8月も終わりですね。

 来月の1日からは、北九州高専で日本高専学会年会が開催されます。

 久しぶりのことですが、私は、次の2つの題目で発表することにしました。

 ①今世紀における「小さくない」地盤産業づくり

 ②製造業の再生を担う人々の課題と役割

 この両課題は対になっており、次のような問題意識を有しています。

 「製造業の衰退は、電機産業を中心に起こっており、そのGDPは、かつての半分にまで減少している。

 日本の商品は、海外において価格競争で敗れ、グローバリゼーションの名のもとに国外に展開してきた事業は見直しを迫られるようになった。

 その意味で、これからの製造業の再生を担うのは中小企業であり、この発展が、その再生の帰趨を決定づけることになる。

 一方、自動車分野においては、電気自動車への進展が進まず、これまでのガソリン自動車を維持する産業政策に固執している。

 中国における電気自動車の生産が発展し、国外輸出がなされるようになると、日本は小さくない深刻な事態に陥ることが予想されている。

 このような状況のなかで、これまで日本経済を牽引してきた電気機械、自動車は、製造業の分野において、食品分野に第1位を明け渡すことになった。

 これらの大企業を中心にした製造業の再生には、相当の努力と卓越した知力(アイデア力)が必要であり、それを実現していくにはかなりの時間を要する。

 その意味で、中小企業や大学高専など地域を担う人々の果たすべき役割は小さくなく、それらの方々を中心にして新たな「小さくない規模」の地盤産業を創出させることが、とりわけ重要になってきている。

 高専は、地域の優秀な中学校卒業生を集め、5年と7年の一貫教育によって実践的な技術を身に付けた卒業生を輩出してきた。

 その大半は、大企業への就職、大学および専攻科への入学であり、これは、高専生本人と保護者の意向に基づくものであった。

 『よい会社に就職したい』、これが、かれらの高専志望の動機であり、卒業後の希望でもあった。

 一方で、中学卒業生の入学という制度は、当初、

 1)早期に進路を決定し、専門技術を習得するという目標達成には有効であったが、

 2)大学への進学希望者には狭き門であった。

 しかし、これについても、大学側の門戸が徐々に開かれ、しかも編入学生の優秀性が、さらに大学側の高専生を受け入れることを促進させるようになった。

 また、全国の高専において専攻科が整備され、それらのほとんどがJABEE認定を得ることによって、大学教育とほとんど変わらない教育機関としての認知が広くなされるようになった。

 これらの流れのなかで、高専教育の目標は、当初の「実践的技術者づくり」、「創造的技術者づくり」へと移行し、現在は、それを止揚する技術者づくりが探究されるようになった。

 高専の特徴は、内発的な指向よりも外的要因によって影響を受けやすいことにあり、それによって変化を遂げることを何度か繰り返してきた。

 その典型的事例のひとつは、先の『専科大学騒動』であるが、この結末が、今の『専攻科設置』に結び付いたことは、ある意味で『歴史の妙』といってもよいであろう。

 これによって、高専は、より確かな高度化を達成し、主体的力量を増加させた。

 実質的には、地方の国立大学とほとんど変わらない、あるいはそれ以上の教育成果を示すことができるようになった高専は、諸外国から熱い視線を注がれるようになった。

 研究機関として認定されていない高専が、立派な教育成果を生み出すことができるようになったのは、自主的で実践的な教育開発を行い、それを発展させてきたからであり、そこには優れた実践的研究の裏打ちがあったからでもあった。

 この自主的で内発的な研究指向に裏打ちされた実践的な教育成果を、こつこつと積み上げ、高専生の専門的および人間的な資質を洗練させてきたことが、独特の「コウセンセイ」を生み出し、かれらが、世の中で活躍することによって、さらにその認知の輪が広がり、国外にまで及ぶようになった。

 その洗練された高専生の特質とは、優しくてまじめ、純粋で共感力に富み、粘り強く目標を達成しようとする意志力にあり、これが50年の高専教育の歴史を経て、より確かなものとして洗練されてきたのではないだろうか。

 ここには、典型的な日本人としての若者の姿があった(つづく)。

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ブーゲンビリア(沖縄市にて)