早いもので、今年も師走の月に入り、残りわずかとなってきました。

 先月の28日に、第40回記念のマイクロバブル研究会が開催されました。

 今回は、ゲストとして農未来(NOU FUTURE)の村田光貴さんを迎えました。

 かれは、岩手県の陸前高田市において農業をなされていましたが、東日本大震災を受け、その後、国東に移住されてきました。

 こちらでは、米作を中心に農業に従事され、真に農業の未来を切り拓こうとされてきました。

 この度、大分県による「ゆけむりアクセラレーションプログラム」が発足し、その最初の5社に選定されました。

 国東地方では、この農未来社とともに(株)ナノプラネット研究所も選ばれたことから、国東同士の好もあり、互いに情報交流を行うようになりました。

 また、先日の14日には、デロイトトーマツの担当者の方と一緒に村田夫妻も招待しての交流会が(株)ナノプラネット研究所において開催され、互いに親交を深めることができました。

 その際に、第40回記念のマイクロバブル研究会にゲストとして来てくださることを依頼し、その快諾をいただきました。

 さて、村田さんの話題提供は、非常に興味深い内容で、そして独創的なものでした。

 かれは、陸前高田においてはリンゴと野菜を栽培していたそうですが、こちらでは、米づくりと、その加工食品を作られているようです。

 しかも、その米作りにおいては、無肥料・無農薬で栽培するという、きわめてユニークなものでした。

 なぜ、そのような手法を導入されたのか、その訳を尋ねると、ご自分がアレルギー体質だそうで、自分で食べるものを自分を作る、それを徹底的に探究されました。

 これは、これまでの米作りの常識を完全に覆すもので、その米作りを実現するには、相当に苦労を重ねながら、知恵を絞り、工夫を繰り返されてきたようでした。
 
 無農薬のみならず、無肥料でも稲が立派に育ち、収穫ができるのかどうか、私も含めて研究会のみなさんは、「そんなことが本当にできるのかどうか。信じられない」という姿勢でした。

 しかし、そのユニークな米栽培法を詳しく聞くうちに、驚きととともに感嘆の声も出てくるようになりました。

 この農作法の基本は、いかにして地力を豊かにできるか、この知恵と工夫の問題であるそうです。

 その第1は、栄養豊富な水を田圃に供給できることでした。

 国東には、世界農業遺産で指摘されたため池がいくつもあり、この水が稲策に適していること、そして夏場に水温が高いことも非常に有利な点として指摘されていました。

 第2は、その栄養豊富な温かい水を引き入れ、そこに好気性微生物を多く育てることで、空気中の窒素をより固定させやすくすることだそうです。

 この水を溜めると、その水質に適した藻が発生するそうで、その藻の発生か、あるいは、好ましくないアオミドロのような藻の発生なのか、これによって良否を判断されるそうです。

 実際に、無肥料無農薬で育てた稲の根と通常の稲の根の比較がなされていました。

 根の太さ、長さ、多さにおいて、前者の方が圧倒的に優れていて、なぜそのようなことが起こるかをめぐって議論が盛り上がりました。
 
 また、稲の茎数が、通常の稲作と比較して非常に多いことも、興味深い現象として注目され、この議論も熱心に行われました。

 第3は、その無肥料無農薬の米を加工食品として製作、販売されていることです。

 これは、米粉にした場合、繋ぎの物質を加えないと、ほとんど麺やパスタ食品にすることができませんので、この食品技術においても大変な工夫がなされていました。

 周知のように、米粉の加工は非常に難しく、繋ぎの材料を入れないままだと、その米粉加工は不可能だとされ、どこでも米粉の利用はほとんどなされていません。

 かれは、この加工技術の開発に果敢に挑戦され、無肥料無農薬の米粉に水分、温度、圧力を微妙に制御された加工機器を独自に造り上られたそうです。

 後半は、この無肥料無農薬の米づくりおよび食品加工技術に、光マイクロバブル技術の融合問題についても検討がなされました。

 村田さんも同じでしたが、この議論を重ねるにつれて、どうやら光マイクロバブルとの相性はよさそうだということになり、これを、より実践的に、そして具体的に共同研究を行ってみようということになりました。

 このように、大震災の被害を被り、新転地で一から出直して新技術開発に挑戦し、しかも米作りだけでなく、独創的な食品開発にまで取り組まれていることを知り、これは可能なかぎりの支援をする必要があると思いました。

 思えば、このように知恵を絞り、工夫を何とか凝らそうとしている方のところにおいては、いくつもの光マイクロバブル技術の発展があるので、村田さんの頑張りは、その点においてもすばらしいと思いました。

 今後、この共同研究が、着実に発展していくことが期待されます。

 この後、国東の農業のあり方についても、みなさんで大いに議論いたしました。

 今回の研究会も非常に刺激的で、発展的要素をいくつも含むもので、第40回記念にふさわしい研究会となりました。
 
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コスモス