昨日までの2日間、よく雨が降り続け、気温も下がってきて肌寒さを感じていました。

 ところが、その天気も今朝になって一転、ここちよい五月晴れで、青い透き通った空に白い雲が鮮やかに浮かんでいます。

 ただ今の室温は20.7℃、これは植物たちが最もよく育つ温度帯であり、この2日間の雨の湿りも加わって、植物たちは大喜びをしているのではないでしょうか。

 さて、少々遡りますが、2016年3月10日から同年8月2日にわたって8回の「マイクロバブルとナノバブル」という記事を連載したことがありました。

 それ以来2年余が経過しました。

 この度、この記事を「見直す時が来た」と思うようになりました。

 それは、先日、ある大学の先生が私どもの研究所に来られた際に、最近のナノバブルの研究とその応用事例に関して、やや突っ込んだ議論を行ったことが、そのきっかけになったたからでした。

 このときの深層心理の様子については、それを先行させて「徒然に光マイクロバブル(9)と(10)」において、その一端を吐露いたしました。

 これを読まれた読者のみなさまは、いったい何を考えているのか、そして何をいいたいのかと思われたはずです。

 じつは、その時を前後して、この3200回記念の記事をどう描くかを考えていて、そのことが影響して、あのような記事になってしまいました。

 真に面倒なことですが、これから述べる記事の内容について、すなわち、光マイクロバブルとナノバブルの間(はざま)についてご関心の方々は、両記事を比較しながら読んでいただけますと、より一層興味を覚えるのではないかと思います。

 さて、その2年前の記事は、ある学会で特別講演を行い、そしてみなさんのご講演も拝聴して、それらを踏まえて思ったこと、感じたことの一部を披露したものでした。

 その後、同じ学会に参加し、私の共同研究者とともに3件の講演発表を行いました。

 その折、いくつかの講演も拝聴し、マイクロ・ナノバブルに関する研究の動きをある程度理解できるようになりました。

 これから解説していく本記念シリーズの内容は、それらの学会情報を踏まえて、その後においても考察(たとえば、『マイクロ・ナノバブルとは何か(2700回記念)』(1)~(22)など)をしてきた叙述であることを断っておきましょう。

 さて、その間(はざま)に分け入る前に、その昨今の状況が、1990年代の後半から、マイクロバブルに関する研究成果を明らかにし始めたころとよく似ていることを指摘しておきましょう。

 ①その類似の第1は、マイクロバブルの科学的正体が不明なままで、マイクロバブルに関する技術的成功が過度に先行してしまうと、それに対する期待が、その科学の限界を乗り越えて、ニセ科学、過剰科学的傾向を帯びてしまうことである。

 ②第2は、マイクロバブルを発生させる装置が違っても、マイクロバブルのサイズが同じであれば、いずれのマイクロバブルもみな同じであると考えてしまう。

 ③第3は、技術的に結果がよければ、それでよしという段階に留まり、より深い科学的探究を疎かにしてしまう傾向になびいてしまう。

 ④第4は、良きにつけ、悪しきにつけ、すべてはマイクロバブルのせいであると、その因果関係を単純化し、挙句の果てに、それを過度に普遍化してしまう。

 これらについて、個々の具体的説明は省きますが、この青色の部分を「ナノバブル」に置き換えてみると、どうでしょうか。

 そっくりの現象が起きていると思われませんか?

 冷静になって、そして自然に考えてみると、「これはよく似ているのではないか」という思いが湧いてきますが、みなさんはいかがでしょうか?

 これらは、科学者としての節度や倫理にも関係することですが、上記の4項目は、「そうあってはならない」という「自分への戒め」でもありました。

 私としては、今のマイクロバブル技術を創生させた「生みの親」でもありますので、自分を亀に例えるならば、「親亀がこけたら、子や孫の亀もこけてしまう」と注意を喚起させてきました。

 そして、その姿勢は今も同じで、これからも「そうありたい」と思っています。

 前置きは、これぐらいにして、本記念シリーズの主テーマである「光マイクロバブルとナノバブルの間(はざま)」に、これから徐々に深く分け入っていくことにしましょう。

 幸いにも、その入り口付近において、その「間」に関する問題については、上記の「マイクロバブルとナノバブル」の8回シリーズにおいて、そのアウトラインがある程度描かれていますので、それを基礎にして、その検討を行うことにします。

 その第1は、「光マイクロバブル」と「マイクロバブル」の関係を明確にする必要がますます明らかになってきたことです。

 「光マイクロバブル」とは、私どもが開発し、それを1995年に公表してきたマイクロバブル発生装置から発生したマイクロバブルのことです。

 この装置は、装置の中で秒速約500回転で気液を旋回させることでマイクロバブルを発生可能にしたものです。

 上記②においても指摘したように、発生させる装置が異なれば、それから発生するマイクロバブルの性質が微妙に、ある場合には大きく異なります。

 その意味において、光マイクロバブルは、他の装置から発生させたマイクロバブルとは区別すべきであるという見解の下で示された用語でした。

 このマイクロバブル発生装置に関する見解は、同じようにナノバブルにおいても適用可能ではないかと思ってきましたが、昨今の研究成果を踏まえると、ますます、その考えが整合してきたのではないかと思っています。

 たとえば、装置が変えると、マイナスやプラスの電位のナノバブルが発生することなどは、その典型的整合事例ではないかと思います。

 それでは、なぜ、その区別が重要なのか、それを明確にしておく必要があるのか、少し、マイクロバブルの科学に詳しい読者の方であれば、このような疑問がすぐに湧いてくることでしょう。

 なかには、今さら、そのような区別をして、それに何の意味があるのか、こう思われる方もおられるかもしれませんね。

 次回は、その疑問に答えることから始めることにしましょう(つづく)。

sannchu
サンチュ