前回の続きで2回目です。

3.多重大困難の時代の人づくり

 

(1) 多重大困難な時代に突入して

膨大な国の借金,少子高齢化による人口減,格差拡大,産業の空洞化と大量リストラなど,今世紀初頭は,多くの重くて大きな困難のなかにある.

これらは,かつての高度成長期,それに続く「奇跡の30年」の時期には存在しなかった規模と深さ,そして本質的な厳しさを見せていることから,従来の技術者教育においても根本的見直しが迫られている.

この困難を実践的に解決していくために,新たな人づくりの概念を創り出すことが切に求められている.

これらの人々には,製造業の再生とともに,すでに到来し始めているAI時代の困難にも立ち向かい,それらをみごとに解決していくリーダーとしての使命が課せられている.

この時代の要請は,単なる能動性や積極性に基づく体験的学習の水準を超えた新しい教育方法と実践の必要性を示唆している.

 

(2) AI時代の困難と格差拡大

 周知のように,これまでの30年間において,コンピュータの計算力,記憶力,通信力は約100万倍に達したといわれている.

 それが,これからの30年間のAI時代においては,そのそれぞれが,さらに100万倍になると予想され,コンピュータは「ディープラーニング」と呼ばれる自己学習をするようになる.

 また,IQにおいては,天才として名高いアインシュタインやダ・ビンチが200と推測されているのに対し,AIIQ1万にも達するといわれている.

 こうなると,AI時代の進展とともに,人々は何をなすべきかが大いに問われることになる. 

 また,このAI時代を迎えて,その経済的覇権を手にするのは米国と中国だと予想されている.
 さらに,その覇権によって富は平等に分配されず,ますますの格差拡大が起こることが心配されている.

そこでAIを活用しながらも,人間らしい資質を養成し,洗練させることが教育的に重要になる(つづく)。


 写真は、ネジバナです。
 曲がるから真っすぐ伸びることができる、これは真理ですね。
nejibana
ネジバナ(大成研究所前庭にて)