昨日、第15回ナノプラネットゼミが無事終了しました。

 以下は、その折のプログラムでした。

  
09:30~10:10 「食の安全について」 大成京子 

 101010:50 「消滅が加速する都市」 大成由音
 

  10:50~11:00 休憩
 

 11:00~12:00 大成研究所発足記念講演3 大成博文
              「マイクロ・ナノバブル技術における核心と革新」

  12:00~1230 総合討論 

 最初に、食物(野菜や果物)の安全性についておもしろい話題提供がありました。

 これは、増尾清さんの業績を主として紹介したものでした。

 ここでなされた興味深いことは、レモンティーのことでした。

 じつは、紅茶にレモンを入れた際に、その70数パーセントの農薬成分が紅茶のなかに溶けだしていたのでした。

 これにより、農薬成分は水に溶けだすことをしり、増尾流の農薬成分軽減法を開発していきます。

 それが、水に浸し、さらに流水によってそれを流し出すことでした。

 もう一つ重要なことは、農薬成分が蓄積する場所が見出されたことでした。

 それは表皮と果肉の間の部分であり、ここに蓄積されているがゆえに、水中への浸潤と洗い流しで、農薬成分が抜け出していくことも可能になったように思われました。

 このところ、無農薬栽培を指向してきましたので、この話は非常に刺激的であり、「これは、より詳しく調べてみる必要があるな」と思いました。

 早速、この増尾清さんの代表的著作物を注文していただくようにお願いしました。

 私にとっては、この数年来取り組んできたテーマのひとつであり、野菜や果物の無農薬化に関する探究の糸口ができたようで、とても重要な話題提供になりました。

 2つ目の話題も、相当にショッキングな話になりました。

 2010年の国税調査をもとにして、ある機関が、日本のかなりの年で近い将来において消滅してしまう恐れがあることを報告し、それが大きな波紋を広げていました。

 そのなかで、大分県においては国東市が最も、その可能性が大きい都市として指摘されていました。

 その後、2015年の国税調査の結果が徐々に発表されはじめ、この機関においては、それを基にした再シミュレーションがなされたようで、その結論は、「さらに消滅の可能性が高まっている」、というものでした。

 その結果を踏まえ、本ゼミにおいては、大分県と国東市ほかの人口予測値が紹介されました。

 都市そのものが消滅することとは、子供を産む30代前後の女性の数が減り、そのことによって次世代を担う子供がいなくなることによって都市の基盤が無くなってしまうことをいうのだそうです。

 さて、2015年のデータによれば、やはり最も深刻なのは国東市であり、2035年までに、国東市は、今の人口の約半分になるという深刻な結果が示されました。

 真に、「消滅が加速する都市」の典型が国東市なのです。

 その人口が半減するとどうなるのか。

 この報告では、2015年の0歳から4歳までの子どもの数が800人ですから、同学年の人数は160名になります。

 現在の小学校は4町に1校ずつありますので、1学校1クラスの40名、これが現状です。

 これが2035年には、その人口が半減することになりますので、この40名が20名になります。

 1クラス40名を基本としますと、現在の4校を2校にしないと対応できないことになります。

 「今から対策をしていかないと間に合わない、17年後の将来は大変なことになる」

 これが報告者による警鐘でした。

 これを受け、活発な議論が次のようになされました。

 その第1は、「国東市において、なぜ人口が急減していくのか?」についてより深める議論がなされたことであり、次の指摘がありました。

 ①若い女性が国東には定着せず、外に出ていき、結婚し、住みついている。これは、高校を選ぶ段階から始まっており、外に出ていくことに違和感を覚えていない。

 親や教育機関も出ていくことを指導している。

 ②逆に、若い女性が国東に移住してくる事例は少なく、①とのギャップが小さくない。

 ③若い男性も地元に定着する比率が小さく、女性とともに、外に出ていくことが常識になっている

 そこで、この議論は、1)若者が外に出ていくことをどう防ぐか、2)逆に、どう若者を国東に呼び込むのか、この2つをめぐって意見を述べ合うことになりました。

 1)については、国東に定住して働くことができるのかどうか、この議論になりました。

 国東の経済は、主力の農漁業(約6割)が衰退し、製造業が微減、サービス業も伸びずに横ばいという状況です。

 これらのすべてにおいて、若者が夢を抱いて就職し、働く場所がほとんどありません。

 とくに、製造業においては、バブル経済華やかなころにS社やC社など大企業の工場が誘致されましたが、その後の縮小や撤退によって、この大企業誘致による地域振興の夢が破れたショックは小さくなく、この跛行的後退からの脱却は未だに実現できていないように思われます。

 また、若者をはじめとする人々が国東に移住してきても、そこでの定住がなかなかなされないまま、他の業種への転換や他地域への移住がなされるという事例もあり、これも、かなり深刻な事態に陥っているといわざるをえません。

 この議論を踏まえ、若者たちが国東から出ていくことをどう防ぐかよりも、逆に2)の、若者をどう呼び込むか、これをもっと積極的に追求した方がよいのではないかという意見が出され、この問題ついての議論に移行していきました。

 次回は、その内容に関することをより詳しく紹介することにしましょう(つづく)。

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                  ヒメヒオウギズイセン(大成研究所前庭)