初回の記事から少し間が開いてしまいました。

 この間、5.22セミナーが東京で開催され、そのスライドづくりにおいて、この問題についても最新の整理を行うことができました。

 そのスライドを示してから解説を行いましょう。
nano
光マイクロバブルとナノバブルの相互関係①
 
 100ナノメートルオーダーのナノバブルが存在していることが特殊な顕微鏡で可視化されるようになりました。

 そして、このナノバブルがどのような機能性を有するのか、この検討が始まる時代がやってきました。

 日本発のオリジナル技術であるマイクロ・ナノバブルに関する研究が世界中で行われるようになり、その数が急増しています。

 そこで、上図を参考にしながら、マイクロバブル(光マイクロバブルを含む)とナノバブルの間に分け入ることにしましょう。

 まず、それらの大きさを再確認することから始めます。

 光マイクロバブル:平均直径が20~30㎛前後の収縮する微細な気泡

 ナノバブル:とくに200nm前後の直径を有する極微細な気泡

 この2つの気泡の直径を比較すると、ナノバブルは光マイクロバブルよりも約100倍小さい気泡ということができます。
 
 直径比較で100倍も違うのですから、ナノバブルは文字通りの非常に小さい気泡です。

 実際の形象としては、球体で存在していますので、この体積を比較すると、さらにその差は拡大します。

 周知のように体積は、直径の3乗で得られますので、その体積差は100万倍にもなります。

 これは、あたりまえのことですが、ナノバブルは非常に小さく、そこに満たされている気体の容積は、光マイクロバブルと比較しても100万倍も小さいのです。

 こんなに小さい気泡を見出したことには、それなりの意味がありますが、その問題の核心は、それが「どのような革新的機能を有しているか」にあります。

 そのことを明らかにするには、まず、ナノバブルの実体を詳しく究明する必要があります。

 その第1は、ナノバブルの数が圧倒的に多いことでした。

 これは、ナノバブルを計測する装置の結果であり、その限りにおいては、それらがナノバブルであるか、それともナノサイズの懸濁粒子なのかの区別はきちんとできていませんでした。

 そこで、ナノバブルであるかどうかの検証が始まりましたが、それは、現状のいかなる計測装置でも正確には無理なことでした。

 そこで、実際に顕微鏡で見ながら、細かい針の先のようなものでナノバブルに触って、その挙動を確かめるという操作も行われ、それが気体であるかどうかを確かめるという職人芸のような探索がなされるようになりました。

 しかし、このような検証も、わずかな数のナノバブルにおいてしかできませんので、現在の最大の問題は、その濃度を正確に求めることができないことのようです。

 一定の容量のなかで、どのくらいの数のナノバブルがあるのかが明確になれば、その濃度を求めることができます。

 これらを踏まえ、ここでは、ナノバブルが数多く発生していることについては、ほぼ間違いではないようなので、それを前提にして、より深い検討を進めることにしましょう。

 ここで、この大量のナノバブルが新たに発生したということになりますと、それはある意味で「簡単なメカニズムで容易に発生したのではないか(*1)」という推測が成り立ちます。
 *1:この場合、「容易に」とは、光マイクロバブルの発生と比較して「より容易」という意味合いにおいて用いられています。

 このことは、上記の図内の①と⑤に関係しています。

 そこには容易に発生しやすい条件があり、それゆえに大量発生が可能になる、こう考えてよいでしょう。

 上記の⑤について補筆すると、光マイクロバブルのように強烈なエネルギーによって発生するのではなく、わずかなエネルギーで発生するというわけですから、それを平たくいえば、「ナノバブルは、非常に簡単に造りやすい気泡である」ということができます。 

 これは、後に詳しく検討することになるナノバブルの「革新的機能性」に深く関係することですので、その配慮が必要であることを述べておきましょう。

 その第2は、かなり数多く発生しているとされるナノバブルが、どのように変化するのかの問題です。

 まず、既成の計測装置でカウントされたものには、次の2つのケースがあります。
 
 1)ナノバブルであると判断されてカウントされたもの

 2)ナノバブルとして判断されてカウントされているが、実際は懸濁粒子であるもの

 この区別が重要ですが、それを強調されていたナノバブル研究者の方もおられました。

 その方に、ある講演会の席で次のように尋ねたことがあります。

 「ナノバブルが数多く発生していることはわかりますが、その発生したナノバブルは、時間経過とともに変化するのですか、それとも変化しないのですか?」

 この時の回答は、「後者である」とのことでした。

 「そうであれば、ナノバブルはいったいどのような変化を示すのでしょうか?」

 その時、このような疑問が湧いてきたことを思い出します。

 さて、圧倒的ともいえる(光マイクロバブルの発生数と比較して)ナノバブルの大量発生、そのメカニズムはいったいどのようなものなのでしょうか?

 次回は、その問題により深く分け入ることにしましょう(つづく)。

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ラベンダーの花(2018年5月、筆者撮影)