議論の結論は、この際、全国の若者たちが積極的に集まって参入してくるような、次世代の「小さくない地場産業」を創生させるしかない、思い切って、それに挑戦してみよう、これが、5年の経験を踏まえた私の結論でした。

 幸いにして、細やかではなるが、貴重な経験と苦労の末の教訓があるので、これらを最高度に活かすことを試してみようと思うようになりました。

 詳しくは、次回の記念シリーズにおいて述べていくことになりますので、どうか、よろしくお付き合いください。

 さて、本日は、第15回ナノプラネットゼミにおける3つ目の報告について、その概要を述べておきましょう。

 そのタイトルは、「マイクロ・ナノバブル技術における核心と革新」であり、今回は、その第2章に関する解説がなされました。

 その第2章の全体を示しましょう。

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第2章の目次 

 ここでのキーワードは、マイクロ・ナノバブルが「新物質である」「未来材料である」ことの2つでした。

 前者においては、これまで、この世に広くは存在していなかったこと、そして、それが、もっともありふれた水と空気という物質から、「新たな物質」が生み出されること、ここに新物質としての特徴と意味が存在しています。

 新たな物質を産み出す、これは、科学的な発見という意味においては小さくない意味があるのですが、これが重大な受容には至りませんでした。

 その最大の理由は、その特徴が科学的に未解明であったことにありました。

 気泡が小さいことには「おもしろみ」があったものの、それが優れた性質を有する驚きの科学的発見という認識があいまいだったからでした。

 ここに、光マイクロバブルの科学に関する認知の特徴がありました。

 しかし、光マイクロバブルに関する認知は、科学の分野ではなく、技術の分野において驚くほどの衝撃を持って進展しました。

 その事例として、上記の5つがありました。

 これらは、メディアにおいても真に派手に報じられ、その技術的認知が一気に進むことになりました。

 実際の講演においては、今となっては秘話ともいってよい、数々のエピソード(逸話)が詳しく紹介されました。

 その様子は、吃驚現象の裏には数々のエピソードあり、というものでした。

 とくに、上記後半の若ガキ、ジャンボホテイアオイ、ゴールドクラウンの3つは、私も含めて世の中に広く大きな衝撃を与えました。

 それらの結果は、「光マイクロバブルは未来材料である」という概念を直感的に創成させました。

 ここにも、光マイクロバブル技術における認知と普及の特殊性がありました。

 奇妙なことに、通常の科学的発見、認知、普及という過程をたどっていくのではなく、いきなり、吃驚現象を付随させた技術的成果によって、その技術的な認知と普及が先行していくという事態が生まれてしまったのでした。

 その結果、科学的な究明は、その技術的成果に刺激を受けながら「後追い」として進展するということになりました。

 これには、真に恥ずかしながら、その創始者が実践的な技術研究者であったことも色濃く影響を与えていました。

 ところで、ここでいう「未来材料」とは、文字通り、未来の生活と産業を担い、支える材料のことです。

 上記の3つの吃驚現象は、光マイクロバブルが、十分な「未来材料である」ことを直感的に示し、世の中に素早く認知させることを成功させました。

 そして、その成功が、私も参入したい、研究したい、実践してみたいという意向を想起させ、誰もが取り組むという技術の裾野をどんどん広げていったのでした。

 しかし、ご承知のように、技術の分野においては激烈な競争が繰り広げられていますので、参入はできても、それを成功にまで導いていくことは容易なことではありませんでした。

 誰よりも、そのことを私は理解しているつもりであり、それこそ、それは「洗練と試練のマイクロバブル時代」の幕開けでもありました。

 この幕開けにおいて、非常に重要なことは、「新物質」と「未来材料」の光マイクロバブルに関する概念を結びつけることでした。

 このようにして、私の講演は、あっという間に予定の時間を過ぎ、討論に入りました。

 このなかで「初めて聞いた」という話がいくつもあったとのことで、それらに、さらに新たなエピソードが紹介されるという楽しい討議となりました。

 なお、上記の新物質と未来材料の相互関係については、別稿において、さらに追加解説を行うことにしますので、ひとまずは、この稿を閉じることにします(この稿おわり)。