10月20日予定の第17回ナノプラネットゼミが、10月27日に開催されましたので、その結果を報告いたします。 

 第17回ナノプラネットゼミのプログラム

 
09:30~10:00 話題提供① 「オープンイノベーションについて」 大成由音 

  100010:30 話題提供
 「ジェイ・エブラハムの卓越論について」 大成京子

  10:30~11:30 話題提供③ 「最近のアンモニア生成研究の動向」 大成博文
 
 11:30~12:00 自由討論
 
 ①については、福岡で開催されたイベントに参加した際に、熱心に議論されていたオープンイノベーションに関する紹介がありました。

 オープンイノベーションとは、UCバークレー校のヘンリー・チェスブロウ教授によって提唱され、「企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、価値を創造すること」と定義されています。

 このオープンイノベーションの受容は、欧米よりもかなり遅れていて、つい最近になって、この用語がよく使われるようになり、企業内にもオープンイノベーション室が設けられるようになってきました。

 これを平たくいえば、これまでの大企業を中心にした縦型の上から下へのシステムではなく、企業間の横型連携を基本にして開発を行っていくという方式です。

 とくに、最近になって、中小企業によるベンチャービジネスが盛んになり、そこで中小企業同士の横型連携が多様に進行していることから、非常に活発な取り組みに関する情報交流がなされたことが紹介されました。

 今後、この方式をよく検討し、積極的に発展させていくことが重要と思われます。

 ②については、ビジネスにおけるバイブルといわれているジェイ・エイブラハムの『ハイパワーマッケティング』における「卓越論」の内容の紹介がありました。

 この卓越論とは、著者が解りやすく解説しているように、「私(売り手)」と「あなた(買い手)」の関係を逆にするというものでした。

 売り手は、買い手のことを常に優先させて考えることができるようになることが大切だというのです。

 その優先とは、どんなことなのか。

 それは、買主の幸福や願いを、どう実現させるかをとことん考えていくという価値観を身に付けるべきであるという主張でした。

 たしかに、その通りで、そんなことを考えずに販売していたことに関する反省が述べられ、これをどう変えていくかについても議論を行いました。

 これは、とても重要なことですので、今後も引き続き研究していくことになりました。

 ③については、最近におけるめざましいアンモニア研究に関する2つの事例が紹介されました。

 その第1は、アンモニアの燃焼実験に成功した事例です。

 もともとアンモニアは燃えにくいものですので、それを効率よく燃やすには特別の工夫が必要でした。

 これを実験室段階のみならず、現場の大規模な実機においても成功させたのですから、これはすばらしい成果といえます。

 アンモニアを燃料として利用する端緒が切り拓かれたわけで、これからますます安価で簡単な方法で、しかも安く生成できる技術開発が重要になるでしょう。

 第2は、アンモニアを用いた燃料電池の開発が進んでいることでした。

 これは、水素を用いた燃料電池の開発の延長線上で考えられたもので、それにアンモニアを用いる利点は、水素よりも安定して安全な物質であることに依拠しています。

 この水素を取り出す方式は「アンモニアの水素キャリア」と呼ばれているそうですが、このキャリア開発が、最近になって脚光を浴びるようになりました。

 アンモニアは窒素と水素の結合によってできていますので、ここから簡単に水素を取り出せることが、この開発研究を進展させた理由となっています。

 この開発の成功によって、ますます、この水素キャリアに関する研究が進展していくと思われますので、その意味においても、上記の安価で簡単なアンモニア生成法の開発が重要になってくると思われます。

 以上3題、いずれもおもしろいテーマでしたので、活発な議論がなされました。

 また、しばらく中断していましたので、このゼミを継続していくことの重要性を改めて確認いたしました。

 次回の第18回ナノプラネットゼミは、11月17日(土)の9時半からの開催予定です。
kosumo1105
      コスモスが道路にはみ出していますが、何も問題はありません(大成研究所前庭にて)