変わらずのようです。

丁度1年前に大成研究所を立ち上げ、それに続いて付属施設のミニ植物工場「緑砦館」を建設し、ここで野菜作りを行って身体を動かしています。

その緑砦館において、今年は、セロリを無農薬、低肥料で250株を育てました。今は、その試食を行いながら、その味に感激しながら、その料理法を楽しんでいます。昨夜は、そのセロリの一部を収穫し、私流の特製カレーに入れて楽しんだところでした。

この植物工場技術の成果は、今年の夏に沖縄に飛び火し、恩納村で、約1650㎡のハウス栽培として実を結びました。最高時は、気温4750℃という厳しい環境のなかで、高級レタスが立派に育つことを立証し、私どもの光マイクロバブル装置は、その生産性を大幅に向上させました。

これは沖縄においては小さくない朗報であり、今後の発展の橋頭堡を築くことができました。

また、今年は、大分県が支援する「ゆけむりアクセラレーションプログラム」の審査に合格した5社のうちの1社になり、世界的監査法人デロイト・トーマツ社の指導を受けながらベンチャー的ビジネス展開を図っています。

このなかで、非常におもしろいものを一つだけ紹介しておきましょう。上記5社のなかの一つに「NF」という会社があり、この方は奥さんと一緒に福島の被災地から国東に移住してこられました。

かれらは、ここで無農薬無肥料の米栽培を行っています。この米を購入される方が全国におられるようで、通常の米の数倍の値段で購入されています。

じつは、私どもは、この3年、この方とは別の方と米作りの共同研究を行い、年々増収、高品質の米作りに成功し、これから、その量を増やしていく予定でした。この動きと連動させて、上記のNFとも連携することで合意に至り、この3者の協力が行われることになりました。

NFの作付面積は、これまで3年間共同研究を行ってきた方の約100倍の規模を有していますので、しかも光マイクロバブルが、その無農薬無肥料の米作りに、どう貢献するのか、ここにおもしろい問題があり、その光マイクロバブル支援を本気になって決めたというしだいです。

ほかにも、いくつかおもしろいものがありますが、長くなりますので、ここでは省略しましょう。

今振り返れば、ご主人がご存命であれば、これらの開発物語について、よき話し相手になっていただけたのではないかと思い、残念です。

高専を定年で辞し、国東に来て6年が過ぎました。その間、大病もして生まれ変わったという心境の変化もありました。また、2012年春に新居を構えたのですが、ひょんなことから、さらに2つ目の新居と研究所を持つようになりました。古い方は、息子夫婦に棲んでいただいています。

そしてこの6年のなかで、諸準備がある程度整ったのでしょうか。今度は、世間を相手にして、その技術イノベーションを連続的に誘起させる時期がきたのではないかと思い始めています。きっと実が熟してきたのですね。

高専で生まれた光マイクロバブル技術を、決して、これまでの次元では終わらせない、そのような考えがより鮮明になり始めています。

たとえば、上記の沖縄での成果は、南のアジアや中東地区での野菜の年中栽培が可能であることを示唆しています。また、日本の中部以北においても、約半年間、秋冬季においては野菜を栽培することができません。

私は、大それたことに、その時期に誰でも野菜を栽培できるようにすることをめざし、その実証実験を開始しています。

このような水準のテーマを、医療・福祉の分野、環境・エネルギーの分野においても実現させよう、とも思っていますので、それらがどこまで可能になっていくのか、それともドン・キホーテのように「見はてぬ夢」で終わるのか、これからも、あまりのんびりしてはおられない、という心境です。

これらは、当然のことながら、私や身内のみでできることではありませんので、その友人たち、仲間たちを育てることにも傾注し始めました。吉田松陰の松下村塾を学ぶことにして「国東下村塾」を開講し、これに若者と中年の方が参加するようになりました。

この中年は、今年度で大会社を50歳台半ばで辞め、残りの人生を、私とともに光マイクロバブルに捧げると決めてくれた方ですが、この立派な決意を大切に育てていこいうと思っています。

時代は、これまでの縦型の「上からの指令型」から、横型の「連携型」に変わり始めています。また、大企業や大きな大学が独占的にリードしてきた方式がほとんど通用しなくなり始めています。

知恵と工夫に基づく横型連携の時代にふさわしい方法と実践があるはずです。

その意味で、あなたにおいても、その利発さと自由な時間を最高度に活かす可能性が大いに横たわっているのではないでしょうか。

これまで、あなた方が背負ってきた血のにじむような苦労を考えれば、これからの20年は、余生ではなく「誉生」とすべきであり、そこに知恵と工夫を施す必要があります。

日本高専学会10周年の記念講演において、あなたが流されたあの涙は、この誉生のためにあるのではないでしょうか。

もし機会があれば、ぜひとも、国東の真にすばらしい海の幸を堪能されるために、未来のことを語り合うためにお出でくださると幸いであり、大歓迎いたします。

年末が近くなり、何か良いものがないか、お礼の品を探してみようと思っています。良いものが見つからない場合には、しばらく時間を要するかもしれません。その時は、しばしのご勘弁をよろしくお願いいたします。

これから寒さも厳しくなりますので、どうか寒さに負けずに、ますますのご活躍とご健勝を念願いたします。

                                                                 敬具


minitomato1208
                          冬に生ったミニトマト(緑砦館)