日本の国民総生産(GDP)が伸びていたのは1990年初頭までで、日本経済のバブル崩壊とともに、その減少が始まりました。

「バブルが弾けると、その後は何やってもうまくいかない」

これは、著名な経済アナリストの言葉ですが、まさに、その通りのことが進行してきました。

  「失われた10年」が、やがて20年になり、今や「30年」にもなろうとしています。

 アメリカや中国、そしてドイツはGDPを着実に増やしていったのに、なぜ、日本だけが一人負けしたのでしょうか。

 どこまでも利益を求めての海外進出、400兆円を超える内部留保、明るい未来を描けない、そしてモリカケでいつまでも体たらくが続く政治、すぐにこれらが思い浮かび上がってきます。

 「これだから、一人負けが起きるのではないか!」

 さて、この一人負けの原因は、一人勝ちしていた国内「製造業」が衰退していることにあります。

 製造業を構成する企業種において、その主役を担っていたのが、「電気機械」、「輸送用機械」、「機械一般」の3部門です。

 前回の記事において、この「電気機械」分野におけるGDPの減少が顕著であり、1990年代の20兆円が、2000年代になって、その半分近くにまで落ち込んでいることを示しました。

 それでは、輸送用機械(主力は自動車)、機械一般の方はどうでしょうか?

 前者は2007年をピークに減少(約18%)、後者は1991年をピークに約15%の減少を示しています。

 いずれも電気機械ほどの落ち込みはないものの看過できないほどの減少であるといえます。

 この主要3分野におけるGDP減少が、製造業全体の落ち込みの原因であり、かつては、この3分野の進展によって日本経済の躍進を担っていたのですから、このプラスマイナスはきわめて好対照的な出来事といえます。

 この主要三分野の落ち込みによって、日本経済の衰退が起こっていることは明らかであり、この復活なしには、その再生はほとんど無理といってもよいでしょう。

 この1990年以降の製造業の落ち込みに対して、唯一伸びてきたのがサービス業であり、そのGDPが製造業を追い越したのが2008年でした。

 その後の10年においても、この差は、より広がっている傾向にあります。

 しかし、介護などのサービス業は大切であってっても、それが日本経済を強力に牽引することはおそらくないのではないかと思われますので、この点をきちんと踏まえておく必要があります。

 前回の記事において、電気機械分野のGDPが、食料品に抜かれたことを記しましたが、このことを指して、坂本雅子氏(前褐)は、わが国は、かつての「ハイテクの国」から「ローテクの国」に変わりつつあると指摘されています。

 これに関連して、私は次のことが重要だと思います。

 ①食料品のGDPが着実に増加していることには小さくない意味があり、それをより深く考察する必要がある。

 ②食料の確保は、今世紀最大の課題であり、その重要性が実際において示され始めた。

 ③食料、食品分野は、地域に根ざした産業として発展しており、地域経済を支える主要分野である。

 ④したがって、ローテクのなかにも新たなハイテク技術が生まれてくる可能性があり、それが大規模な地場産業として飛躍的に発展する可能性がある。

 これらの特徴を踏まえると、いずれ、この分野への高専卒業生の参加が始まる可能性が徐々に増してくるのではないでしょうか。

 その際に、高専生が身に付ける必要がある資質とは何なのでしょうか?

 この命題が、より深く、そしてより本質的に問われているのだと思います(つづく)


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大成研究所前庭に咲いたビオラの花