長い間中断していましたので、この問題を総括的に取り上げ、そのまとめを行いたいと思っていろいろと検討してきましたが、以下のようなQ&A形式でそれを認めることがよいのではないかと思うようになりました。

 以下、そのQ&Aです。

 Q1:マイクロバブルとナノバブルの違いは、どこにありますか。
 
 A1:マイクロバブルは、マイクロメートルサイズの気泡のことであり、同じくナノバブルはナノメートルサイズの気泡のことです。

 まず、このように大きさが異なります。

 したがって、ナノバブルはマイクロバブルの千分の1ほど小さい気泡のことです。

 Q2:マイクロバブルと光マイクロバブルの違いは、どこにありますか?

 A2:マイクロバブルは、上記のようにマイクロサイズの気泡と定義されていますので、その物理化学的特性を考慮した定義にはなっていません。

 私どもは、その物理化学的特性を考慮して「光マイクロバブル」という新たな定義を行っています。

 それは、マイクロバブルに関する物理化学的特性を踏まえて、より厳密で正しい定義を行うことが重要だと考えたからでした。
 
 Q3:光マイクロバブルとマイクロバブルの物理化学的特性において何が違うのですか?

 A3:光マイクロバブルは、すでに述べてきたように、その発生直後から、自ら収縮して小さくなっていくことを特徴とする直径1~65㎛のサイズの気泡のことです。

 Q4:収縮する気泡と収縮しない気泡があるのですか?

 A4:そうです。収縮する気泡と収縮しない気泡の両方があり、この違いが、その物理化学的特性において顕著な相異を示します。
 
 Q5:収縮する気泡と収縮しない気泡の性質は、どう違うのですか?

 A5:収縮する気泡とは、その発生後に急速に小さくなっていく気泡のことです。

 一方、収縮しない気泡とは、収縮とは反対の膨張する気泡、すなわち大きくなっていく気泡のことです。

 私たちがよく目にしてきたのは、この膨張していく気泡です。

 この収縮する気泡と膨張する気泡では、両者における物理化学的特性が大きく異なります。

 たとえば、気泡内部の圧力に関していうと、気泡が収縮することによって気泡内部の圧力は高まります。

 しかし、膨張する気泡においては、その圧力は低くなっていきます。
 
 Q6:収縮して気泡の内部の圧力が高くなる場合と膨張して、その圧力が低くなる場合では何が異なるのですか?

 A6:気泡が収縮していくと表面張力が大きくなり、強固な界面を有するようになり、それによって圧力が一定程度高まっても壊れない気泡になります。

 しかし、膨張して内部圧力が低下した気泡は、周囲の液体の流動に影響されて界面が不安定になり、その結果として壊れやすくなります。

 このサイズの気泡が上昇しながら、その形をいろいろと変えていく様子を見たことがあるでしょう。

 こうなると気泡の形状は円形ではなく、楕円から、円弧状へと変化し、さらには、その一部が切れて分裂することもあります。

 その際に、より小さな気泡が発生して、内部の気泡を溶解させやすくなります。

 Q7:気泡が収縮することと逆に膨張することは、どのように区別されるのですか?

 A7:その区別は、気泡の直径によってなされます。直径が65㎛以下の気泡は収縮し、逆に直径65㎛以上の気泡は膨張します。

 ただし、この結果は光マイクロバブル発生装置を用いた場合の実験結果です。
 
 Q8:ナノバブルは、光マイクロバブルのように収縮するのですか?

 A8:今のところ、そのようなナノバブルの動的挙動は究明されていません。

 ナノバブルの研究者のみなさんは、光マイクロバブルのような動的挙動をナノバブルが有しているとは考えられていないように思われます。
 
 Q9:収縮する光マイクロバブルは、どのようにして生まれるのですか?

 A9:それは、「超高速旋回式」と呼ばれている私どもが開発してきた発生装置によって大量に生成されます。

 他の方式のマイクロバブル発生装置では、収縮とは逆の膨張するマイクロバブルが発生しているようです。

 あるいは、その膨張していくマイクロバブルが発生しているなかで、わずかには収縮するマイクロバブルがあるようですが、その数は圧倒的に少数のようです。
 
 Q10:光マイクロバブルの発生装置とナノバブルの発生装置の違いは、どこにあるのですか?

 A10:ナノバブルに関する研究者の学会発表を聞いていると、ナノバブルは、どうやら簡単に発生させることが可能なようです。

 ある研究者は、わずかな突起や界面変動によってナノバブルが発生するといい、また、別の研究者は、ジューサー用の装置に水を入れてナノバブルを発生させたといっていました。

 これに対して、光マイクロバブルは特殊な発生方式を有し、毎秒500回転以上の旋回速度を達成させて発生させますので、こちらは、より大変で特別の発生方法でしか発生しないものです。

 私の経験に照らせば、より簡単に生まれたものからは、より単純で小さくない物理化学的特性は生まれてこないのではないかと思っています。

 この場合、「瓢箪(ひょうたん)から駒」は出てこない、鳶(とび)から鷹(たか)は生まれないのです。

 やはり、私が予想した通り、10問10答を認めてきましたが、これでは到底終わりとならないようです。

 これで終わろうと思って書き始めたわけですが、かえって、それとは逆のことになってしまいました。

 これも成り行きですね。

 次回は、この問答をさらに続けることにしましょう(つづく)。

kogiku-5
小菊